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兄弟姉妹がいるご家庭では、不登校の子と、登校している子が両方いる場合、それぞれの対応の仕方でも悩まれているのではないでしょうか。
不登校の子に「疲れたら学校を休んでいいよ」と言っていると、それを聞いた兄弟までも不登校になりやすいですし、一方で「お兄ちゃんは学校を休んでダメだよね」などと弟に言っていると、それを聞いた不登校のお兄ちゃんが自己肯定感が下がってしまうおそれもあります。
大事なのは、兄弟姉妹1人1人をしっかり見て、それぞれで対応していくことです。
今回は、兄弟が不登校の時に、登校している方の兄弟が抱えやすいストレスとその対処法についてまとめていきます。
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兄弟が不登校の時、登校している兄弟が抱えやすいストレス
兄弟が不登校になっているとき、登校している方の兄弟はストレスを抱えやすいです。
そしてこのストレスをうまく発散できないと、登校している方の子まで不登校になることが多いため、しっかりケアして行きましょう。
ここでは、登校している子が不登校の兄弟を見て考えることと、親の対処法について挙げていきます。
兄弟が羨ましい
兄弟が不登校のとき、登校している方の子が一番思うのが「ずるい」と言うことです。具体的には、以下のようなことを考えていることが多いです。
- なんでお兄ちゃんは朝起きてこなくていいの?
- 学校休んでるのに、ゲームやってる!ずるい!
- 私は宿題しているのに、ゴロゴロして羨ましい!
頑張って学校に行っている子からしたら、不登校の兄弟が家で悠々と過ごしているのを見てずるいと感じるのは当然です。羨ましさから「自分も学校行きたくない」と思わないように、親としては登校している子に対してその子だけの時間を取り「あなたの頑張りを見ているからね」「1週間お疲れさま!」という褒め&労いをしっかりしていきましょう。
親への怒り・嫉妬
不登校の兄弟への羨ましさから、怒りや嫉妬となって親に矛先が向くときがあります。例えば、以下のような気持ちです。
- なんでお母さんはお兄ちゃんだけ優しいの?
- 学校に行ってる私のことはほったらかしなのに
不登校の兄弟の方に体調不良や精神的な不安定さ、神経発達症(発達障害)がある場合、親はどうしてもそちらに目が向いてしまいます。しかしそのような時は、登校している方の子は「自分は放置されている」と思いやすいです。
そのため、登校している方の子とだけ接する時間を作るなどして、水入らずのコミュニケーションを取るのを忘れないようにしていきましょう。
兄弟が不登校の子のストレスチェック
兄弟が不登校であることで、登校している方の子がどのくらいストレスが溜まっているかは判断が難しい所ですよね。
かなりストレスが溜まってしまうと、自室に引きこもったり親への反抗がひどくなったり、自らも不登校になってしまうことがあります。そのため、兄弟の子がストレスを溜めていることに早い段階で気付き、ケアしていくことが大事です。
ストレスの溜まりやすさは、個々の性格にも関わるので判断は難しいですが、今までたくさんの不登校の子とその兄弟を見てきたところでは、大雑把に以下のようなレベルで捉えることができると思います。
あくまで参考程度ではありますが、お子さんのストレスレベルを観察する参考にしてください。
【レベル1】ストレスが表面化していない
最初の段階は、まだお子さん自身でストレスに気が付いていません。
不登校を羨ましいという気持ちよりも、「学校に行かなくて大丈夫なのかな?」と兄弟を純粋に心配したり、兄弟の代わりにプリントを職員室までもらいに行くのが面倒だなぁのようなぼんやりとした不満を抱えていたりします。
この段階では、「〇〇ちゃんはちゃんと学校に行ってえらいね!」などと過剰に褒めないことが大事です。なぜなら、学校に行くのは当然のことで、本来は褒められるようなことではないからです。この段階で褒めすぎてしまうと「学校とは行けば褒められるところ(つまり自分は頑張っているからすごい)」と感じてしまいます。
心理学で「アンダーマイニング効果」と言うものがあります。絵を描くのが好きな子どもに「上手に描けたらご褒美をあげる」と言っていると、ご褒美がないと絵を描かなくなってしまう現象です。
