小学生の不登校

不登校で朝起きれない原因と対処法6つ!朝から登校にこだわるべき理由

不登校で朝起きれない原因と対処法6つ!朝から登校にこだわるべき理由
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

寒くなってくると、なかなか朝に布団から出たくない…という人は多いのではないでしょうか。何を隠そう、私もその一人です(笑)

起きたくないと思いつつもなんとか頑張っている人が多いと思いますが、不登校の子は朝起きられなくなってしまうことが良くあります。

なぜ朝に起きられないのか、今まで1000人以上再登校を支援した立場で感じたことをまとめていきたいと思います。

私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。

不登校で朝起きれない原因と解決策

朝に起きられない不登校の子

不登校になると、朝に起きられなくなることは多々あります。しかし、朝起きられないと昼夜逆転が進行したり、生活リズムが乱れて体調不良になることもあるため、なんとか朝に起きる習慣を維持したいところです。

今まで1000人以上の不登校の子を支援した中で、朝に起きられない原因はほとんどが以下の6つのどれかであると感じます。朝に起きられない6つの原因と対処法をまとめていきますね。

【朝起きれない理由①】睡眠不足(睡眠の質)

不登校で朝起きられない子ども

朝起きられない理由の1つ目は睡眠不足です。睡眠時間が足りなかったり、睡眠の質が悪く眠りが浅いことで「寝ても寝ても眠い」ということもあります。

このような場合は、睡眠の長さ・質ともに向上できないか検討してみましょう。寝る時間や場所、寝具などを見直して、入眠儀式も確立できるのが理想です。

それでも改善できない場合は、睡眠障害として医者に診てもらうことも検討してください。

心理学でも心の前にまずは体が健康であることが大切というのが基本的な考え方です。その中でも食事と睡眠がとれていないのは危険信号なので、まずは体調に変化がないかはしっかり見ていきましょう。

とはいえ、思春期鬱とかではない限りは基本的に眠れていればそれほど心配する必要はありません。

むしろ「ゲームやSNSのしすぎで睡眠不足になっている」ような場合は、朝に起きられない原因は不安で眠れないということではなくゲーム依存症・SNS依存症の可能性が高いです。

ただゲームが楽しくてやめられないということもありますが「友だちがいなくて寂しい」「勉強のプレッシャーから逃げたい」等の心理状態が依存症を引き起こしている可能性もあるのでその辺りのアセスメント(分析)はしっかりしていきましょう。

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【朝起きれない理由②】体質

朝に起きれない子ども

大人でも朝が得意な人と苦手な人がいますよね。朝が苦手な人は、概日リズム睡眠障害の可能性もあります。

概日リズム睡眠障害とは、約1日(24~25時間)の周期で繰り返される体内時計(サーカディアンリズム)が狂うことです。意識しなくても概日リズムが整っている人もいれば、気を付けていてもすぐに概日リズムが乱れる人もいるため、体質と言えるかもしれません。

しかし社会生活を送るなかでは、朝に起きられないことを「体質」で済ますわけにもいきませんね。生まれながら朝に強い人を見ると羨ましくなりますが、羨んでいても仕方ないので、自分が起きやすい方法、スッキリしやすい時間帯、安眠できる環境を整えるなど、日々試行錯誤していきましょう。

【朝起きれない理由③】生活リズムの乱れ

ゲーム依存で生活リズムが乱れる不登校の子

生活リズムの乱れも朝に起きられない原因になります。生活リズムを整えるために、以下の方法を意識してみましょう。

生活リズムを整える方法例
  • 朝起きたら朝日を浴びる
  • 朝起きる時間を一定にする
  • 朝ごはんを食べる
  • 日中に適度な運動をする
  • 夜寝るときは部屋を暗くする
  • 寝る前にスマホやPCをしない

不登校の状態から生活リズムを整えるのは、思っている以上に大変です。

「お母さんだって運動してないじゃん」「お父さんはスマホいじっててずるい」など、子どもに反発されることも多いでしょう。しかし子どもからしたら、自分が我慢しているスマホを親がいじっているのを見たら、やりたくなって当然です。

