
トークンエコノミー法とは
トークン・エコノミー法はクライエント(子ども)が望ましい行動をしたときに代用貨幣(トークン)を渡しそれがたまったらお菓子と交換できるとか遊園地へ出かけるなどして新しい行動に対しての学習意欲を高めるための行動療法の1つです。不登校の支援で使うトークンには、スタンプやシールなどを用いる場合が多いです。
皆さんもよくご存じでイメージしやすいものに夏休みのラジオ体操のカードがあります。カードにスタンプを押してもらって最後まで溜まったらお菓子をもらったり、賞状をもらったりしましたよね。トークンエコノミー法は不登校の子どもたちのスモールステップの教室復帰に使ったり、ADHDの子ども達の行動強化や歯医者さんでも歯科衛生の促進に使われていたりします。
エンカレッジでは冷蔵庫などにカレンダーを貼っていただきそのカレンダーにシールを貼るようにしています。また、シールでなく色鉛筆でマスを塗りつぶしてもいいです。
カレンダーは100円ショップなどの卓上カレンダーのようなものでもかまいませんし、手作りでマスにシールを貼ればうまるくらいのものを作ってもいいです。
保健室登校・五月雨登校での進め方
・教室で1時間でも授業に出ることができたら金色
・教室で給食を食べることができたら銀色
・保健室に登校できた場合は青色
・休んでしまった場合は赤色
このような感じでシールを貼っていきます。女の子の場合は、好きなキャラクターのシールなど工夫をすると効果的です。
状況によって目標設定は変わってきます。一週間ごとにお菓子や、ポケモンカード、マクドナルドのハンバーガーなど状況に合わせてご褒美をあげていきます。
また今週は銀色がたくさんあったね。今週は赤色がひとつもなかったね。などと言葉でも評価してあげます。
トークンエコノミー法での注意点
注意点としては、「赤色が多かったから今週はご褒美はなし」としたり、「来週はできてもご褒美なし」などのペナルティーを与えたり、「来週はもっとがんばりなさいよ」とマイナス評価をしないことです。
赤色が多かった場合は「赤色が多かったね」と事実を認識させるにとどめ、「来週は赤色を減らせるようにがんばろうね」と肯定的にアドバイスするのが効果的です。
始める前の告知
トークンエコノミー法を始めるにあたっては告知が必要になります。告知は、お母さんからでもご主人からでもかまいませんが、シールを渡したり認めてあげたりするのはお母さんの方がいいかなと思っています。
告知は「学校に行きたいけどドキドキしてなかなかいけないよね。でも行きたい気持ちがあるのはわかるからお母さん(お父さん)としてもなんとか行けるように協力したいと思ってるんだ。それで、目標を決めてできたらシールを貼っていくというようにしようと思うんだけどどうかな。それだとわかりやすいし、がんばってシールがいっぱいたまったら、お菓子を買うとか、ポケモンのカードを買うとか目標を決めようと思うんだ。その方がやる気がでると思うから。どうかな?」と伝えます。
そこで、やってみるということになれば、じゃーカレンダーを作ろうと一緒に作ってもいいので、1時間行けたら金色ねと目標を決めていくといいと思います。
後は、学校から帰ってきたら、お母さん(お父さん)がシールを渡し、子どもがシールを貼ります。
いい色のシールが貼れた時には、「今日は銀色だったね。いい色がいっぱいになるといいね」とか「ピカピカが続くときれいだよねがんばろうね」などと盛り上げていきます。
そのようなことを言ってもテンションが上がらない場合はお母さん(お父さん)の気持ちで伝えます。お母さんはうれしいな。お父さんもうれしいぞといった感じです。
トークンエコノミー法の終了
そのような形で徐々にシールを積み上げていき、金色のシールがすべてになったら終了します。
そのころになると子どもも興味がなくなってくるので大丈夫だなと思ったら「これでシールは終了しよう行けるようになってよかったね、よくがんばったね。」といって最後に遊園地に行く、好きなアイドルのコンサートに行くなど最終のご褒美でトークンエコノミー法を終了します。
まとめ
- トークンエコノミー法は、代用貨幣(トークン)やスタンプを使った学習意欲を高めるための行動療法の1つです。
- 小さな目標を設定していき、シールやスタンプを貼って頑張ったシールやスタンプに応じてご褒美を出していきます。
- 上手くいかなくてもかならずそれ用のスタンプやシールを用意し、ペナルティやマイナス評価をしないことが大切です。
- 始める前にはしっかりと告知をします。
- すべての目標が達成されたら最終のご褒美と共にトークンエコノミー法を終了します。