本来は自分から好きでやっていたこと(内発的動機づけ)が、余計な褒めやご褒美(外発的要因)によって、内発的動機づけが低下してやらなくなってしまうのです。
【レベル2】親に文句を言う
少しずつ兄弟の不登校でストレスが溜まってくると、そのうち親に文句を言うようになります。
しかし、文句を言うのは「不満を言えば、親が対処してくれる」「親は僕の言うことをわかってくれる」という期待があってこそ。つまり、この段階は親への信頼や期待があるということなので、お子さんの不満や文句はしっかり聞いてあげましょう。
根本のストレス原因(兄弟の不登校)が取り除かれていなくても、不満をしっかり受け止めてもらっていると思うと、兄弟の溜飲が下がることもよくあります。
そして、この不満・ストレスが顕在化してきたタイミングでは、「学校に行って、頑張ってるね」とお子さんを褒め、努力を労ってあげましょう。
【レベル3】物にあたる・兄弟喧嘩する
さらにストレスが溜まると、子どもは親に対して諦めの気持ちを感じるようになります。
「不登校のお兄ちゃんにばかりお母さんは優しい、僕はほったらかしにあっている」のような気持ちが出てくると、不登校の兄弟に突っかかったり、物にあたったりするようになります。
このレベルになると、本腰を入れてケアする必要があります。今までの家庭内対応を見直したり、自分1人で解決しようとせずにスクールカウンセラーや自治体の相談窓口、民間の機関など、第三者に相談しながら進めると親御さんも慌てないと思います。
【レベル4】不登校になる
兄弟の子のストレスがさらに悪化すると、不登校になることもあります。
そもそも、不登校の子の兄弟は不登校になりやすいのです。その理由は以前の記事でご説明した通りですが、兄弟姉妹で不登校になると親も心労や負担が増します。
そして再登校しようと試行錯誤するのはかなりのエネルギーがいるため、「いっそ、もう少し兄弟で完全不登校で様子を見ようか…」となり、気づいたら兄弟で長期不登校になっているケースも多いです。
そのため、兄弟で不登校のときの親御さんの負担は相当なものであることは承知の上で、早く再登校できるようにもうひと踏ん張りするのが大事だと思うのです。
兄弟が不登校の時、登校している兄弟へのフォロー方法
兄弟が不登校の時、登校している方の子への対応の仕方は迷うところだと思います。
対応の仕方は色々あるかと思いますが、大事なのは「親への信頼を持ち続けてもらうこと」です。
ここでは、家庭内に不登校の子がいながら、登校している兄弟との信頼関係をキープする方法をまとめていきますね。
質問には真摯に答える
まず大事なのは、子どもからの質問に真摯に答えるということ。
登校している子は、不登校の兄弟を見るにつけ色々な疑問が頭の中に浮かびます。
- どうしてお兄ちゃんだけ学校休んでいいの?
- 学校に行かない間、お母さんとお兄ちゃんは家で何をしているの?
- 学校に行かなくても、案外普通に生活できてるよね
これらの問いに答えるのは難しいですよね。「お姉ちゃんが休んでいるのは今だけだよ」と言ってたのに、結果何週間も休んでしまったり、色々な矛盾が生じてしまうからです。
そのため、「どうしてお姉ちゃんだけ学校休んでいいの?」と質問されて、答えにくくてつい「お姉ちゃんもきっとすぐ登校するから」などとサラッと説明して終わりだと、子どもも納得できないですし、親への信頼が揺らいでしまいます。そのため、矛盾点も併せて、正直に真摯に答えるのが良いと思います。
「お姉ちゃんには、数日学校を休んだら、また普通に登校してもらうつもりだったの。でも、お腹が痛くなってきて、まだ登校できそうにないみたい。お姉ちゃんだけ学校行かなくてずるいという気持ちはもっともだと思うよ、弟くんは頑張っているよね、お母さんはちゃんと頑張ってるの見てるよ。でもお腹痛いのはしっかり治してあげたいと思ってるの」など、当初の予定からの変化や、親の気持ちも説明すると共感してもらいやすいです。
そして、不登校の兄弟に対して色々不満はあるものの、「親は自分の頑張りを見てくれている、僕の気持ちをわかってくれている」と思えるだけで、登校している方の子が気が晴れることは多いものです。そのため、しっかり向き合うということを大事にしてほしいです。
登校している子だけと接する時間を作る
