不登校解決コラム

不登校のとき心療内科に行くべきかの見極め方!受診のデメリットとは

不登校のとき心療内科に行くべきかの見極め方!受診のデメリットとは
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

不登校になりたてのときは、お子さんの精神状態も安定せずに心配になる方が多いのではないでしょうか。心療内科児童精神科の受診を検討される方もおられるでしょう。

しかし難しいのは、心療内科や児童精神科はどのようなタイミングで行くべきかということ。病院に行くほど元気がないわけでもなかったり、お子さん自身が受診を嫌がるケースも多いため、どのようなタイミングで受診すべきかに悩む親御さんがとても多いです。

そこで今回は、公認心理師かつ復学支援専門家という立場で長年子どもたちを見てきた経験から、心療内科や児童精神科に行くべきタイミングの見極め方について私の意見をお伝えしたいと思います。

私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。

不登校のときに心療内科に行くべきかどうか

不登校のときに心療内科に行くべきかどうか

不登校と言えど、その状況・症状は千差万別です。

朝だけ体調が悪くて夕方以降は元気な子、1日中元気がなくて食欲もない子、無気力でお風呂も入れない子など…同じ子でも、不登校の段階(不安定期・膠着期・停滞期)によって表情も体調も全然違います。

そのため周囲の大人からすると「病院に連れて行った方が良いのか」の判断に困ると思うのですが、以下の症状がある場合は受診をおすすめします。

上野
上野
不登校の段階について詳しく知りたい方は、コチラの記事をご覧ください。

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身体的な症状がある

血圧を測る起立性調節障害の子

心療内科・児童精神科を受診する一番大事な目安は、身体症状があるかどうかです。

心療内科を受診すべき身体症状の例
  • 寝れない(不眠)
  • 食欲が減った(体重減少)
  • 腹痛・吐き気・胃の不快感
  • 疲労感・めまい など

不登校になって外出しないと食欲が多少落ちるのは問題ないですが、例えば1日に1食しか食べなかったり、食べる量が極端に減ったりした場合は要注意です。

心の健康も大事ですが、まずは身体が健康であることが大事なのです。このような身体症状がある場合は、心療内科や児童精神科を受診することをおすすめします。

うつ病のような症状がある

うつ症状で不登校の子

以下のようなうつ病のような症状がある場合も、心療内科や児童精神科の受診がおすすめです。

うつ症状の例
  • 人と会いたくない
  • 不安感・焦燥感がある
  • 注意力・集中力の低下
  • 外に出かけたくなくなる
  • 表情が乏しい・感情がなくなる
  • 「自分はダメだ」と責めてしまう など

また、うつに似た子ども特有の病気に起立性調節障害があります。起立性調節障害の子は周りから「サボってるのでは?」「甘えているのでは?」誤解されやすかったり、元気がある/ないの差が激しいので親としても対応に迷っている方が多いです。

起立性調節障害についてはコチラの記事に詳しくまとめています。

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不登校で心療内科にかかるメリット

精神科のカウンセラー

お子さんが不登校のとき、心療内科や児童精神科に相談される方も多いですが、そもそも心療内科にかかるメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

詳しくまとめていきます。

専門家に診断される安心感がある

児童精神科や心療内科の先生

心療内科や児童精神科にかかる最大のメリットの1つは、専門家に相談できるという安心感ではないでしょうか。

今までたくさんの子どもたちをカウンセリングしてきた専門家から診てもらうことで、より客観的に状況把握が出来ます。お子さんの状況によっては、発達テストや心理テストも行って、必要な支援等に繋げてもらえる場合もあるでしょう。

親御さんだけで悩んでいるのではなく、第三者の意見も聞いて状況を把握することは、親御さん自身の不安感を軽減する効果も期待できます。

薬物療法という選択がある

心療内科の薬物療法

心療内科・児童精神科では薬物療法を行うことも多いですよね。

お子さんへの薬の投与は親御さんからしたらとても心配ですし、私もおすすめはしていませんが最近は副作用も少なく負担の少ない薬も出てきています。しっかりお子さんに合った投薬が出来ると、落ち込んでいた気分が明るくなったり、体調も改善する可能性は十分にあります。

