不登校解決コラム

不登校中「ゲーム・スマホ禁止」は危険!何をしても解決しないなら心理学からアプローチ

不登校中「ゲーム禁止」は危険!何をしても解決しないなら心理学からアプローチ
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

エンカレッジの無料オリエンテーションでご相談頂くと、「毎日ゲーム三昧なんです」「ゲームしかしないんですがどうしたらいいですか」というお悩みをとてもよく頂きます。

しかしネットで子どものゲームやスマホ依存症を検索すると、以下のような当たり障りのない対策がヒットすることがほとんどです。

  • 病院を受診する
  • デイケアや入院治療を受ける
  • 子どもと信頼関係を作る
  • ゲームやスマホに関するルールを作る
  • 生活習慣を見直す
  • ゲームやスマホ以外の楽しみを見つける など

「生活習慣を見直す」「ゲーム時間のルールを作る」…など、確かに王道の方法です。しかし、そう簡単なものではないことを多くの親御さんが心底実感しているのではないでしょうか。

一度ゲームやスマホ依存症傾向になってしまったら朝に起きるのもかなり大変ですし、ゲーム時間のルールを作るなどほとんどのご家庭が行っているでしょう。それでも解決しないから悩んでいるのです。

今回の記事では、今まで一通りのゲーム依存症対策をしたのに解決しなかった方向けに、不登校対策としてゲーム禁止をおすすめしない理由と、ゲーム依存症から抜け出すポイントについて私の意見をまとめていきます。

私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。

不登校中にゲーム禁止が危険な理由

ゲームをする子ども

「ゲームやスマホを禁止にしたけどうまく行かない」と、毎年のように何組かのご家庭からご相談を頂きます。

親御さんからすると「不登校の原因もゲーム、スマホ。昼夜逆転の原因もゲーム、スマホ…ならば禁止にすれば解決するはず」と考え、ゲームやスマホを禁止したくなる気持ちはとてもよくわかります。

しかし経験上、ゲームやスマホを禁止して不登校や勉強の遅れ等が解決した例はほとんど見たことがありません。むしろ、禁止したことで悪影響が出ることの方が多いと思っています。

なぜなら、ゲームやスマホ依存症傾向の子からゲームを奪うことはその子にとって非常に大切なものを奪うことだからです。心の拠り所を失うことを心理学では「対象喪失」と呼びますが、イギリスの精神分析学者ジョン・ボウルビィによると、大切なものを失うと心は以下の4つの段階を経て回復していくとされます。

ボウルビィの悲哀の4段階
  1. 情緒的危機…大事なものを失ったことで衝撃と混乱を感じ、不安や心細さから情緒が不安定になる
  2. 抗議・否認…喪失感で怒りを覚えて反発する。失ったものを取り戻そうと躍起になる
  3. 絶望・断念…失った現実を直視できるようになり、絶望を感じ、抑うつ状態になる
  4. 離脱…失ったものへの執着を止め、現実を受け入れて、新しい生活に向けて歩き始める
上野
上野
ゲームやスマホ依存傾向の子からゲームを取り上げると、まさにボウルビィの悲哀の4段階のプロセス通りになることが多いため、以下で説明していきますね。

情緒不安定・自暴自棄になる

情緒不安定で泣く子ども

ボウルビィの悲哀の4段階のうちの第1段階が「情緒的危機」です。

ゲーム依存症傾向の子がこのプロセスに入ると、以下のような心理状態になります。

  • 「ゲームだけが毎日の楽しみだったのに…なんで取るの!」
  • 「オンラインで繋がってた友だちだけが唯一一緒にいて楽しい友だちだったのに…これからはもう友だちと遊べなくなるってこと?悲しすぎる」
  • 「ゲーム仲間みんなが僕の活躍を待ってたのに、チームに迷惑かけちゃう」
  • 「いきなり強制的に取り上げるのは親でも納得いかない」

「たかがゲームで、たかがスマホでそんなに情緒不安定になるの?」と大人は感じてしまうかもしれませんが、デジタル依存症傾向の子にとっては自分の一部を取られてしまったような喪失感や衝撃を受けるのです。

親に猛反発・反抗する

反抗する子ども

ボウルビィの悲哀の4段階のうちの第2段階が「抗議」です。

このプロセスのとき、依存症傾向の子は具体的には以下のような行動を取るようになります。

  • 暴れれば親が折れてゲームをさせてくれるかもと思い、家具や家電、家の壁を破壊する
  • スマホを取られた恨みから、親に暴力をふるう
  • 「大事なものを取られた」ことへの仕返しとして、親の車のキーやiPadを隠したりする
  • 今まで言ったことのないような暴言を吐く
  • 性格が攻撃的になり変容する

小さな反抗なら可愛いですが、親への暴力などは看過できませんから、親側も怒ったり抑えつけようとしますよね。こうしてお互いに応戦するうちに、どんどん大事になってしまう危険があるのがこの段階です。

上野
上野
子ども、特に思春期の子へは正論を言うと逆効果になります。共感を示し、傾聴する姿勢が大事です。

絶望・抑うつ状態になる

抑うつ状態の子ども

ボウルビィの悲哀の4段階のうちの第3段階が「絶望・抑うつ状態」です。

親に出来るだけの抗議・反発してもゲームを取り返せない場合、子どもは以下のような心理状態になります。

  • 「もう何をしても無駄だ」
  • 「生きていても楽しいことなんてない」
  • 「もう何もかもがどうでもいい」

このような心理状態はかなり注意が必要です。特に中高生になると自傷行為に発展する可能性も高まるため、心を癒してあげる必要があります。

親子関係が悪化する

叱られて泣く子ども

ここまで見てきて分かるように、無理にゲームを禁止してしまうと親子関係に亀裂が入る可能性が高いです。

子どもが納得しないままゲームを取り上げると、子どもは親に対して以下のような感情を抱くようになります。

  • 「親は僕から大切なものを奪った、敵だ」
  • 「親は私のことなんかこれっぽっちも理解してくれていない」
  • 「親と話すだけ無駄だ」
  • 「親を困らせてやろう、親が苦労しても知るものか」

