登校しぶり

【朝だけ登校しぶり】親のリアルな質問10個に復学専門家が回答

【朝だけ登校しぶり】親のリアルな質問10個に復学専門家が回答
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

新年度に入ると増える登校しぶり。

子どもは率直な気持ちを言っているだけでも、親御さんからすると仕事に行けるかどうかを左右する大問題です。中には「仕事を辞めるべきか」と悩んでしまうお母さんもいます。

そして、一口に「登校しぶり」と言っても、朝だけ登校しぶりするケースもあれば、月曜日に悪化するケース、体調不良も併発するケースなど様々なケースがあるため、親御さんとしても対応方法に悩まれるのではないでしょうか。近年特に多いのは朝だけ登校しぶりするケースです。

そこで今回は、朝だけ登校しぶりする場合の一般的な対処法をご紹介するとともに、親御さんからよく頂く質問の回答をご紹介する形で具体的な対処法・考え方をまとめていきたいと思います。

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登校しぶりが朝だけの場合の原因と対処法

朝だけ登校じぶりするケース

本ブログでも、登校しぶりについては今までに色々な記事にしており、その記事は以下の通りです。そのため、登校しぶりについて全体的なことについては、以下の記事を読んでいただければと思います。

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上野
上野
登校しぶり全体については上記記事で書いた通りですが、朝だけ登校しぶりするケースでの親御さんからのよくある質問を以下ではご紹介していきますね。

朝だけ登校しぶりするケースの親御さんからの質問

登校しぶりの子の机

登校しぶりというのは、不登校になりかけてはいるけれど登校も出来ている」という、とても微妙で繊細な立ち位置です。だからこそ、親御さんも対応に悩まれることも多いでしょう。

ここでは、良く寄せられる登校しぶりに関する親御さんのご質問と、私の回答をご紹介したいと思います。

親の疑問①「朝だけお腹が痛くなってしぶるのは仮病ですか?」

朝だけ登校渋り

仮病の可能性もあります。

元気だと親に登校を促されますが、お腹が痛いと言えば「学校に行きなさい」とは言われないですし、学校を休む理由があるのである意味堂々と休めるのでしぶるときに腹痛を訴える子は多いです。

ただ、最近は仮病として休むために意図的にやっているというよりは、「学校が嫌だ」というストレスから胃がキリキリするような症状が少なからず出ているのだと思います。子どもなのでそれをストレスからの胃痛とは認識できないので、「なんかお腹が痛いような気がするから嘘じゃないし、お腹が痛い」と言ってしまうのです。

また学校が嫌な気持ちがあるので何となく「お腹が痛い」と強く思い込んでしまうと、本当に痛くなってしまう子もいます。実際に、朝に学校に行きたくないからかと熱を38℃まで自力で出す子もいました。

普通は学校に行きたくないなと思っても熱を測ると熱がないので、残念そうに諦めて学校に行くという流れになるのですが、思いこみが強い子は本当にお腹が痛くなったり熱が出たりします。

また最近は過敏性腸症候群など、精神面が体調に影響する子も多いです。心と体は密接に結びついているので、しぶりが出る状況というのは精神的に負荷がかかっているということなので、体調にも影響します。

仮病というよりはむしろ、ストレスで本当に体調が悪くなっているケースの方が最近は多いように感じます。

親の疑問②「なぜ朝だけ登校しぶりするのでしょうか?」

朝だけ登校しぶり

直前になると怖くなるというのが大きいと思います。

小学生低学年の場合は先のことを読むことがまだ上手ではありません。夜などは行ける気がしたり、先のことなのでそれを夜にまで感じない可能性もあります。でも直前になると急に学校というもののイメージが大きくなり嫌なことを急に思い出したりして、朝に泣き出してしまいます。

高学年や中学生などは「行かなければいけない」「休んではいけない」という責任感などから準備までして制服まで来て玄関まで行きますが、そこから固まって動けなる子が多いです。

