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私はかねてより「不登校の小学生は勉強の遅れを気にしなくて大丈夫」と言ってきました。
そう考えるのは長年復学支援してきた経験からなのですが、そうは言っても中学受験を考えていたり、ご家庭の事情などでどうしても勉強の遅れが気になる方もおられるかと思います。
また復学支援などで学校復帰したけど、なかなか勉強や宿題の習慣化ができない子もいると思います。
そこで今回は、不登校の時や復学直後に家で勉強してもらうための親の対応ポイントをまとめていきますね。
不登校時に勉強させるときの親の対応ポイント
不登校の時、子どもに勉強してもらう方法として一般的に以下のようなことが言われますよね。
- 学習環境を整える
- 生活リズムを整える
- 勉強の習慣化をする
- その子に合った学習ツールを使う
- ゲーム・YouTube時間を減らして勉強の時間創出をする など
これを見て「そうなんだ!」と思われた方は素直な方です(笑)
大抵の方は「それはわかってるんだけど…」「わかってるのにできないから困ってしまう」と思われる方が多いのではないでしょうか。《勉強の習慣化》もそうですが、わかっているのに出来ないのがもどかしいところですよね。
そこで今回は、上記のことを実践するために、心理面からポイントを解説していきます。
子どもと一緒に目標を決める
まず確認しておきたいのは、親と子の間で学習に対する認識合わせが出来ているかということです。
勉強する目的は「受験」や「将来して困らないため」などの理由が多いですが、親主導の目標になっている場合が多いため、お子さんはどんな考えか確認してみましょう。「親が勉強しなさいって言うから勉強しなきゃ」という気持ちでは、やはり学習習慣をつけるのは難しいです。
お子さんが興味関心があること、将来の夢などから、今の勉強が将来どのように役に立つかをできるだけ具体的に示してあげましょう。
- 「割合の計算ができたら、クーポンの計算が出来て得しちゃうね」
- 「植物を勉強したら、大好きなお花も枯らさずに育てられるよ」
- 「こういうアニメを制作するときは複素数が使われているんだよ」
- 「将来YouTuberになりたいなら、法律や規約もわかるようになりたいね」 など
そうやって「勉強する目的」のすり合わせが出来たら、今度はそれを達成するための生活目標も決めていきます。ポイントはお子さんと一緒に決めることです。
朝は何時に起きるのか、どこで勉強すると集中できそうか、何時から勉強を始めるのか、1日の勉強範囲は時間で決めるのかそれともページ数等の量で決めるのか…等、決めることはたくさんあります。自分で決めると、親に押し付けられるよりも反発せずに取り組んでくれることが多いです。
そして決めたことは紙に書いて貼り出しておきましょう。何度も目にすることで、目標達成への意識が潜在意識に刷り込まれていきますし、心理学で「宣言効果」と言いますが、周囲に宣言すると目標達成率が上がることがわかっています。
また自ら発言することでも潜在意識の中に刷り込まれていきます。これを私は「自己定着」と呼んでいますが、勉強だけでなく復学支援プログラムでも「宣伝効果」と「自己定着」を採用しています。
登校刺激の時には復学の目標日を設定して、「〇月〇日に学校に行きます!」と声に出して自分に言い聞かせるように宣言します(自己定着)そして両親にも同じように宣言します(宣伝効果)両親にも宣言するのは宣伝効果もありますが、やはり親としては子どもから「学校に行く」という言葉を聞けるのは嬉しいものです。
子どもだけではなく家族として目標に向けて頑張ろうと思えるモチベーションにもなりますのでこのような形をとっていますが、個人の問題ではなく家族の問題として不登校を捉えることは家族療法としてはとても重要なことになります。
そして学校に行くための目標達成のスケジュールを紙に書いて、訪問カウンセラーの訪問時にまず一緒に確認します(宣伝効果)
このように心理師による復学プログラムだからこそ、現在も復学率は100%となっています。復学に関しては「行けば何とかなるはず」「根性が足りない」「勇気を出して行きなさい」という問題ではないのでしっかりと心理面も考えた準備もしていきましょう。
勉強だけではなく復学支援にも興味を持たれた方は、ぜひ一度エンカレッジの復学支援の内容もご覧ください。
勉強の話からそれてしまいしたが、もし決めたことをうまく回せなくても叱らなくて大丈夫です。「なぜ今日はできなかったんだろう?次はどうする?」ことを一緒に考え、PDCAを回す練習を一緒にしてあげましょう。
PDCAとはW・エドワーズ・デミングが提唱したPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善するサイクル
勉強を「直近で必要なこと」と捉える
子どもは不登校になると、授業も宿題もないので、勉強する直近の理由がなくなっています。親が「将来のために勉強しよう」と言っても、将来のことはぼんやりしているので「いつかは勉強するけど、今はやらなくていいよね」という気持ちになりやすいのです。
そこのモチベーションをどのように作るかが、不登校時の家庭学習の最大のポイントとも言えます。大事なのは「この勉強は《今》しなければいけない」と子どもに認識してもらうことです。学校復帰後は、逆に勉強の遅れに直面するので勉強しないとという意識も高くなります。そのモチベーションをうまく活かせるようにしていきましょう。
