小学生の不登校

不登校で「学校が怖い」理由を深堀り!親の対応方法のポイント

不登校で「学校が怖い」理由を深堀り!親の対応方法のポイント
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

近年増えている「学校が怖い」から行けないという不登校。

怖いものはどうしようもないと思ってしまいますが、実は日頃の習慣で身についた考え方のクセを変えたり(認知療法)、それが怖いと思う理由を探っていったりすると、案外平気になることも。

今回は「学校が怖い」と思う子どもの気持ちを深堀りするとともに、恐怖に負けずうまく付き合う方法、親の対応方法のポイントなどをご紹介します。

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不登校で「学校が怖い」気持ちを改善する方法

完全不登校の小学生

不登校の多くの子が「学校が怖い」と言いますが、このとき、「怖い]という気持ちが悪いもののように感じてしまいますよね。

しかしこの「怖い」という感情は、そもそも悪いものではありません。むしろ、人類はこの「怖い」という気持ちがあるから生き残ってこれたのです。猛獣や毒蛇を怖いと感じ、崖や病気などの危険から身を守ろうとする…この「恐怖を感じる力」は太古から紡がれた生きる知恵でもあるので、無くすことはできません。

そのため、恐怖とうまく付き合う方法を学ぶことが重要なのです。

以下では「怖い」気持ちを克服する方法をご紹介していきます。

「怖い」気持ちを言語化してみる

学校が怖くて不登校になったときの対処法

心理学では、クモ恐怖症の有名な実験があります。

クモ恐怖症の人を集めて3つのグループに分け、それぞれ以下のような対応を取るのです。

  1. クモが無害であることを説明する(楽観的思考)
  2. クモへの関心をそらす質問をする(経験の回避)
  3. 今感じている気持ちを言語化する(情動のラベリング)

その結果、①のグループは「クモなんか怖くないよ」「大丈夫大丈夫!」と楽観的思考を押し付けられ、逆に不安感が増すこととなりました。本人が納得していないのに楽観を押し付けられたら、それはそうなりますよね。

不登校の対応で親御さんがよくやってしまうのがこのパターンです。「教室に入ったら大丈夫だから」「怖かったら先生に言ったら大丈夫だから」

何とか行かせたい気持ちが出過ぎて子どもから、「お母さんは僕の気持ちをわかってくれない」と思われてしまいます。

②のグループは、関心を逸らされ恐怖と向き合う経験を回避したことで、それ以降より一層クモへの恐怖が増幅する結果となりました。

学校に行くことも怖いです。しかしそこを乗り越えれば体の構造的にも不安や恐怖というのは永遠に続かず落ち着いてくるものなのですが、怖いから休むという選択をしてしまうと、その場では楽になったように感じますが、次に学校に行こうと思った時には同じ恐怖が継続してしまうのです。

しかし③のグループでは、18%の方がクモに対する恐怖を感じなくなったのです。「クモは動きが速いから気持ち悪い」「噛みつかれそうで怖い」といった自分の恐怖を言葉にし、恐怖を認めて感情を整理していくことで、恐怖を克服できたのです。

子どもの「学校が怖い」も同様に、何が怖いのか、いつ怖かったのか、なぜ怖かったのか…子ども自身が自分の言葉で怖いものを言語化して整理できれば、恐怖心を軽減することが期待できます。

認知行動療法では外在化と言います。自分の不安感が漠然と頭にある状態ではよくわからず怖いというイメージだけが先行してしまいますが、それをカウンセラーと一緒に書き出し整理することで漠然としたものから1つずつクリアにしていけばという発想にもつながるのです。

子どもだけで外在化するのはなかなか難しいので「学校が怖い」ということしか言えなくなってしまうのですが、実際に信頼できる親やカウンセラーが上手に外在化してあげると「学校が怖い」が乗り越えるためのタスクや目標に切り替わっていきます。

上野
上野
とはいえ、「なんで怖いの?」「何がそんなに怖いの?」と問い詰めてしまうと逆効果です。子どもは自分の感情を言語化する力が未発達のことも多いので、難しそうであれば無理に質問攻めにはしないようにしましょう。

