兄弟姉妹の不登校はなぜ連鎖する? 原因と解決法、親がやるべき対応を解説
最新記事 by 監修者:上野 剛 (全て見る)
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兄弟姉妹の一人が不登校になると、
「下の子まで学校に行きたくないと言い出した…」
「兄弟から“ずるい”と言われるようになった」
「もう2人で休んでしまって親としても辛い」
そんな状態になることがあります。
実際、兄弟姉妹の不登校は珍しいことではありません。
ただ、ここで大切なのは、
「連鎖した=もう手遅れ」
ではないということです。
エンカレッジでも、兄弟姉妹に関するご相談は非常に多いですが、実際には「上の子の真似をしただけ」で不登校になっているケースもありますが、そこだけを見ていると隠れた不安定陽を見落としてしまう可能性もあります。
もともと学校でかなり無理をしていたり、家庭内で我慢を重ねていたり、不公平感やストレスを抱えていたり、兄弟それぞれに“行けなくなる理由”があります。
だからこそ大切なのは、誰が悪いかを探すことではなく、
- なぜ家庭の中で悪循環が起きているのか
- どこから立て直していくべきなのか
- 兄弟それぞれにどんな対応が必要なのか
を整理していくことです。
この記事では、兄弟姉妹で不登校が連鎖しやすい理由だけでなく、
- 親がやってはいけない対応
- 家庭内で悪循環が起きる流れ
- 兄弟姉妹不登校を改善していくための考え方
- 家庭全体を立て直すための具体的な視点
まで、エンカレッジの支援現場でよくあるケースをもとに解説していきます。
兄弟姉妹の不登校は改善へ向かわせることができる
兄弟姉妹で不登校が連鎖してしまうと
「お互いが休んでいるので楽になってしまっている」
「2人とも休んでしまうとどうしたらいいかわからない…」
と感じやすくなります。
ですが、兄弟姉妹で不登校が連鎖したからといって、必ずしも手遅れというわけではありません。
実際、不登校は「学校に行けなくなった」という結果は同じでも、その背景は一人ひとり違います。もちろん連鎖の影響はありますがそれだけではなく
- 学校で強いストレスを抱えていた
- 友人関係で無理をしていた
- 真面目に頑張りすぎて限界が来ていた
- 家庭内の緊張を敏感に受け取っていた
など、複数の要因が重なっていることが多いです。
そのため、
「引っ張られているだけなのに」
「2人とも休むのは親の私が悪いんだ」
と連鎖の部分だけを見たり、連鎖だからと自分を責めてしまうと本当の原因が見えにくくなります。
大切なのは、不登校の連鎖だけでなく兄弟それぞれがどこで苦しさを抱えているのかを分けて見ることです。
そして、家庭全体の悪循環を整理しながら、改善へ向かう方向を作っていくことが重要になります。
なぜ兄弟姉妹で不登校は連鎖しやすいのか
家庭の中で「学校に行かない」が現実的な選択肢になる
兄弟姉妹で不登校が連鎖しやすい大きな理由の一つは、家庭の中で「学校を休む」という状態が日常になるからです。
もともと学校にしんどさを感じていた子にとって、兄や姉、弟や妹が家にいる姿を見ることで、
「自分も休んでいいのかもしれない」
という感覚が生まれやすくなります。
特に、ギリギリまで我慢して学校に行っていた子ほど、この影響を受けやすいことがあります。
登校している子に不公平感とストレスがたまる
登校している子は、
- 毎朝起きる
- 学校に行く
- 勉強する
- 人間関係にも気をつかう
という生活を続けています。
その一方で、不登校の兄弟姉妹が家でゲームをしていたり、ゆっくり過ごしていたりすると、
「なんでお兄ちゃん(お姉ちゃん)は休んでいいの?」
「なんで自分だけ頑張らないといけないの?」
「ずるい」
という気持ちが出るのは自然なことです。
この感情を無理に否定すると、ストレスはさらに溜まりやすくなります。
しかも、親として、兄(姉)は休んであなたは行きなさいとは言えないので説明ができないので親も辛くなります。
さらに、もともと下の子も学校のしんどさを抱えていることがある場合はさらに不安感がふくらみます。
ここはとても重要なポイントです。
後から不登校になる子も、実は以前からかなり無理をしていたケースは少なくありません。
つまり、連鎖はきっかけであって、原因は別にあることもある可能性も高いのです。
そのため、
「上の子の真似をしているだけ」
「甘えているだけ」
と考えてしまうと、重なり合う要因を見落としてしまいます。
年齢差や性別、関係性で影響は変わる
兄弟姉妹の関係性によっても、影響の出方は変わります。
例えば、
- 年齢が近い
- 同性同士
- もともと仲が良い
- 兄姉への憧れが強い