薬=悪ではなく、しっかりドクターからインフォームドコンセント(事前説明)を受けて判断していきましょう。

薬物療法は病院でしか出来ない医療行為ですので、医療の力で回復力を高めたい方にはやはり心療内科・児童精神科の受診がおすすめです。

不登校で心療内科にかかるデメリット

行き渋りする小学2年生

不登校のときに心療内科や児童精神科に相談するメリットについて前述しましたが、一方で心療内科に行くデメリットもあります。

詳しくまとめていきます。

薬物療法には副作用がある

医者の処方箋

心療内科で処方されるお薬はお子さんの体調に合わせて医者が判断したものとはいえ、やはりすべての薬には副作用がつきものです。

お薬が身体に合わない場合はうつ症状等が悪化する可能性もあり得ますので、それを承知の上で、合う薬が見つかるまでは辛抱強く対応する覚悟が必要になります。

また、薬物療法は一度始めるとなかなか止められないだけではなく、薬の成分が身体から抜けるまでも一定期間を要するため、投薬なしの生活に戻るまで時間がかかることも承知の上で取り組まなければいけません。

新規の予約は取りにくい

心療内科の先生がカウンセリング

心療内科・児童精神科でとても多いのが、新規の予約が非常に取りにくいということ。初診の場合は尚更です。

その予約を待っている間にお子さんの状況がどんどん悪くなってしまうケースもよくあります。特に子どもの場合、大人よりも1日1日の価値が高く、受診できるのを待っている間に勉強が遅れるだけではなく、お友だちと気持ちが離れてしまったり、自己肯定感が下がって一層体調不良が悪化することも多いのです。

だからといって安易に予約がすぐできるクリニックに行ってしまうと、子どもの前でうつだからとか発達障害だからなどセンシティブな問題をストレートに言う先生がいたり、自分の得意の療法を強制したり、薬物療法を強く進めてきたりしますので警戒してください。

今は心療内科やメンタルクリニックは予約がいっぱいなので、そこですぐにとれるということはそれなりに理由がある可能性があります。焦る気持ちはわかりますが、しっかり口コミなど評判もチェックして受診してください。

心が疲弊して体にもメンタルにも不調がある場合は、クリニックを受診してしっかりと体と心を整え、ゆっくり休むことも大切です。しかし症状が落ち着いてきたら、「ただ待って様子を見ている状態」は出来るだけ短くすることをおすすめします。

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子どもが傷つく恐れがある

小学1年生で行き渋りする女の子

大人が思っている以上に、子どもの心は敏感で繊細です。

そのため親から「病院(心療内科)に行こう」と言われると、「自分はなにかひどい病気なのではないか」「また元の生活に戻れるのだろうか」という不安な気持ちになったり、「僕は病気じゃない!」「私を病気扱いしないで!」と親に対して不信感を抱いたり「なんて僕は弱いんだろう」「お母さんに心配かけて悪い子だ(申し訳ない)」という自責の念で落ち込んでしまったり、「周りのお友だちからなんて思われるだろう」と悲しい気持ちになったりします。

さらには、病院を勧める親に対してキレて暴力をふるったり、暴れて叫んだりすることもあり、親子の信頼関係に亀裂を生む可能性も否定できません。

 

そのため、安易に心療内科や児童精神科を子どもに勧めるのはおすすめできません。しっかりお子さんの状況を観察・分析して、必要と判断したときにのみ提案しましょう。

 

心療内科の立場、学校の立場、エンカレッジの立場。

ゲーム依存で不登校の子ども

「心療内科に行って気持ちが安定すれば、復学できるはず」と考える親御さんは多いです。

しかし、今まで1000人以上の子どもたちをカウンセリング・復学サポートしてきた私の意見としては、心療内科で不登校が解決するケースは少ないと感じています。なぜなら、心療内科で解決せずにエンカレッジの復学支援に申し込まれる方が多いからです。

もちろん、心療内科で回復した方はこちらへ来ないので、心療内科で復学した方も実際は多いのかもしれません。しかし、最近このようなことがありました。

心療内科の立場

心療内科のドクターが私の本を自身のクライアントさんに紹介されて、その心療内科のクライアントだった方から連絡があったのです。なぜその心療内科の先生が私の本を紹介されたのかというと、以前に心療内科のドクターのクライアントさんが何人かが急に来なくなって久しぶりに来てドクターが「最近はどうですか?」と伺ったら学校復帰できたので受診を終わりたいと言われたそうです。

どうして学校復帰できたのですか?とドクターが聞くと「民間の支援機関のエンカレッジさんで支援を受けて復学できました」と言われたそうです。それが何名かいたようなので、先生が教えてくださったとのことでした。

「本当は立場的には良くないのですが」と前置きをしてから伝えていただいたようですが「実際に結果が出ているようなので解決を望まれるなら本を読まれて問い合わせしてみてはいかがですか」とおっしゃられたそうです。「私としても心苦しいのですが立場上、うちでの治療となると回復するまで様子を見るか薬物療法になりますので」とおっしゃったそうです。

もちろん、うつの症状などには心療内科、精神科は第一選択となりますが、不登校はそれだけではなく様々な状況でなります。心療内科が合わないと思っても心療内科の立場ではそのように言わざるを得ないのだと思います。