《怖い=ダメ》ではないことを伝える

不登校を克服した親子

「怖いことがダメなこと」と決めつけていることも、心の負担になります。

大人なら誰しも、恐怖と日々戦っていると思います。事故が怖いと思いながら気を付けて運転したり、住宅ローンが払えるか怖いと思いながらも契約したり、うまく育てられるか不安を感じながらも日々子育てに奮闘したり…そもそも生きている限り恐怖がなくなることはないのです。

「怖い」という感情はあらゆる場面で出てくるので、むしろ学校を怖いと思うのも普通と言えます。「学校が怖いことは悪いことではないんだよ」「失敗してもいいんだよ」と、お子さんの気持ちがラクになる言葉かけをしていきたいですね。

上野
上野
「学校を怖がる自分も悪くない」「怖いけど学校なんてこんなもの」と思えるかどうかが、後々継続登校しやすくなるかにも関わってきます。

不登校で「学校が怖い」という子の心理

不登校から登校できた子どもの机

「怖い」という気持ちの整理の仕方を前述しましたが、一般的すぎてもっと具体的な方法が知りたい方も多いと思うので、ここからは具体的な話をします。

実際に現場で不登校の子どもと接していると、「学校が怖い」と思う理由は様々で、ざっと挙げただけでも以下のようなものがあります。

  • 先生が怖い
  • 友だちが怖い
  • いじめが怖い
  • 周囲の目が怖い
  • 大きい音・校内放送が怖い
  • 宿題を忘れていないか怖い
  • 1日中授業して疲れるのが怖い
  • 問題の回答が間違っていないか怖い
  • グループ発表・ディスカッションが怖い
  • 長時間イスに座っていること自体が怖い
  • マラソン大会・音楽会などのイベントが怖い
  • 嫌いな給食を食べなければいけないのが怖い
  • 運動や楽器演奏がうまくできなくて授業が怖い
  • 勉強についていけなくて、先生にあてられるのが怖い
  • そもそも学校と言う環境・ルールや制度に恐怖心がある など

このように、ありとあらゆるものが「怖い」対象になり得るのですが、これを分類するといくつかのパターンに分けられます。

以下ではパターンごとの子どもの心理と、親の対応方法・対処法についてお伝えしていきますね。

1人で考えて行動するのが怖いケース

不登校で「学校が怖い」という小学生

小学校低学年に多いのですが、子ども自身で1人で考えて行動するのが怖いという子が近年とても増えています。

具体的には以下のようなケースです。

  • 忘れ物をしていないか不安で仕方ない
  • とにかくお母さんと一緒じゃないと不安
  • お友だちとケンカしたとき、どのように対処していいかわからなくて怖い など

このようなケースは、子ども自身で考えて行動する経験が不足していることで起こることも多いです。

例えば日常生活で親が何事も先回りして指示しており、子どもが受け身で育ってしまった場合は、自分で考えて判断しなければいけないことが不安や負担になります。

もし親御さんがお子さんに手をかけ過ぎている場合、例えば自分でできるのにパンにバターを塗ってあげたり、学校の準備を手伝ってあげたり、お友だちとのケンカの仲裁にすぐに入ったりしている場合は、気長に待つようにしてみましょう。

過保護・過干渉になることなく、子どもが自分の力でどう解決できるか見守るのです。

はじめは時間がかかりますが、徐々に1人でできるようになって、そして子ども自身が「僕は1人でできるんだ!」と自信を持つようになります。

そうなれば、お子さんが自立して言動できるようになるだけでなく、親御さんの育児負担も大幅に減ります。

上野
上野
子ども自身の力を信じて見守る!のが大事なのですね。

周囲の目が怖いケース

友だちがいないことが不登校原因でも多い

これは小学校高学年より上に多いのですが、周囲の目が怖くて仕方ないという子も多いです。

  • 先生に嫌われていそうで怖い
  • お友だちに陰で笑われている気がする
  • 周囲に「バカ」と思われたくない など

「周りに嫌われているようで怖い」というのは、大人でもよくありますよね。子どもも同様に「周囲から浮きたくない」「悪く思われたくない」という気持ちを持っているからこそ、怖い気持ちが出てきます。

しかし「周囲が気になる」というのは一方では良いことで、人間関係を円滑に保とうとする努力の姿勢でもありますし、周囲に迷惑をかけたくないという自律にも繋がる考え方です。ただ、あまりに周囲を気にしすぎると本人が辛くなってしまうので、そのガス抜きは必要です。