場合は、影響を受けやすい傾向があります。
ただし、これはあくまで傾向であり、すべての家庭に当てはまるわけではありません。
家庭の中で悪循環が起きる流れ
不登校の子への配慮が「特別扱い」に見える
不登校になると、親はどうしてもその子に気持ちや時間を向けやすくなりますし、それは当然のことです。ただ、登校している子にとっては
「自分は見てもらえていない」
と感じやすくなります。
さらに、
- 学校に行っていないのにゲームができる
- 好きなものを買ってもらえる
- 気を使ってもらって色々許される
など休んでいる子の方が自分より優遇されている状態が続くと、不公平感は強くなっていきます。
「ずるい」を否定されて本音を言えなくなる
登校している子が
「ずるい」
と言ったとき、親としては不登校の子を守りたくなります。
ですが、
「そんなこと言わないの!」
「休みたくて休んでいるんじゃないよ」
「あの子だってつらいんだよ」
と抑え込んでしまうと、
「親には本音を言えない」
と感じやすくなります。
まずは、
「そう感じるよね」
「頑張ってるもんね」
と感情を受け止めることが大切です。
いい子ほど限界まで我慢して突然崩れる
特に注意したいのは、“いい子タイプ”です。
- 我慢強い
- 空気を読む
- 親に迷惑をかけたくない
子ほど、限界まで耐えてしまうことがあります。
そしてそういう子ほど、表面上は落ち着いて見えます。それにより親も安心してあの子は大丈夫と思ってしまいがちです。
しかし、そういった子が限界をこえると
- 急に荒れる
- 親への反抗が強くなる
- 自室にこもる
- 突然学校に行けなくなる
ことも少なくありません。
「問題を起こしていない=大丈夫」ではないということは常に頭に置いておきましょう。
親の焦りが家庭全体の緊張を強める
親御さん自身も、
「どうにかしなければ」
「行っている子まで休んだらどうしよう」
という不安を抱えています。
ただ、その焦りが強くなると、感情的になりやすく子どもたちの心にも負荷がかかります。
子どもたちもギリギリの状態なので、敏感に反応し、反発が出たり荒れたりと悪循環が強くなってしまいます。
兄弟姉妹の不登校を解決していくために必要なこと
兄弟それぞれの行けない理由を分けて考える
まず大切なのは、兄弟それぞれの原因を分けて見ることです。
上の子は対人関係のしんどさ、
下の子は不公平感や家庭内ストレス、
というように、背景が違うことはよくあります。
ここを曖昧にすると、対応も曖昧になります。
表面的な「連鎖」だけを追わない
兄弟姉妹不登校では、
「影響されたから休んだ」
だけで整理しないことが重要です。
本当に見るべきなのは、
- その子自身の学校での状態
- 何を我慢していたのか
- どこで限界が来たのか
です。
“連鎖”だけを見ると、原因療法ではなく対症療法になりやすくなります。
不登校の子だけを中心にしすぎない
もちろん、不登校の子への支援は必要です。
ただ、不登校の子だけに意識が集中すると、登校している子や渋り出した子のストレスが見えなくなります。
- 短時間でも1対1で話す
- 一緒に買い物に行く
- 寝る前に少し会話する
こうした小さな関わりでも、
「自分もちゃんと見てもらえている」
という安心感につながります。
そして、そこで大切なのが不満のある子や渋りのある子に対して
「そう感じるよね」「自分も頑張ってるもんね」と受け止めたうえで、「でもあなたも休めばいい」とまでは言わない。むしろ「今まで学校に行ってきた頑張りをちゃんと見ているよ」「お兄ちゃんは休んでいる分、学校に行った時にたくさん頑張らないといけないからね。あなたはちゃんと行っているから大丈夫なんだよ」と返す方が、解決に向かいやすいです。
家庭内ルールを最低限そろえる
兄弟姉妹不登校では、家庭内ルールが崩れすぎると悪循環が強くなります。
例えば、
- ゲームは何時間まで
- 生活リズム
- 食事時間
- 家での役割
など、最低限のルールをそろえることは大切です。
「学校に行っていないから何でも自由」
になると、登校している子の不公平感はかなり強くなります。
できれば「行っている子が学校の間はゲームはしないようにする」などのルールにできればそうしてもらいたいですが、それができないような子ども上位の状態になっているところもあると思います。そのような場合は、せめて「学校に行くまではやらないようにして欲しい」「学校に行っている時にやっているとは言わないようにして欲しい」ということは伝えておきましょう。
親自身の不安を整理する
兄弟姉妹不登校では、親御さん自身もかなり疲弊しやすいです。
「自分のせいでは」
「対応を間違えたのでは」
「1人だけではないし」
このように2人とも、もしくは3人ともとなると自責が強くなることもあります。