その中で、別の民間支援を立場を越えて紹介してくださったそのドクターは素晴らしいドクターだと私は感銘を受けました。ドクターの中には自分の療法を押し付けるような方や、センシティブな内容を平気で子どもの前で言ったり、子どもの前で親を強く非難したりするといった内容をクライアントさんから何度も聞きました。

そういった内容を聞く中で、そのドクターはその子に合った支援を自分にはメリットがないのにご家庭のために選択してくれたことに感銘を受けました。実際にドクターから紹介された方はエンカレッジの支援で無事に学校復帰できました。

学校の立場

また学校にも同じように立場があります。学校の不登校支援は、養護教諭やスクールカウンセラーが第一選択となります。以前に小学校の校長会の会長さんとお話させていただく機会を設けていただき、民間との連携についてお話しさせていただきましたが、学校には学校のやり方があるからと一蹴されました。

直接、民間の連携となると学校の組織としての規律が乱れるということなのかと推測しました。それだと子どもたちの復帰に時間がかかってしまうという現状や民間のフレキシブルな対応をお伝えしましたが行政の縦割りの仕組みの硬さや前例がないという今までの慣習という壁があまりにも高く悔しさ中、その場を去ったのを今も覚えています。

その中でもこっそりと養護教諭の先生やスクールカウンセラーの先生が私の本を親御さんに紹介されたケースもありました。今回の心療内科のドクターと同じで、私の立場では公には言えませんがと前置きをして。

確かにそれぞれの立場はありますので、それは理解できます。でも子どもファースト、家庭ファーストでその家庭に一番合った選択を優先できるようになればとの思いは強いです。

エンカレッジの立場

エンカレッジは常に子どもファースト、家庭ファーストで取り組んでいます。エンカレッジの支援が合わないと思った時にはしっかり断ります。「せっかく支援を受けたかったのに残念です」と涙を流される方もいらっしゃいました。「藁を掴む思いでたどり着いたのに辛いです」とおっしゃられた方もいます。

しかし、それがその子のためにならないと分析したのであれば民間企業としてのエンカレッジの立場は関係なく、その子に合った選択を提示しなければならないと思っています。

心療内科で回復できるケースとそうでないケースとは

 

私が見てきた中にも、不登校の子どもが「不登校になったから、精神的に不安定になった」というケースはあります。もし不登校になっていなければ、精神不安定になることもなかったかもしれません。

結果的に不登校になり精神的に不安定になり、思春期うつのような状態になったり、不眠や摂食障害などになった場合は、私は病院の受診を強く勧めます。まずは健康であることが大切だからです。

もし「精神的に不安定になっていて、不登校になった」のであれば、心療内科や児童精神科にかかって気持ちを落ち着かせれば再登校できるかもしれません。なぜなら不登校の原因が「精神不安」だからです。

しかしほどんどの子は、不登校になったことで「これから先どうしよう」「なんて自分はダメな子なんだ」と考えてしまい、自己肯定感・自己効力感が低下した結果、うつ状態や体調不良を引き起こします。

「精神不安定で不登校」→ 心療内科・児童精神科の受診が有効

「不登校が原因で精神不安」→ 根本原因が不登校のため、第一選択は心療内科だが回復するだけでは不十分

つまり、因果関係が逆なのです。不登校になっていること自体がストレスや不安のもとなので、不登校を解決することこそが精神的な安定に繋がるのです。

この「不登校の原因分析」が非常に大切です。

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「不登校のとき心療内科に行くべきかの見極め方!」まとめ

不登校の子は心療内科に行くべきかどうか

不登校の子が心療内科に行くべきかどうかは、やはりその子にとっての不登校の原因が大きく関わります。ただし、食欲減退などの明らかな体調不良があるときは早めに連れて行く方が安心ですね。

中にはHSCや神経発達症(発達障害)、起立性調節障害などが隠れている可能性もあるため、精神不安だけでなくこのような特性は親が早く気が付いて対応することが望ましいです。

また不登校になると一時的に不安定な状態に誰でもなります。しかし、しばらくすると多くの子が精神的にも落ち着いてきます。一時的に不安定になったときにすぐに心療内科や精神科にアクセスする前に、冷静に対応し、少しは様子を見てあげることも頭に置いておいてください。

どちらにしても急に不登校なって親が焦ってしまうと、ネットなどの情報に急いでアクセスして子どもに合ってない支援を選択してしまいがちです。

判断に迷った際は、エンカレッジの無料オリエンテーションでもいいですし、臨床心理士や公認心理士など心理の専門家に相談することをおすすめします。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。