この場合親としての対処方法は、まずは「周囲が気になることは普通だよ」「周囲が気になることは悪いことじゃないんだよ」と伝えましょう。そのうえで、「実は周りは意外と他人を見ていないものだよ」「失敗しても大丈夫」と、気持ちがラクになるような言葉をかけてあげるのが良いと思います。

子どもが完璧主義なケース

完璧主義の子どものテスト

ここ数年で特に増えていると感じるのが、この完璧主義なパターンです。

完璧主義な子どもは、以下のような心理になりがちです。

  • 授業中に先生にあてられたら絶対に間違ってはいけない
  • テストは毎回100点でなければいけない
  • 短距離走も1番でなければいけない など

このように常に完璧であることを自分に課してしまうので、子ども自身が自分にプレッシャーをかけてしまい、学校に行くことが辛くなるとともに怖くなってしまうのです。「失敗することが怖い」とも言えますね。

これはお子さんの元々の気質もあるでしょうし、親御さんの期待が大きすぎたり、親御さん自身の完璧主義な考え方が子どもに継承されてしまっている可能性もあります。また、小さい頃から褒めておだててかわいがり過ぎた場合も、子どもが完璧主義になることがあります。

また、最近は子どもに失敗をさせない子育てや失敗した時にしっかりと親として次につながるような子どもへのコーチングやティーチングができていないことによる影響も感じています。

極端な例だと「自分の子は回答に×をつけると落ち込むので×はつけないでください」といったクレームもあるそうです。

失敗した時の親のコーチングやティーチングに関しても、失敗したことに対して子どもとしっかりと話し合わず落ち込ませないように「お母さんたちも悪かったし」と子どもに気を使いかばうケースも少なくありません。

このようなケースでは、失敗は子どもの成長のチャンスととらえて「失敗は誰でもあるもの」「そもそも失敗することは悪いことではない」「今回のことを次につなげることが大切」とポジティブに捉え、家族でしっかりと話し合えるようになると、失敗に対しての考え方や完璧主義の傾向も変わっていきます。

学校という環境自体に馴染めないケース

小学校の環境自体が不登校の原因になることも

「学校という環境自体が無理」という子が時々います。

例えば、以下のような場合ですね。

  • 先生の「整列!」「そこ、静かに!」といった大声が怖くて仕方ない
  • 教室の机でお日さまの光が当たることが気になって勉強に集中できない
  • ディスカッションなど、人前で話すことがどうしようもなく怖い など

このような場合は、その子が悪いわけでも親の育て方が悪いわけでもなくて、HSCなどの生まれながらの気質が影響しているかもしれません。

特にHSCは全人口の15~20%とも言われており、近年注目されています。詳しいことはこちらの記事でもまとめていますが、お日さまの光があると集中できないけどカーテンを閉めれば大丈夫など、その子なりのうまい対処法を見つけることが大事なので、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

HSCの子どもの不登校解決方法
HSCの子どもの不登校克服方法は?対応方法のポイントを専門家が解説最近「子どもにHSCの気質があるのですが学校復帰は可能ですか?」といった相談が増えてきました。 HSCの子は全人口の15%~20%...

「不登校で「学校が怖い」理由を深堀り!親の対応方法のポイント」まとめ

小学生の不登校

今現在「学校が怖い」と感じるのは、仕方がないことです。

学校が怖い原因は、何らかのきっかけが偶然重なったことかもしれませんし、親が過保護・過干渉気味だったのかもしれませんし、その子の生まれながらの気質や性格によるものかもしれません。複数の原因が絡まっていることも多いです。

しかしただ一つ言えるのは、怖いものを怖いままにしておいたり、怖いものから逃げ続けていては、その子の将来の選択肢が限られてしまうということです。

とは言え怖いものは怖いので、その子に合わせた対応方法で、少しずつステップを踏んで、恐怖を克服していきましょう。

今の「学校が怖い」という気持ちをどう克服するかが、その子が今後の人生で恐怖とどう向き合うかの1つの指針・経験になってきます。今の選択が将来の子どもの思考のクセになると認識したうえで、悔いのないように対応していきたいですね。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。