勉強の遅れ・宿題

「勉強したくない」が原因の不登校の対処法!心理面から解説

不登校原因が「勉強したくない」場合の対処法と考え方
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

学校で学ぶことは生活習慣や人間関係などたくさんありますが、中でも重要なのが勉強・学習面ですよね。しかし「勉強したくないから学校に行きたくない」と言う子も多いです。

「学校の勉強が嫌いなら」と、塾や家庭教師やフリースクールなどを検討される方も多いのですが、そもそも勉強したくないのに勉強させようとすることに無理があるのです。勉強が嫌いなら、なぜ勉強が嫌いなのかの心理的原因を検討し、原因に応じて対処していく必要があります。

そこで今回は、子どもの心理面から勉強嫌いにアプローチする方法をご紹介しますね。

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「勉強したくない」不登校は意外に多い

勉強したくないことが原因の不登校

学校が勉強する場所である以上、やはり勉強と学校は切っても切れない関係ですよね。

エンカレッジでも長期完全不登校等で授業に出席するハードルが非常に高い場合は「休んでいたのに勉強ができるほうがおかしいよね」と割り切りやすいような声掛けをしています。

遅れているのを取り戻して学校に行くのは6時間毎日勉強している子以上の勉強をしないといけないので物理的に無理です。

なので、新しいところから一緒にやってそれ以上遅れないという考えが大切で、エンカレッジではあえて過去の復習はさせないようにしています。習っていないのを独学でやるのは余計に勉強嫌いになってしまいますので。

実は「不登校」と「勉強したくない」というキーワードには上記のような学校を休んでしまって習っていなくてわからなくなってしまったから勉強をしたくない」というパターンと勉強したくないから学校を休むようになった」というパターンがあります。

  • 不登校だから「勉強したくない」場合 →勉強について行けないから勉強したくないケース
  • 「勉強したくない」から不登校の場合 →不登校になるほど勉強が嫌いなケース

もしお子さんが「不登校だから勉強したくない」の場合は、「勉強の遅れ」+「必要性の問題」も絡んできます。遅れてわからなくなったから以外に学校に行っていないから不登校の間は勉強する必要性を感じないのです。

テストもないですし、宿題もないからする必要がない。言われてみればその通りなのですがこれが大変です。その点に関しては別記事で詳しく書いていますのでこちらの記事をご覧ください。

一方で「勉強したくないから不登校」の場合は、対処が複雑です。「学校=勉強」と考えているとしたら「学校=行きたくない」となってしまうからです。学校に行きたくない子を学校復帰させるのはとても難しいので、まずは以下のように学校に対するイメージを変えて行きましょう。

「学校=勉強」のイメージを変える例
  • 「学校=友だち」… 学校は友だちと遊べるところ
  • 「学校=権利」…学校に行けば毎月お小遣いが貰える(報酬)
  • 「学校行かない=制限」…学校に行かないとゲーム禁止になる(ペナルティ)

「学校=勉強」だけになっていないかをしっかりとアセスメント(分析)し、そこから認知の変容というステップを踏んで解決していきましょう。

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子どもが勉強嫌いになる心理的原因と対処法

勉強嫌いの不登校の小学生

そもそも子どもはなぜ勉強嫌いになってしまうのでしょうか。

本来人間は知的好奇心を満たしたい生き物です。小さい子ほど落ち着きがなく色々なところに駆け出したり、手あたり次第に周辺のものをいじったりしますが、これもみんな好奇心からくる行動で、本能で「学習したい」と思っているのです。

その純粋な「知りたい」気持ちや好奇心が年々失われてしまうのは環境の影響が大きいです。以下では、勉強嫌いになる心理的きっかけを挙げていきます。

義務感

勉強の義務感から不登校になるケース

大人でも、何かを強制されるとやりたくなくなってしまうことはありますよね。こういった心理状態のことを心理的リアクタンスと言います。

心理的リアクタンス(英: psychological reactance)とは、「抵抗・反発」を意味するリアクタンスという語を心理学に適用した概念であり、「人が自由を制限(剥奪・侵害)された際に、それに抗おうとする性質」を指す

引用:Wikipedia

日常生活においても、以下のような状況で心理的リアクタンスが起こり、お子さんが勉強したくなくなることが考えられます。

心理的リアクタンスの例
  • 勉強しようと思っていたのに母親から「勉強したの?!」と言われ、途端にやる気がなくなってしまう
  • お菓子を我慢していたのに「食べちゃダメ」と言われたことで、余計に食べたくなってしまう など

このように、勉強に対する義務感や強制をお子さんが感じて心理的リアクタンスが働いていると思われた場合は、人(子ども)は強制される(勉強させられる)と反発したくなるということを理解して、無理に勉強させない・言わないというのを心がけましょう。

そして、知的好奇心や必要性(将来の目標)そしてできたことを褒めるなど頑張りやすい環境を作ってあげましょう。

上野
上野
それができないから困っているという声が聞こえてきそうですが、心理的リアクタンスが起こらないようにはできると思います^^

完璧主義

完璧主義が原因の不登校

日々現場のカウンセリングを行う中で、近年では子どもの完璧主義が増えてきたと感じています。この完璧主義になる原因は、以下のようなパターンがあります。

子どもの完璧主義の背景
  • 優等生タイプで失敗を受け入れられない
  • 周りの目が気になる性格で失敗が恥ずかしい
  • 周囲の大人が危ないことを先回りで避け、子どもが失敗する経験が不足している
  • 相対評価ではなく絶対評価が広まり、子どもに順位をつけないなどの学校の指導方針が増えてきた
  • 親自身が仕事に育児にと頑張りすぎて完璧主義傾向がある
  • 少子化・一人っ子等で親が1人の子に愛情を注ぎ過ぎる
  • 親から怒られたり叱られたりする経験が少なくなっている
  • 家でも学校でも「褒めて育てる」つもりが、いつの間にか「おだてて育てる」になってしまってできて当然という価値観になっている

