最新記事 by 監修者:上野 剛 (全て見る)
- 不登校が長期化してしまったら。対応方法と親の疑問に回答 - 2024年12月2日
- 不登校の親の声掛けは難しい!安易に褒めるデメリットと対応例 - 2024年11月11日
- 不登校の子に優しくできないときもある!親の疲労・不安こそケアを - 2024年10月28日
私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEやメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。
↓不登校の解決に必要な対応をまとめた記事はこちら↓
安倍総理の休校要請について
安倍総理の休校要請については、2月27日に発表し3月2日からの休校要請という急転直下の出来事でした。土日も挟みますので要請後、1日でどうするかを決めなければいけない事態となりました。
3月3日から休校となるところもありましたが、翌日から春休みになるところやその日に卒業式をしたところなど、各都道府県で対応は様々でしたが、どちらにしても現場は大混乱だったと思います。
突然の休校を批判するつもりはありません。それだけ緊急の事態だということもわかります。ただ、いつもこのような時に被害にあうのは子どもたちです。そして、今回は多くの子どもたちのこころが辛くなっています。今後は子どもたちの心のケアにも力を入れていただきたい。そう切に願います。
実際の子どもたちの心境は
28日が卒業式の予行練習の予定が本番になってしまったというニュースを見ました。残り1カ月の貴重な時間と思い出が失われる卒業生の心境を思うと居たたまれない気持ちになります。
私学に進学する子は突然の別れになります。後1カ月でこの学校の子たちとたくさんの思い出を作ろうと思っていた子たちが突然、前触れも心の準備もなくお別れになってしまうという状況になってしまう。その心境を考えると本当に辛い。
エンカレッジのクライエントさんでもクラスに転校する子がいて、その子と突然のお別れになると28日は泣きながら登校していったそうです。転校する子の方はもっと辛かったと思います。
もちろん、留守番ができない子はどうするのかといった問題や、親が仕事を休まないといけない状況になる家庭の経済的な問題、勉強の遅れの問題など他にもたくさんの問題はあると思います。ただ、心理士としては子どもたちの心の問題にもしっかりと目を向けてほしいと思ってしまします。
復学支援にも影響
エンカレッジでは3月に復学支援で登校予定の子が2人いました。1人は2年生の男の子で「せっかく行きたかったのに」と登校にとても前向きになっていたのでその子は大きなショックを受けていました。
私もお母さんもせっかく家庭内環境の改善を進め、訪問カウンセラーとの関係も構築できて、登校刺激ではその子は私に「この時間は自分でももったいないと思っている」と伝えてくれました。その日から学校に行きたい気持ちが強くわいてきて前向きになり、友達にも「今度凄いことが起こるよ」と伝えて楽しみにしているようでした。それが突然の休校で「せっかく行きたかったのに」という言葉を出させてしまう事態になり、お母さんと電話で何度も悔しいねと話をしました。
もう1人は、4年生の男の子で3月13日までの休校で、登校予定日の変更を余儀なくされましたが、変更した登校予定日もまた延期となる可能性も充分にあります。ただでさえ久しぶりの登校で不安が強くなっているのに、自分の登校予定日がいつになるかもわからず落ち着かない様子です。お母さんとも「なぜこのタイミングで」と何度も話しましたが、その日に向けて頑張って準備を続けてきた子どもたちの気持ちの動揺は隠しきれません。
また、復学支援で学校復帰したばかりの2年生の女の子は「えーやだー学校行きたい。もう2年生終わっちゃう(涙)」ととても残念がっていたそうです。お母さんも子どもの行きたいという気持ちを思うと行かせてあげたかったと残念がっていましたが、そんな風に言ってくれるようになったのは嬉しかったようです。
他にも4年生の男の子は復帰後まだ少し辛くなると保健室に行くときがあるのですが、「せっかく保健室0を目指して頑張ろうと思ってたのに、達成する前に5年生になっちゃうよ。」と話していましたし、学校復帰を果たした子たちはみんなこの時期をとても大切にして過ごしています。
それは学年が変わるとまた新しい不安が出てくることをわかっているからです。その貴重な時間が急に奪われてしまうことにもなりましたので、復学支援としても大きな影響が出てしまいました。
これからできること
安倍総理の休校要請については野党は批判ばかりしていますが、私は英断だと思っています。
心理士の立場としては、できれば発表から翌日ではなくもう少し心の準備ができる時間が欲しかったとは思います。復学支援専門家の立場で言えば登校予定の子の学校復帰の機会を奪わないでほしいと思いますし、学校復帰を果たしてすぐの子の貴重なリハビリ期間を奪わないでほしいとは思います。
しかし、私たちが今現実に向き合っているのは、まだ解明されていないウイルスであり、ワクチンやインフルエンザでいうタミフルやリレンザのような効果的な薬もない未知のウイルスです。何かあってからでは遅いので、そのことを国民全体で共有し理解し協力していくことが大切だと思います。
今、復学支援で復学予定の子たちは、どのような登校日になっても柔軟に対応できるように学校と情報共有を密にして少しでも安心して登校できるように今できる準備を進めています。
また復学して間もない子どもたちは、この機会を休んでいた時の学習の遅れの補填に充てています。家族会議でルールを決め、トークンエコノミー法など頑張りやすいやり方でそれぞれが休んでいた時の勉強を取り戻そうと頑張っています。
また復学支援を始められたばかりの方は、みんなが休みなので学習の遅れによる2次リスクの影響が少ない分、ここで家庭内環境を整えて訪問カウンセラーとの関係を構築し、学校が再開した時に少しでも早く登校刺激ができるように頑張っています。
ですから、今回の要請がどうだったかということよりも、ここからできる子どもたちの支援を国にも頑張っていただきたい。
経済の問題、留守番のできない子どもたちの問題、休みの間の勉強の遅れの問題に焦点がいっていますが、もちろんそれらは大事だと思います。
しかし、子どもたちのこころの問題にもぜひ目を向けてほしいと切に願います。スクールカウンセラーによる家庭訪問やインターネットを使ったクラスメイトとのコミュニケーションなど少しでも子どものこころの傷が少なくなるような対策をぜひお願いします。