その葛藤は親としても見ていて辛いところはありますが、「行くかな」と思っていて直前に固まられてしまうと時間もないので対応という観点からも親として辛いところはあります。

もちろん、朝の相談を受けている我々カウンセラー側からしても直前に急に止まられると対応のアドバイスもできないので直前で止まってしまう子はアドバイスする側としても大変です。

親の疑問③「無理やり教室まで連れていくのはNGですか?」

朝だけ登校しぶり

しぶっている理由が一過性のものであれば、無理に連れて行って学校に行っているうちに解決する可能性もあるので、そのような場合は連れて行くのも1つだと思います。また新学期など新しい環境が苦手でしぶっている場合も、環境に慣れてきたらしぶりがなくなってくるかもしれませんので、その場合もNGとは言えません。

ただ、しぶりが出ていて無理やり連れて行かないと学校に行けない状態というのは、かなり限界にきている状態となりますので、ほとんどのケースがNGとなります。

先生との関係も悪化しますし、親子の関係も悪化しますし、抵抗することに必死で本来なら言わないような「離せよバカヤロー」「あっち行けよ」「死んだ方がマシ」「クソ、死ね!」などという言葉も出てきて荒れてくる子も多いです。

特に自己解決能力の不足、母子分離不安、ストレス耐性の不足、大勢が苦手、人が苦手、人の目が気になるのが原因で登校しぶりしている場合、無理に連れて行って原因が解決するものではありませんし、悪化するだけですので根本的な対応の見直しが必要になります。

親の疑問④「1日だけ休ませるのはアリですか?」

朝だけ登校しぶり

基本的になしです。

一度休めることを知ってしまったり、体が覚えてしまうと「また同じようにしたい」と思ってしまったり、そのように体が反応してしまいます。休むことに慣れてしまって五月雨登校の状態になってしまうと「その状態でいい」と頭が認識し、体も認識するので嫌なことがあると休めばいいという選択をしてしまいます。

それが続くと勉強の遅れ、周りの目などそれによる2次リスクも増えてきて結局なかなかそこから抜け出せませんし、そこから結局完全不登校になってしまうケースの方が多いです。

ただ、小学生高学年、中学生、高校生などは割り切って1日自分で休むと決めてリフレッシュしてやれる子もいるので一概には言えません。エンカレッジのクライアントさんでも高校生で土日以外に週1日休むと決めて週4で学校生活を送っていた子がいましたが、今は自衛隊の幹部候補生となっています。

なので自分の中でしっかり決めて動ける子はいいかもしれませんが、ほとんどの子がだんだんと休みが増えていき辛くなっていきますのでおすすめはできません。

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親の疑問⑤「《辛いなら行かなくていいよ》と言うべきですか?」

朝だけ登校しぶり

いじめられているケースや、辛くて眠れない、食事もとれないようなケースはむしろ、「行かなくていい」と言ってあげないといけません。

ただ、そのようなケースではなく登校しぶりの状態で「辛いなら行かなくていい」と親が認めてしまうのはよくないと私は思っています。

これは様々な考え方があるので私の意見になりますが、親が休んでいいと認めてしまうと子どもは許可をもらえたことになるので、親のせいにできますし楽に休めてしまいます。「お母さんがいいって言ったからよかった~」と安心してしまいます。

親としてもそんなつもりで言ったのではないのですが、子どもはそんなに辛くなくても「学校が辛いと言えば親が休んでいいと許可してくれる」と思ってしまい、都合よく使う子もいます。

「死にたい」という子もよくいますが、詳しく聞いてみると昼には元気でYouTubeを見て、お昼ご飯も夜ご飯もたくさん好きなものを食べて、たまに友達とも夕方遊んでいる。そして朝になって「死にたい」というのは「え?」ってなりますよね。