親からすると、子どもを愛するからこそ、子どもの将来を思うからこそゲームを止めさせたにも関わらず、子どもからは恨まれてしまうことも多いのです。

これでは親の愛情が子に伝わっていないですし、子どものために悩みに悩み抜いた苦渋の決断の結果がこれでは悲しすぎます。

上野
上野
子ども自身が納得し、親の愛情が伝わる形でゲームを遠ざけていくことがとても大事なのです。

ゲーム依存症から抜け出す方法

ゲーム依存症の女の子

それではどうしたらゲーム依存状態から抜け出せるかと言うと、細かいことは「不登校はゲーム依存症が原因ではない!制限で解決しない理由と対処法」で書いた通りです。

ゲーム依存の原因と対策法
不登校はゲーム依存症が原因ではない!制限で解決しない理由と対処法子どもが学校を休んで家で何時間もゲームばかりしていると不安になるしイライラするというご相談をよく受けます。こういった状況では、「ゲームを...

不登校かつゲーム、スマホ依存症の子が現状打破するのに一番大事なのは、ゲームやスマホ依存症を改善することよりも、登校することだと思っています。なぜなら校すれば、やらなければいけないことができてゲーム時間が取れなくなるからです。

「デジタル依存の子がそんなにうまく登校出来るはずがない」と思われたかもしれませんが、しかし実際にそうなのです。今まで1000人の子を再登校に導いてきたからわかります。子どもは心の奥では「登校しなければ」「登校して自信を取り戻したい」と思っているため、その気持ちをうまく引き出してあげることが大事なのです。

一度登校・学校生活が軌道に乗れば、学校があるので昼夜逆転も戻り、学校で疲れるのでゲームやスマホの時間が睡眠時間に流れ、授業を受けるようになるので勉強の必要性を感じて勉強するようにもなります。

まさに良い循環ですよね。

また、子どもたちはゲームやスマホがしたいから不登校になっているのではなく、不登校になって今の状態が不安だから現実逃避をするためにゲームやスマホで不安を紛らわしているのです。直接子どもたちに聞いても多くの子が「楽しくてやっているわけではない」「やっていると嫌なことを考えなくて済むから」と言います。

たとえそうだとしても、一度、その状態になってしまうとゲームは無料でできるアプリがあったり、新しいコンテンツがどんどん増えてあきないようにゲーム会社もしています。そしてYouTubeなどはどんどん新しいものがアップされていくので、飽きにくいです。一度不登校・ゲーム依存の悪循環が出来てしまってから良い循環に戻すのは子どもたちだけでは至難の業です。ですから、私たちエンカレッジがサポートしているのです。

子どもはどうしても親に甘えますし、うまく行かないことがあると親に反発するのも甘えの気持ちの裏返しです。しかし、エンカレッジのような第三者であれば親のように甘えることは出来ません。

この「第三者」というのが非常に効果的なのです。子どもは親ではない第三者の言うことはすんなり聞くことも多いですし、第三者が親の代わりに子に厳しいことも言えるので親が直接恨まれることを避けることも出来ます。

この「第三者」という立場を生かしたのがエンカレッジの不登校解決メソッドであり、親子関係が悪化しないようにゲーム依存症と不登校を同時改善できる近道だと自負しています。

エンカレッジが復学率100%を維持できる理由
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「不登校中「ゲーム禁止」は危険!何をしても解決しないなら心理学からアプローチ」まとめ

ゲーム依存を解決した親子Happy family showing smartphone screen in front of white background

子どもがゲーム依存症になると、親御さんはゲームばかりする子の将来を案じる方が多いですが、子への心配に加えご自身を責めて心労を溜めてしまう方が多いです。

「自制心がないのは育て方のせいだろうか」「あの時、あのゲームソフトを買い与えていなければ…」「ゲームさえコントロールできない私は親失格なのでは」と自責し後悔する方がとても多いのですが、そのようなお話を聞きながら私は「なんて優しい、子ども思いの親御さんだろう」と思っています。

そもそもゲームは、ゲーム会社がどんどんプレイしたくなるようにあらゆる研究をして作られているため、子どもがのめり込んでしまうのは当然なのです。なので、子どもが悪いわけでも、親御さんが悪いわけでもないです。

ただ、生活の質を向上するためにゲームが障害になっているのならば、出来るだけ早くに改善したいですよね。ポイントは「子ども自身が納得する形でゲームを遠ざけていく」ということです。

家族関係が不登校の状態でもいい状態で保てているなら、家族会議でみんなが納得する形を作ってください。家族関係がギクシャクしてしまうと家族会議もうまくいかないので、その場合は一度、家族療法の専門家に相談して家庭内の関係性の立て直しをすることも検討してみてください。しかし、私は一番の近道は「登校すること」だと思っています。

今まで不登校のお子さんのゲーム依存症で悩まれていた方は、生活習慣を整えたり、ゲームを制限したり、ゲーム以外の楽しみを見つけられるよう努力したり…たくさんの試行錯誤をされてきたかと思います。

しかし、なかなかうまく行かないときは、先にゲーム依存を解決しようとするのではなく、不登校を解決出来るように視点を変えてみてください。不登校解決から良い循環が出来ていきます。考えるところは、ゲーム依存やスマホ依存ではなかったんだと思っていただけると思います。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。