親自身がスマホをいじっていたら罪悪感で子どもに毅然とした注意が出来ないので、親自身が自信を持って「もうスマホ時間は終わり!」と言えるように、自らも生活リズムやルールを守っていきましょう。

その強い気持ちと覚悟は口にしなくても子どもに伝わっているものなので、子どもも親の本気を感じ取って言うことを聞きやすくなります。

【朝起きれない理由④】起立性調節障害(OD)

起立性調節障害で不登校停滞期の子ども

朝だけ体調が優れない場合は、起立性調節障害の可能性も視野に入れてください。

不登校の中でも起立性調節障害を合併しているケースは3~4割とも言われており、単なる不登校よりも回復するまでに時間を要する傾向があります。しかし、起立性調節障害でも再登校することは十分可能です。今までも起立性調節障害から復学した子を何十人も見てきました。

起立性調節障害は「やる気がない」「甘え」ではなく身体起因の不調であり、お子さんにあった治療や対処法を取ることが重要です。

詳しくはこちらの記事にまとめていますのでご覧ください。

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【朝起きれない理由⑤】心理的要因

不登校で悩む子供

心理的な要因で朝に起きれないということもあります。

例えば、学校に行かなければいけないプレッシャー、両親に不登校を咎められた寂しさ、友だちに忘れられるのではないかという恐怖…こういった心理的ストレスによって、現実逃避したい気持ちが「朝起きられない」という現象に繋がるのです。

実際に不登校の子どもたちにとっては朝に起きるメリットは少なく、むしろデメリットの方が大きいのです。

朝に起きるデメリットの例
  • 朝起きることで「起きれたなら学校行きなさい」と登校を促されてしまう
  • 兄弟姉妹がいる場合は家族全体が気まずい空気になる
  • 「兄弟姉妹が学校行くまでは部屋にいて」などと言われる
  • 朝の子どもたちの登校している声が聞こえると辛くなる
  • 朝はどうしても学校をイメージしてしまうので夜の方が気持ちが楽になる

朝起きられない理由が心理的要因の場合、頭ごなしに「起きなさい!」と怒るのは逆効果です。まずは原因となっているストレスを把握し、緩和するところから始めましょう。

心理的要因の場合は素人が分析することは難しいため、心理の専門家に相談することがおすすめです。

【朝起きれない理由⑥】起きる必要性を感じていない

不登校の子は朝起きる必要性を感じない

私が過去に支援してきて、朝に起きられない一番多い理由はこれだと思っています。つまり、「朝に起きる必要性を感じていない」ため、起きられないということです。

不登校になると学校に行かなくていいので、時間通りに起きる必要がないから起きないのです。大人でも、予定のない休日はつい朝にゆっくりと起きてしまうと思いますが、それと一緒です。

病気でもなんでもなく、ただ単純に必要性を感じていないからやらないだけなのです。このケースの対処法は、やはり登校することです。

「登校出来ないから苦労しているのに!」と思われたかもしれませんが、登校に対しての意識が変わり、「学校に行こう」と思えたら子どもたちは今まで起きれないのがウソだったかのように起きるようになります。なぜでしょう?

それは起きる必要性があるからです。学校に行くという意識になれば朝は起きないと学校に行けないので自分が困るから起きるようになります。

勉強も一緒です。不登校の時は必要性を親がどれだけいってもやる気になりませんが、学校に行くとなれば自分が困ることになるので今までしつこく言ってもやらなかった勉強を自らやるようになります。それはなぜか?

