

子どもが学校を休んで家で何時間もゲームばかりしていると不安になるしイライラします。制限したり取り上げたりしなくていいのでしょうか?
ゲームをやりたいから学校に行かないわけではないのですね。
子どももただ楽しくてやっている訳ではないと思うとイライラは少し減るような気がします。でも不安は残りますが。
Contents
ゲームに依存してしまう3つの理由

現実逃避
学校を休んで家にいると「みんなに何て思われているだろう」「いつまで家にいるのだろう」「勉強がどんどん遅れていってしまう」などいろいろなことを考えると怖くなってしまいます。
休んでいることへの罪悪感で不安になります。しかし、ゲームをしていれば考えなくて済みます。現実逃避をするための手段としてゲームをしている子も多いのです。
退屈しのぎ
学校を休んでいると日中は時間がどうしても余ります。
それなら勉強したらいいのにと思うかもしれませんが、勉強が学校のことをイメージさせてしまうので、勉強すると学校のことを思い出してしまい手につかなくなるのです。
学校のことを思い出して辛いからできない子以外にも、単純に勉強が嫌いだから1人で勉強する気になれない子もいます。
結果的に勉強という選択肢以外でやることと言えば、テレビを見るかゲームをするか、YouTubeなどの動画を見るかといった選択になってきます。
学校の時間帯に面白いテレビ番組はないので、結果的にいつでもやれるゲームや動画に没頭してしまうことになるのです。
単純に楽しい
今は、自宅にWi-Fiがある家庭がほとんどなので、インターネットにつながった環境でゲームをすることができます。
昔のゲームであれば一度クリアーしたら飽きますし、コンピューターとの対戦もマンネリ化して飽きてきます。
しかし、今はインターネット通信で新しいコンテンツが追加され子どもが飽きないような工夫がされています。また無料のアプリなども多くお金もかけずに楽しむことができるので単純にいろいろ楽しむ工夫ができてしまいます。
ゲームの依存から抜け出せなくなる理由

社会からの孤立
不登校期間が長くなり、現実逃避、退屈しのぎ、楽しいと言った理由でゲームに依存するようになると社会との接触が少なくなります。
外に出られる子であっても後ろめたさがあるので積極的に社会とつながりを持ちたいと思う子はほとんどいません。
また、罪悪感や後ろめたさから家からまったく出られなくなる子も出てきます。そうすると家族としかコミュニケーションを取らなくなります。
しかし、ネットの世界でのコミュニティに参加することで家の中にいてもつながりを持つことができます。
ネットの世界でのコミュニティの充実が現実の世界を必要と感じなくさせてしまうのです。
ゲーム障害をWHOが作成する疾患分類であるICDで精神疾患と認定
「ゲーム障害」は新たなICDではギャンブル依存症などと同じく治療が必要な疾患として位置づけられました。
診断基準として詳細はまだ未定であるものの
「ゲームの時間や頻度をコントロールできない」
「日常生活の中で他の活動を差し置いてゲームを最優先する」
「生活に支障が出ているのにゲームを続ける」という3つの基準を提示されており、当てはまる状態が12カ月以上続いた場合、依存症の疑いがあるとされそうです。
注意点としてはお子さんの年齢が低い場合は、12か月継続よりも早く診断が下りる可能性があります。
このようにゲーム障害がアルコール依存症やギャンブル依存症といった治療が必要な疾患として位置づけられたことからもゲーム自体が抜け出せない依存性のあるものと変わってきています。
不登校から依存症になりそこから抜け出せなくなっていく。それがゲーム依存の怖しいところなのです。
ゲーム依存から抜け出すために必要なこと

深刻なゲーム障害にならないように早めに対応する
最初は、余計なことを考えなくて済むからとゲームをしていたとしてもゲーム障害という精神疾患になってしまっては治療が必要になってきます。
まずはそこまで深刻にならないように早めの対応が大切になってきます。
ゲームを禁止したり取り上げても解決しない
最初の段階では学校のことを考えたくないという理由や退屈だけど学校には行けないという理由などからゲームを仕方なくやっている場合が多いです。
禁止したり取り上げたりしてもだから学校に行けるわけではありませんし、無理に取り上げることでその怒りが親に対して暴力として表れたり、自分自身を追い込んで自分を傷つけてしまうことになるかもしれません。
ゲームの依存に焦点を当てるのではなく、そうせざるを得ない理由を取り除いてあげることが大切です。
学校に行けるようになることでゲームに依存する必要はなくなる
不登校からゲームに依存する場合、多くが学校に行けない辛さからくるのです。
その辛さを受け止め、学校復帰に向けての解決策を一緒に考え不登校の状態から学校復帰に導いてあげることがゲームの依存を解決する近道になるのではないでしょうか。
実際に、学校に復帰することでゲームに依存する理由がなくなるので、多くの子どもたちがゲームと上手に向き合えるように変化していきます。
エンカレッジで復学した子どもたちの中にも昼夜逆転していた子はいましたが、学校に行くようになると自分の睡眠時間との兼ね合いでゲームの時間を調整するようになりました。
ネットの友達から現実の友達との時間が増えて徐々にネットの友達が全てということはなくなりました。学校生活が安定すると習い事なども再開するようになり物理的にゲームの時間も減っていきます。
先ほど紹介した不登校自立支援センターのブログにもゲーム障害が疑われる子が復学した時のことをこのように書かれています。
パターン1ゲームを辞めだす。
これは復学によって同級生たちと学校でともに適応します。そして、学校のお友達感化されるようになり、ゲームから年齢相応の遊びやツールに 変化しました。カラオケ、ショッピング、遊園地、外食などに。これは交際費が高くなりました。
パターン2 ゲームが趣味として残る
ゲームは好きでそれを楽しみにしながら部活から急いで帰ってきたり、就職して働いていたりしています。学生の間は学校の友人と待ち合わせをネット上でして一緒にゲームをしたりしています。学校のお友達とのゲームでの交流は正直学校での適応の助けになっています。
学校に行くことでまったくゲームをしなくなるということはありませんが、学校に行けない辛さからゲームに依存せざるを得ないケースでは、禁止をしたり取り上げたりするのではなく、その根本的な理由である学校の問題が解決してあげることが近道なのです。
ゲームをやりたくてやっている訳ではないこともわかりましたし、無理に止めさせることでは解決できないこともわかりました。
早めに根本的な問題である不登校の問題を解決することがゲーム依存も解決することになるということですね。よくわかりました。
ではまとめをお願いします。
まとめ
- ゲーム依存から不登校になるのではなく、不登校になることでゲームに依存してしまうことを理解する。
- ゲームに依存してしまうのは、現実逃避、退屈しのぎ、単純に楽しいなどの理由があることを理解する。
- ゲームの依存が深刻化すると社会から孤立してネットの世界でしかつながれなくなるリスクやゲーム障害という精神疾患に陥る可能性があることを理解する。
- ゲームの依存から抜け出すためには、ゲーム依存が深刻化して障害になる前に根本的な問題である不登校の状態を解決することが大切。
- 不登校から学校復帰することで、ゲーム依存ではなくゲームと上手に向き合うことができるようになることを理解する。
こんな感じでしょうか。