大切なのは、
「何が悪循環を作っているのか」
を冷静に見ていくことです。
ケース別に見る立て直し方
上の子が不登校で下の子が行き渋り始めたとき
この段階なら、まだ立て直しやすいケースも多いです。
まず大切なのは、
「なぜ行きたくないのか」
を急いで矯正せず、整理することです。渋っている理由が「ずるい」なのか、「親に見てもらえない」なのか、「自分も学校がつらい」のかで、対応は変わります。
「ずるい」と言われたとき
まずは感情を受け止めることです。
「そう感じるよね」
「頑張ってるもんね」
と受け止めたうえで、
「最近学校でしんどいことある?」
「何が一番嫌?」
と背景を聞いていくことが大切です。
「親に見てもらえない」と感じているとき
これはかなりストレスが溜まっているサインです。そもそも気を使える子に多いので親も気づきにくくそのような子が荒れてきていると感じたら注意が必要です。
説得や注意より先に、
- 頑張っていることをねぎらう
- 親子の1対1時間を作る
- 負荷を減らす
- 念のため学校の困りごとも確認する
ことを優先した方が改善しやすいです。
兄弟姉妹全員が不登校になったとき
兄弟全員が不登校になった場合は、通常以上に家庭全体の整理が必要になります。
ここで大切なのは、
「誰が悪いか」
を探し続けることではなく、
- どこから立て直すか
- 誰から安定させるか
- 家庭内の悪循環をどう止めるか
を考えていくことです。
親がやってはいけない対応
兄弟を比べる
「あなたはちゃんとしてね」
「お兄ちゃんみたいにならないで」
という比較は、強いプレッシャーになります。
「ずるい」を頭ごなしに否定する
まずは感情を受け止めることが大切です。
否定から入ると、本音を隠しやすくなります。親に話しても受け止めてもらえないと思うと自分の中で抱えてしまうので特に気を遣う優しい子ほど注意が必要です。
不登校の子だけを特別扱いする
必要な配慮と、特別扱いは別です。
極端な差が続くと、家庭内の不公平感は強くなります。
「親のせいだ」と思い込みすぎる
兄弟姉妹で不登校になると自分を責める気持ちになるのもよくわかります。
もちろん、親の対応を振り返ることは大切です。ただ、自分のせいだと思いこみすぎると見えるものも見えてこないので客観的な意識と冷静さを常に持つように心がけていきましょう。
まとめ
兄弟姉妹の不登校で本当に大切なのは、
影響があると知ることだけではありません。
大切なのはその背景で、
- どんな悪循環が起きているのか
- 兄弟それぞれが何を抱えているのか
- 家庭の中で何が苦しさを強めているのか
を整理して立て直していくことです。
兄弟姉妹の不登校は、その子だけの問題ではありません。
だからこそ、解決もまた、誰か一人だけをどうにかするということではありません。
もし今、
- 2人とも不登校で困っている
- 下の子にも影響が出てきた
- 兄弟関係が悪化している
- 家庭の空気がかなり重くなっている
- 親としてどう対応すればいいかわからない
という状態であれば、一人で抱え込まないでください。
兄弟姉妹の不登校の問題は、早めの整理と早期介入がカギになります。学校との連携なども大切になってきますので、どうしたらいいかわからなくなってしまっている方は、客観的な意見を聞ける専門家に相談することをお勧めします。
まずはスクールカウンセラーに相談してみてください。すでに相談していて動きがない場合は、エンカレッジのオリエンテーションで一緒に見立てていきますので気軽にご相談ください。
また実際にエンカレッジの支援で回復した兄弟姉妹のケースもご紹介するので参考にしてください。
【東京都】小学4年生・小学6年生の兄弟
最初は、弟君がお休みになり、別の復学支援機関で支援を受けて復学できたようですが、その後、お兄ちゃんも不登校になり、その復学支援機関の限界を感じてそちらはやめたとのことです。
その後は家庭で2人でお休みしていましたが、家庭も荒れてきてこのまま様子見もできないということでエンカレッジにご依頼されました。
支援開始時はお兄ちゃんも暴言が凄く、弟にも強く当たり、そのストレスで弟は物に当たってテレビを壊すなど家庭内は大変でした。
エンカレッジでは親御さんの対応のサポートと共に子どもにも公認心理師の資格を持った訪問カウンセラーがアウトリーチ型アプローチで直接介入してサポートしますのでお子さんの不安も解消されます。
その後は、暴言も物に当たることもなくなり、2人とも無事に登校し継続登校がんばっています。
登校日のお母さんの涙とおばあちゃんの言葉は忘れられません。詳しくはX(Twitter)のポストをご覧ください。
東京都の6年生4年生の兄弟が一緒に学校復帰しました!