学校に行った時勉強ができていないと自分が困るという認識になるからです。大切なのは、無理に起こすのではなく必要性を感じさせてあげることです。つまり「学校に行こう」と思えるように意識を変えてあげることなのです。

学校に行くという意識になることが朝起きるようになる秘訣で、「登校すること自体が、朝に起きる方法」なのです。

そこが一番難しいと感じられていると思います。その意識の変化を家庭だけで「学校に行こう」と思えるように変えてあげられるところもあれば、第三者のサポートが必要な時もあります。

それは家庭の状況によって変わりますが、みんな、そのような意識にはなります。なぜそんなことが言えるのかというとエンカレッジでの登校実績が今のところまだ100%だからです。

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不登校で朝起きないときは起こすべき?

生活リズムを整えることは五月雨登校解決に有効

不登校の子が朝に起きられない一番多い理由は、「登校する必要性を感じていないから」だとお伝えしました。

そのため基本的に朝は起こしてあげるべきだと思いますが、起こすべきではないケースもあります。

ここでは、朝に起こすべき/起こさないべきケースをお伝えします。

起こしていい場合

不登校で朝起きれない子を起こしていい場合

不登校で朝に子どもが起きてこないとき、起こしていい場合は以下のようなケースです。

不登校でも朝起こしていい場合
  • 「なんとなく学校に行きたくない」「やる気がでない」等、ぼんやりした理由で不登校になった場合
  • 不登校になってから一定期間が経過し、子どもが精神的に落ち着いてきたと感じた場合
  • 母子登校・五月雨登校・別室登校など、少しでも登校できている場合

五月雨登校など、少しでもお子さんが登校出来ている場合は、朝に起こしてでも登校を続けるようにしてください。朝に起きないと、完全不登校に移行する可能性が高いからです。

「なんとなくやる気が出ない」という、理由がない登校拒否のケースも朝は起こしてあげましょう。《やる気》は幻想のようなもので、やる気が出たらやろうとするといつまでたっても出来ないことが多いです。

大人でも、仕事が憂鬱でも通勤しますよね。本来学校とはやる気があろうとなかろうと行く場所です。憂鬱な掃除も取り掛かってみるとあちこち掃除したくなるように、やる気がなくてもやっているうちにやる気が出てくることもあります。

そのため、「やる気が出ないから朝起きない」というのではなく、「やる気がなくても朝に起こして強制的に生活リズムを整える」ことも時には大事です。

上野
上野
エンカレッジは子どもの自立が目標なので、本来なら「朝に起こす」のもすべきではないと思っています。起きるかどうかは子ども自身の問題(問題所有の原則)だからです。

しかし、不登校が悪化しそうな場合は、過干渉より登校の安定の方が重要と考えるので、朝に関しては特に問題所有の原則にこだわりすぎず親が子どもを起こすようにしています。

起こさない方がいい場合

朝起こさないほうが良い場合

朝に起こさないほうが良いケースというのは、お子さん自身が精神的に不安定で休息を必要としている場合です。例えば以下のようなケースがあります。

不登校で朝起こさない方が良い場合
  • いじめなどで心に深い傷を負った場合
  • 学校の人間関係等で悩み、本人が深刻に悩んでいる場合
  • 不登校になりたてで、精神的に不安定な場合
  • 上記の理由で睡眠や食事が取れないない場合

お子さん本人が深刻に悩んでいる場合は、少し休ませてあげましょう。特に睡眠と食事が取れないない場合は危険です。まずは学校に行かなければという罪悪感や学校に対する不安など、学校のことは考えないようにして、「まずは何も心配しなくていいからしっかり食べて、寝よう」と伝えてあげて、しっかり睡眠をとって休ませてあげましょう。

そして食事が取れて眠れるようになると、少しずつ落ち着いてきます。話ができるようになってくるなど何らかの兆候が出てくると思うので、小さな変化を見逃さずそこから再登校の道を模索していきましょう。

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エンカレッジで朝からの登校にこだわる理由

朝から登校する小学生

スクールカウンセラーや他の不登校支援では、「給食だけ食べに行ければOK」「無理をせず、1時間だけ登校できれば良い」といった指導をされている方もいます。しかし、エンカレッジではあくまで「朝からの登校」にこだわっています。