本人にとっては死にたいほど辛いのかもしれませんが、「行かなくていい」という言葉は子どもたちにとっては堂々と休める安心の言葉ではあるので、「そんなに辛いなら休んでいいよ」と伝えた瞬間に今までの辛そうなのがウソのように元気になる子もいます。

なので、安心させてあげないといけないのか、安易に安心させるとそれを都合よく使おうとするのかはしっかり見極めないといけません。

私は休むならせめて親の許可で楽に安心して休むのではなく、自己責任で罪悪感を感じる休み方をしてもらう必要があると思っていますので、基本的に「休んでいいよ」とは言わない方がいいと思っています。

親の疑問⑥「登校しぶりが朝だけなのは大したことないのでは?(甘え)」

朝だけ登校しぶり

「朝だけだから大したことはない」「学校に行けば問題ないから大丈夫」と思うのはやめましょう。そこには大きなリスクが含まれています。

しぶりが出ている時点で基本的には本人にはかなり負荷がかかっています。学校で問題がないのにしぶっているということはかなり無理をしている状態といえます。その原因がわからないままその問題を解決せずストレスフルな状態で登校を続けてしまうといずれパンクしてしまします。

学校に問題がないのにしぶったり、行きたくない理由がコロコロ変わるのは何か根本的な問題(自己解決能力の不足、自己責任能力の不足、ストレス耐性の不足、母子分離不安)が潜んでいる可能性があります。

なので、甘えているだけと登校を促し続けるだけではなく「そこには何かがある」と思って課題を把握してその問題に取り組んでいく必要があります。

親の疑問⑦「朝だけの登校しぶりでも、いずれ不登校になりやすいですか?」

朝だけ登校しぶりする小学生

先ほどの質問でも答えた通り、無理をした状態が続くといずれパンクします。根本的な問題が解決出来ていないといずれ不登校になりやすいです。

また、しぶりのある状態であるということはギリギリの状態ということになりますので、そこに追加で友達に嫌がらせをされたり、テストが心配で行けない、インフルエンザやコロナなどの長期休みなど不確定要素が加わるとそこから一気に崩れてしまう子もいます。

常にギリギリの状態では何か他の要素を加わると不登校になりやすいので、行けているからと今の状態のままでいるのは危ないです。

親の疑問⑧「見ている方がイライラしてしまいます」

朝だけ登校しぶり

確かに親も朝に時間がない中でしぶられるとイライラしてしまいますよね。その気持ちはとてもわかります。

しかし、そこで感情的になって非難などをしてしまうと余計に悪循環になって動けなくなってしまいます。

さらにしぶりが出ている子は自分に自信がなくなって自己肯定感が低くなっています。そのときに、「いつまでそんなことを続けているの!1年生だって毎日歩いて行ってるんだよ」とか「昨日は頑張るって言ってたじゃない。ウソつき」など親のイライラをぶつけてしまうと子どもの自己肯定感がどんどん下がって余計に色々なことに不安を抱えるようになります。

それを言ってプラスになることはないので、イライラするのは仕方ないですがぶつけるのはやめましょう。

そして、朝は時間がないので「あなたのせいでお母さんが仕事に遅刻するでしょ。あなたのせいで会社のみんなが苦労するんだよ」「お母さんだって言いたくないけどあなたのために言ってるんだからね」などとおっしゃる方もいらっしゃいます。

確かに仕事の事情は大人は痛いほどよくわかりますが、子どもにお母さんの会社のことを考える余裕はないのでそれも控えましょう。また自分の時間がないことを伝えた後などにそのように「子どものため」と言っても説得力がないのでやめましょう。

確かにイライラする気持ちはよくわかりますが、それをぶつけても登校する意欲はなくなりますし、自己肯定感は下がりますし、自分の事情を優先されていると思うと信頼関係にも影響が出ます。なので、深呼吸をして一旦離れるなどして冷静に対応していきましょう。