1人が休んでしまうともう1人も引っ張られてしまうのが不登校の大変なところです。だから、学校復帰も一緒にすることが大切です。
お母さんも辛かったのと安心とで涙が溢れていました。そして、おばちゃんも涙ながらに何度も感謝いただきました。 pic.twitter.com/XPohnm4fkq
— エンカレッジ (@encourage__u) November 14, 2025
【埼玉県】小学5年生・小学1年生の姉妹
こちらも別の支援機関で復学支援を受けてうまくいかず、辞めてエンカレッジでの支援となりました。
その復学支援機関の支援の内容は親御さんの対応の支援だけで担当カウンセラーの顔も分からなかったとおっしゃっていました。デジタル制限が上手くいかずそれ以降の対応にも不安が残るものだったと。
女の子は特にデジタル制限が上手くいかないケースも多いので、それをメインとされているところはデジタル制限が上手くいけば登校できるが、デジタル制限での反発やもともと依存の少ない子は上手くいかないという印象があります。
エンカレッジでは、その子に合わせたアセスメントを私を含め経験豊富な公認心理師がおこない、親御さんだけではなくお子さんも訪問カウンセリングでしっかり支えます。
もちろん、学校との連携も直接しますので、すべてをケアできる体制で臨んでいます。むしろ、そこまでしないと特に兄弟姉妹の不登校は難しいと感じます。
別の支援機関では費用もけっこうかかったようなので、そこからまた復学支援を受けるのは費用的にもかなり悩まれていました。
うちは訪問カウンセリングを行うので費用もかかってきます。しかし、ご主人の方が辞められた支援機関には消極的だったようですが、エンカレッジでは私が直接お話させていただいたのですが、エンカレッジさんならお願いしたいと言っていただきました。
お母さんも姉妹でお休みしている現状でこの先、2人で今と同じような生活が続いてしまう未来しか見えないことがとても不安とおっしゃっていました。何としてもここでもう一度頑張りたいとしっかりと意思を示していただいたので、一緒に頑張りましょうと支援をスタートしました。
お母さんもお父さんも家庭内対応を頑張って、変える努力をしていただいたので家庭内もかなりよくなりました。
結果、姉妹も無事に復学して、支援は卒業になりましたが、元気に登校できているという報告はいただいております。
本日、埼玉県の5年生と1年生の姉妹が学校復帰しました。
先に別の支援機関でお願いしていたようですが、合わずに辞めてエンカレッジで再チャレンジされました。
2人とも笑顔で登校できて、お母さんは「子どもたちも私達両親も大きく変わることができました」と喜んでくれました! pic.twitter.com/J7lg3rspPE— エンカレッジ (@encourage__u) December 20, 2024
Q&A
Q. 兄弟姉妹の不登校は本当に連鎖しますか?
連鎖することは多く特に上の子から下の子へは影響が出やすいです。ただ、必ずではありません。年齢差、性別、関係性、学校でのしんどさ、家庭の空気によって影響の出方は変わります。
Q. 「ずるい」と言われたら、どう返すのがよいですか?
まずは「そう感じるよね」と受け止め、そのうえで背景にある学校のしんどさや不満を聞いていくのが基本です。頭ごなしの否定は逆効果になりやすいです。そのうえで、その子の頑張りを認めてあげること、その子とだけの時間を取ること、お休みの子も「休んだ分はどこかで大変になるから休んでいないということは大変にならないということなんだよ」と伝えてあげると「そうだね、だから休まない」という子が多いです。
Q. 兄弟姉妹が不登校になるのは親のせいですか?
親の関わり方が影響する場合はありますが、それだけで決まるものではありません。気質、学校環境、心身の状態、家庭内の緊張など複数要因が重なります。大切なのは自責ではなく、今のアセスメントとここからどう改善していくかです。
Q. 兄弟全員が不登校になったら、もう遅いですか?
遅いわけではありません。ただし、通常の不登校対応より難しいのは事実です。家族システム、順番、家庭ルール、親のケアまで含めてしっかりと立て直す視点が大切です。エンカレッジでも兄弟姉妹の不登校の子たちが多く復学していますのでその子たちが学校復帰できることを証明してくれています。
Q. 記事で一番伝えたいことは何ですか?
兄弟姉妹の不登校は連鎖する傾向が高いです。なので、連鎖する前の対応はとても大事だということです。そして、連鎖するまえにお休みしている子を復帰させてあげることが連鎖をさせない1番の方法です。また、エンカレッジの学校復帰のケースも紹介しましたが、連鎖をしたとしても諦めないで欲しいということです。兄弟姉妹で不登校になっても学校復帰は可能です。どの段階でも早めに相談して対応していくことが一番の近道です。