このように、家庭内教育だけでなく学校教育や社会の価値観においても、現代社会は完璧主義になりやすい社会です。このような環境のなかで子どもが完璧主義傾向になるのも無理はありません。

しかし学校生活において完璧主義だと「テストでよくない点は取れない」「当てられて答えられないのが受け入れられない」「かけっこで一等賞を取らないといけない」…とどんどん自分を締め付けてしまい、お子さん自身が窮屈で辛くなってしまいます。自分に過剰にプレッシャーをかけてしまい、その結果不登校になってしまうのです。

このような場合は、お子さんの完璧主義を和らげてあげる認知行動療法のようなカウンセリングが有効です。「失敗しても大丈夫」「苦手なことがあるのは当然」「誰でも得意なこともあれば不得意なところもある」「こんな自分でもできることがある」と自己効力感や自己肯定感を上げることで、気持ちがラクになり、登校も辛くなくなっていきます。

自信がない

小学校の不登校

勉強に対して自信がないのも、勉強嫌いになる原因です。

「勉強したってどうせ覚えられないし」のように自己効力感が低下していたり、「もし頑張って勉強してもいい点が取れなかったときが辛い(本気出すのが怖い)」と完璧主義思考からの恐怖がある場合も勉強したくなくなりますよね。

このような場合は、少しでも覚えたり上達したら褒めてあげる、結果ではなく頑張ったプロセスを喜んであげることで、自信をつけていきましょう。

勉強に興味がない

勉強に興味がなくて不登校

人間は興味があるもの・必要なものから覚えるように脳がプログラミングされています。目的もなく英語を勉強し続けても、なかなか話せるようにならないのと一緒です。

そのため、勉強に興味がない場合は勉強したくなくて当然です。そのため、「この勉強が何の役に立つのか」「覚えるとどんなメリットがあるのか」をお子さんに感じてもらえるようにしましょう。

勉強に興味を持ってもらうには、親御さんの毎日の関わりがとても大事になってきます。お子さんを日々観察し、興味がありそうなもの、好奇心が駆り立てられそうなものに注意を払っていきましょう。

一緒にレシピを見ながら計量したり、海外アーティストの曲や海外アニメを英語で聞いてみたり、ボールペンや目覚まし時計を分解してみたり…色々なことをあえてやってみて、お子さんの反応を見てみてください。

「カタツムリって昆虫なのかな?」「おばあちゃん家に行くには、新幹線と飛行機どっちが安いだろう」といった何気ない会話で、「勉強って役に立つ(おもしろい)」「計算ができると得をする」ということを感じてもらえたら良いですね。

無気力・無関心

無気力・無関心の小学生

勉強に対して無気力・無関心の子どもも増えてきています。

この無気力・無関心は、自己肯定感や自己効力感を失っていたり、強いストレスの反動だったり、そもそも勉強する意義がわからなかったり…と、色々な原因が考えられるので一概にまとめられませんが、よくあるケースの一つは親の声掛けで無気力・無関心になることです。

例えば子どもがミミズに興味を持っているのに「汚いから触るのはやめなさい」と咎めたり、木登りに挑戦したいのに「危ないからやめなさい」と言ったり、ゲームに集中しているのに「宿題したの?」「先にお風呂入ってよ」と集中を途切れさせたり。

親御さんとしては病気やケガをしないように、生活習慣が身につくようにと良かれと思って言っている事でも、子どもにとっては好きなことを止められ、制限されているような気分になります。それが毎日のように続くと「好きなことを制限される」という辛さから逃れるために何事にも興味を持たなくなって、無関心・無気力にもなりかねません。

生活習慣を整えるのも大切なのですが、お子さんの好奇心ややる気、集中力を発揮させることも大事です。その兼ね合いが難しいのですが、良いバランスをみつけていきましょう。

「勉強したくないことが原因の不登校の対処法」まとめ

勉強したくないのが原因の不登校

私はかねてより「小学生の不登校では、勉強の遅れはそれほど気にしなくていい」と発信してきました。受験を控えているなどは別ですが、基本的に小学生くらいの学習範囲であれば後から遅れを取り戻すケースをたくさん見てきたからです。

なので、焦って塾や家庭教師などに依頼しなくても大丈夫だと思っています。むしろ勉強が嫌いなのに勉強が嫌いなまま勉強させる方が長い目で見ると良くないとも感じています。

大事なのは「その子にとって何が勉強の障害なのか」を分析・判断して、その原因ごとに対処することです。自己効力感、完璧主義思考、無関心…色々な心理的原因があるため、まずは勉強に対する恐怖心を克服すること、「自分もやればできるんだ」と自信を持てること、「勉強って役に立つんだ」と感じてもらうことから始めるのが、今後勉強を継続するうえで重要だと思います。

そして復学支援専門家の立場としては、少しでも早く学校復帰をして遅れを少なくすることを考えてあげて欲しいです。確かに勉強が遅れていたら学校復帰できないということはありません。ですが、その期間が長ければ長いほど、お子さんは学校に行ってから大変になるのも事実です。

でも学校復帰できないから勉強で困っているのですと言われるかもしれませんが、しっかり現状を分析してお子さんに合ったサポートをすれば学校復帰は基本的に可能です。お子さんが学校復帰できるかやそのやり方が気になる方は、まずはエンカレッジの無料オリエンテーションで相談してみてください。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。