親の疑問⑨「起立性調節障害でしょうか?」

朝だけ登校しぶり

その可能性もありますが、小学生では起立性調節障害の子はかなり少ないです。

うちに相談が来るケースではということになるので実際はわかりませんが、小学生は朝が起きれない=起立性調節障害ということを第一選択肢とはしない方がいいかと思います。

中学生は可能性は十分にあります。しかし、見極めが大切になるので、起立性調節障害に関しては詳しく記事を書いていますのでそちらを参考にして下さい。

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親の疑問⑩「会社を辞めて子どもと向き合うべきですか?」

仕事中の不登校の親

確かにしぶりが出て子どもが遅刻すると、親の方も遅刻することになるので会社にも迷惑が掛かりますので、「辞めて向き合った方がいいのか」と迷われている方も多いと思います。

しかし、仕事を辞めて子どもと過ごす時間が多くなれば多くなるほど、母子依存が強くなり、母子分離不安になりやすくなります。親がいることで過干渉にもなりやすく、自己解決能力も不足していきます。「親といるほうが安心」と周りとの関りもより少なくなって母子依存が強くなるといった悪循環になります。

もちろん、甘えが足りていないのだから仕事を辞めて甘えさせてあげれば安心して学校に向かうようになるという考え方もありますが、経験上そのようになる子はほとんどいなく、悪循環になっている子の方が多いです。

それは愛情はすでに満たされている子が多く、逆に愛情のかけすぎで過保護、過干渉になっていて母子依存、母子分離不安からのしぶりが出ている可能性があるので、そこにさらに甘えを満たしてあげる行為は逆効果だと考えています。

また親の方も常に一緒に居て、「ママ~」「ママ~」と呼ばれ続けると精神的に辛くなってきます。それこそイライラして上記のような発言をしてしまう場合もありますし、その状態が長く続くと「子どもを可愛いと思えなくなってしまっています」と自己嫌悪に陥ってしまう方もいます。

なので、精神衛生上、仕事の調整や時短、リモートワークなど会社にお願いできることはお願いして、少しでも1人になる時間を作った方がいいです。

またすでに会社を辞められている方は、しぶっている状態で働き出すのは子どもの不安が強くなってしまうので、その場合は図書館にいく、午前中は少しの時間でも離れてカフェに行くなど、自立面としても精神衛生上の観点からもお互いに1人の時間を持つようにしてください。

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朝だけ登校しぶり

登校しぶりは、完全不登校とはまた別の気苦労や大変さがあります。親御さんとしても日々対応に迷うことも多いと思い、私の意見を書かせて頂きました。

ただ、今まで20年近く不登校の子たちを支援してきて思うのは、なんとか学校に行けていたとしても、登校をしぶっている時点でその子のなかに何か困っていることがあるということです。

それはもしかしたら自己肯定感・自己効力感の低下かもしれませんし、完璧主義思考で自分で自分を追い込んでしまっているのかもしれません。

そういった《漠然とした不安感》がどこから来ているのかはっきりさせ、頭が柔らかい子どものうちにコーチングしていくことで、困難があっても「自分はできる!」と信じる力や逃げずにやり抜く力が育つと思っています。

そのため、今の登校しぶりの状態は、未来を力強く生きるための練習です。ここの乗り越え方、プロセスが大事なので、ただ登校したかどうかがゴールではありません。

登校しぶりする子が「どういう考え方から、どう変わって登校出来るようになったか」というプロセスを大事にすると、登校しぶりの経験が人生の糧となります。エンカレッジでも日々、再登校したその先の未来を考えながら支援しています。

今は辛い登校しぶり期間ですが、この登校しぶりを乗り越えるとお子さんは大きく成長します。どう乗り越えるかは周りの大人のサポートの仕方が大きく関わるため、不安や疑問がある方はエンカレッジのLINE無料オリエンテーションも活用して納得のいく対応方法を見つけてください。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。