つい普段は不登校の子に時間を割いてしまうという場合は、意識的に登校している子だけと接する時間を作ると良いでしょう。
不登校の子がお父さんと留守番している間に、登校している方の子とお母さんが休日に公園に行ったりスイーツを食べに行くなどです。
不登校の子が「登校していると自由に遊びに行けていいな」と感じて登校意欲にもなりますし、登校している子は自分の頑張りをわかりやすいかたちで確認でき、お母さんも独り占めできて満足し、「自分も不登校になりたい」と考えにくくなります。
下の子を守る行動をする
休んでいる子に、協力してもらうのも1つの方法です。
- 下の子が登校するまではベットで大人しくしておいて
- 下の子が登校するまでは学校の用意はちゃんとしておいて
下の子が幼稚園など小さい場合は、上の子にどうしても引っ張られてしまいます。説明しても「そんなこと言われても元気じゃん。ズルいし僕も休みたい」と言われると対応が難しくなります。
上の子に協力してもらうことは不登校を容認してしまうのでいいことではないかもしれませんが、兄弟でお休みをしてしまうと戻ることがとても大変になるので、下の子を守るために知らなくていいことは知らないままにしておいた方がいい場合もあります。
不登校が長くなったり、下の子が小学生になったりしたら隠し通すのが無理にはなりますが、それまでに再登校を目指して、可能なら下の子には余計な負荷をかけずにしてあげたいと私は考えます。
また、上の子も弟や妹まで学校を休むことをいいと思っている子は基本的にいません。私はコーチングで子どもたちに、「弟が休みたいと言ったら、お姉ちゃんみたいにあなたも休めというか?」と聞きます。そうするとみんな首を振ります。上の子も下の子には同じような思いをしてほしくないのです。
だから、私は「そうだよな。でもあなたが休んでいたら弟も休みたいと思ってしまうかもしれない。だから、大変だと思うけど学校に戻って、今度は困ったことがあったらいつでもお姉ちゃんに相談しなよと頼ってもらえるお姉ちゃんになろう」と伝えます。するとみんな強くうなずいてくれます。みんな下の子にはかっこいいお姉ちゃん、お兄ちゃんでいたいのです。そしてそれができない自分を悲しくも思っているのです。
そのためにもしっかりと登校までサポートしてあげることがその子の自己肯定感にもつながりますし、下の子のためにもつながります。
1人が休んでしまうと兄弟姉妹で不登校になるリスクは高まりますし、その悪循環はどんどん加速してしまいます。しかし、兄弟姉妹で登校できるようになると上の子はしっかり下の子を支えてくれます。
自分ができなかったのを補うようにしっかりしてくれます。その好循環になれば兄弟姉妹の協力や結束は親として頼もしく感じるはずです。実際にそのような場面を私はたくさん見てきましたし、今も実感しています。
また兄弟姉妹での協力に関しても性格的に馬が合わないというケースもあります。その場合は、それぞれの距離感を大切にしてあげる必要もあるので、見極めには注意が必要です。
「不登校で兄弟がストレスを溜めているときの対処法」まとめ
「褒めすぎはダメ、でも褒めが必要なときもある」など、難しいことを言ってしまいました。しかし、子どもと言えど「認められたい」「サボりたいけど頑張りたい」のような複雑な心理を大人と同じように持っているからこそ、1人の人間として向き合っていくことが大事だと思っています。
そして兄弟の不登校でとても重要なのは、2人とも登校できる状態を作ることです。兄だけ、弟だけ、姉だけ、妹だけという対応には限界があります。1人だけ休んでいることを肯定することも、あなたは休まず頑張りなさいということも、個別に対応するというのにはどうしても矛盾が出てしまうので、早い時期にしっかりと兄弟姉妹で登校できる環境を親として整えてあげましょう。その努力を親としてしてあげることが一番兄弟姉妹のためになりますので。
私は今まで1000人以上の復学サポートをしてきたので、《姉&弟の不登校》など、経験上様々なケースの特徴や解決パターンがあると思っていますが、兄だけ登校させる、妹は休ませないようにするなどの特殊な対応ではなく、2人とも登校できるようにしようというのが一番ですし、それは可能です。個別に相談されたい方は無料オリエンテーションからご連絡ください。
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