その理由をご説明しますね。

他の子が朝から授業を受けているから

朝から授業を受ける小学生

不登校になって、特に朝に起きられない子が朝から授業を受けられるようになるのは非常に難しいです。しかし、敢えて難しいことをエンカレッジではやっていきます。

スクールカウンセラーからも、「信じられないです」「今までそんな風に戻れた子はいませんでした」といった驚きの言葉をたくさん聞かせていただきました。でもなぜそのようなことをするのか、できるのか。

その理由は、他の子が朝から授業を受けているからです。

もし「給食だけ食べに行く」「1時間だけ好きな教科の授業を受ける」をしてしまうと、そういった登校方法に身体が慣れてしまうのです。いずれ朝から夕方まで登校できる日が来たとしても、何かの拍子に「前と同じ、1時間だけ登校に戻そうかな」と頭をよぎってしまうので継続登校率が大幅に下がります。

そして何より、妥協した登校方法ではその子自身に自信がつきません。

子ども自身、他の子は朝から夕方まで学校で勉強していることを知っているので「僕だけ特別扱いされている」と自分を責めたり、「みんなに気を遣わせている自分はなんて悪い子だろう」と自己肯定感が低くなってしまうのです。

だからこそ、学校は基本的には朝から行くところで登校はみんなと同じように朝からするという原理原則を重視し、子ども自身に自信をつけてもらい、後々継続登校するために、ハードルが高い「朝から登校」にこだわっているのです。

社会人は朝から仕事しているから

社会人は朝から仕事をしている

現代は多様性を認める社会であり、不登校でもフリースクールや通信制という選択肢もあります。学校に行きたくないのであれば、学校以外の学びの場を選べるのも必要だと思いますし、選択肢が広がることは賛成です。

ただし「学校に戻りたい」と思う子や学校に戻れる可能性のある子に、安易にフリースクールや通信制を選ばせるのはもったいないと思っています。

もちろん、フリースクールや通信制を否定するつもりはありません。そのような環境がその子にとって一番輝ける場所であればそれは素敵なことですし、集団が苦手やコミュニケーションが苦手といった学校の環境に生きずらさを抱えている子にとっては多様な選択をできることは素晴らしいと思っています。

私も今は学校にこだわらず子どもたち1人1人に合った個別最適化の対応をしています。

ですが、それでもまだ私の考えが古いのかもしれませんが、学校を第一選択肢にして欲しいとは思っています。

なぜなら自由度が高く、マイペースに進めることだけに慣れてしまうと、お子さんが将来企業に就職した時、企業はそのマイペースを受け入れてくれない可能性が高いからです。

就職というスタートラインについたとき、マイペースに進んできた子どもたちは急なハードルの高さについていくのが大変です。学校よりも社会の方が、理不尽な上司や先輩、厳しい営業目標、失敗できないプレゼン、遅刻できないプレッシャーなど、ストレスがかかることが多いです。

だからこそ、今は難しい「朝から登校」というハードルを普通に飛べるようにしてあげることが、将来その子の力になると考えています。そして無理な登校の強制は続かないので、認知行動療法のカウンセリングによって思考のクセを改善したうえで、本人の意思で登校できるようにしていきます。

「不登校で朝起きれない原因と対処法6つ!朝から登校にこだわるべき理由」まとめ

不登校でも朝起きる子ども

1度不登校を経験した子は身体が休むことを覚えてしまっており、不登校を経験していない子に比べると休むという選択をしやすいのが明らかです。しかしそれでは社会に出てからその子自身が苦しむことになりかねません。

だからこそ、不登校を経験していない子以上に、自律する力をつけさせてあげたいと思うのです。ぼんやり自己肯定感を持つのではなく、はっきりと自信を持ってほしいのです。

そのためにエンカレッジは表面上の登校ではなく、その子自身の意志で朝から登校するメンタルを認知行動療法×家族療法のカウンセリングで育てていきます。「朝から登校」というのは、自律力の強さの証でもあるのです。

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ABOUT ME
監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。