中学受験など明確な目標がある場合は、模試結果や過去問題集などからマイルストーンを決め、1か月/1週間/1日といった細かな目標に落とし込んでいき、「今日までに○ページ終わらせなければいけない」等の直近の目標とするのが理想です。
受験等もなく勉強の目的がぼんやりしている場合は、前述のとおり学習の目的をすり合わせしてみましょう。それでもダメなら、本質的ではないですが「1週間でこのドリルが終わったらマンガ買ってもいいよ」といったご褒美作戦が効果的です。
大事なのは「今勉強しなきゃ」と子どもに感じてもらうことですので、「今日やること」までしっかり落とし込みましょう。お子さんが一人で決められない場合は、親御さんも一緒に考えてみてください。
学習の習慣化をサポート
「習慣化」も奥が深いテーマの1つですよね。
大人のビジネス本でも習慣化系はとても多いので、子どもに限らず大人でも「習慣化したいのにできない」と悩む人の多さを物語っています。
習慣を作ることは心理学用語で「行動変容」とも言いますが、人間はホメオスタシス(恒常性)が働いて「今の状況をキープしよう」という本能が働いてしまうため、なかなか新しい行動を起こせないですし、起こしたとしてもホメオスタシスで元に戻ろうとします。
行動変容のためには「動機付け」が非常に大事なのですが、以前私が代表を務める家庭教育推進協会主催で「行動変容ステージモデル」をテーマにしたセミナーも開催したので、ご興味がある方は以下の記事も参考にしてください。
「勉強しなさい」は言わない
勉強の目的が共有できていて、子ども自身で生活目標も決めた後は、逐一「勉強しなさい」と言うのは逆効果です。
というのも、「勉強しなさい」という親の言葉から、以下のようなメッセージを受け取られる可能性があるためです。
- 「学校にも行ってないんだから、せめて勉強くらいしたらいいのに」
- 「このまま勉強しなかったら、もう進学は無理かもしれない」
- 「他の子はできていることが、なぜうちの子だけできないの」
- 「いつまでも勉強から逃げてばかり」 など
子どもは大人が考えるより、繊細で鋭いです。「勉強しなさい」の裏に込められた、意図も敏感に感じ取ってしまい、存在を否定されたような気分になり、勉強どころではなくなったり、勉強自体に嫌悪感や苦手意識が強くなります。
またやらされるということに対しては人間は自分にプラスなことであっても無意識に抵抗してしまうという心理が働きます。これを心理的リアクタンスといいます。
皆さんは子どもの頃、せっかく勉強をしようと思っていた時に親から「勉強しなさい」と言われ、急にやる気がなくなった経験はありませんか?私はよくありました(笑)私の母親は共働きで忙しく、一緒に過ごす時間が少なかったので、顔を合わせるたびに第一声が「勉強したの?」でそのたびにやる気がなくなった思いがあります。
逆に皆さんがお子さんに「勉強しなさい」と言って「今、勉強しようと思ったのにやる気なくなった」と言われていませんか?(笑)
自分の発言が心理的リアクタンスを引き起こしてしまい、せっかく勉強をしようと思った気持ちを無くさせてしまうのはもったいないので、そこはしっかり意識していきましょう。
そして子ども自身、そもそも自分が学校に行っていないこと、勉強していないことを負い目に感じています。「このままじゃだめだ」ということも自分でわかっているのに、なかなか行動が伴わず、自己嫌悪に陥っていることが少なくありません。
また学校復帰後も、宿題をしないといけないのはわかっているけど、学校に行くだけでも精一杯で余裕のない子もいます。やらなければいけないけどできないというところも理解してあげましょう。
復学支援では、そういった不安を解消するため担任の先生から直接お子さんに「しばらくは宿題はしなくていいよ」と伝えてもらっています。直接伝えてもらうことで安心感は増しますので、そのための家庭訪問も行ってもらいますので安心です。
また話がそれてしまいましたが、頻繁に「勉強しなさい」というのは追い打ちをかけるため逆効果ということは理解いただけたと思います。もし全く勉強しないことが続く場合はそのまま放置するわけにもいかないので、「あなたのことが大好きだから、お母さん心配しているの」と腹を割ってしっかり向き合って話す時間を設けてみましょう。
「不登校で勉強しないときの親の対応ポイント!復学後の勉強にも」まとめ
最近ではホームスクーリングも広がってきていますが、しかし自分自身で自宅で勉強していくというのがそもそも難しいことなのです。
自ら生活リズムを整え、学習計画を立て、実際に勉強して、間違ったところを復習して、それを何か月も続けて…というのは、かなりの自律力が必要とされます。
大学受験で失敗して予備校に行かず自宅で宅浪する受験生も、ゲームの誘惑に負けたり1人で苦手分野を克服できないケースも多いです。20歳前後の子でさえ難しいので、小学生が自宅で学習するのが難しいのは当たり前なのです。
だからこそ、私は勉強するために、なんとか再登校をおすすめしたいのです。学校に行けさえすれば、宿題などで勉強する直近の理由もできますし、勉強計画・ペース配分は学校の先生が行ってくれて自然と学習習慣が確立します。苦手やつまずいたところも、1人で勉強するより先生がいた方が心強いでしょう。
なにかの理由で再登校が難しい場合は仕方ないですが、ほとんどの子は「不登校の悪循環」が解消されると再登校できるものです。勉強の遅れよりも「不登校の悪循環の解消」を優先したほうが、最終的に勉強も含めたすべての悩みの解決に繋がることが多いです。
勉強してほしい場合も、実は再登校への道を探るのが結果的に一番の近道なのです。
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