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毎年秋になると親御さんから増える質問があります。それは「行事だけでも登校させるのはどうなのでしょうか?」というご質問です。
秋は運動会、学芸会、音楽会などの行事が多いですから、「イベントをきっかけに登校できるようにならないか」と思う親御さんの気持ちはわかります。
確かに、行事はいつもと違う雰囲気なので、再登校のいいきっかけになるケースもあります。しかし、エンカレッジでは「行事だけ参加」というのはおすすめしていません。なぜなら、継続して行かないと意味がないと考えているからです。
ただ、場合によっては行事もうまく利用しながら再登校の道を探ることもありますので、そこのところの考え方を今回はお話していこうと思います。
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不登校で行事だけ参加するメリット
不登校は長期化してくると、いつ再登校しようかというタイミングが非常に重要になってきます。
基本的には、以前の記事「不登校の子が動き出す時期まとめ!」で書いたようなタイミングで、不登校の子の心の準備が整った段階で再登校するのが基本ですが、もしタイミングが合いそうであれば行事にも合わせて再登校のスケジュールを考えるのも1つの方法です。
ここでは、行事だけ参加するメリットを改めて考えてみましょう。
【行事だけ参加のメリット①】楽しい思い出ができる
行事の時に登校するメリットと言えば、やはり楽しい思い出ができるということでしょう。
特に修学旅行などは一生の思い出になるイベントなので、修学旅行が楽しかった思い出がある親御さんほどお子さんに「体験させてあげたい」と思いますよね。
不登校の子も行事は楽しく参加できるケースもあるので、楽しい思い出ができたり、学校やクラスメイトへの恐怖感を軽減するには良いと思います。
【行事だけ参加のメリット②】グループが既に決まっている
イベントごとは「グループが既に作られている」というのもメリットになります。
自分から周囲に声をかけるのが苦手な子、4月から不登校でクラス内に全く友だちがいない場合などは、「グループ分けで気まずい思いをしないか」を不安に感じる子が多いですが、最初からグループが決められていればその不安がなくなるからです。
同じグループのメンバー内に、友だちや知り合い、気が合いそうな子、気配り上手な子がいる状態でグループが既にあれば、参加のハードルが下がります。
【行事だけ参加のメリット③】みんなで目標を共有できる
イベントごとの良いところは、みんなで目標を共有できることです。
運動会であれば「勝つために一緒に頑張る」、野外活動であれば「一緒に豚汁を完成させる」など、同じ目標に向かって行動しやすいため、いつもより会話がしやすく、久しぶりに登校した子でもそれほど居心地の悪さを感じないことも多いようです。
自分から話しかけるのが苦手な子でも、行事で話すきっかけができることで学校生活自体に再び興味が出てくることもあります。
不登校で行事だけ参加するデメリット
「なんとか行事だけでも参加させれば、今の状況が変わるのではないか」と期待される親御さんは多いのですが、やはり行事だけ参加するのはデメリットも大きいです。
なぜなら「行事だけ参加する」というのは、特別扱いでもあるからです。
具体的に説明していきますね。
【行事だけ参加のデメリット①】クラスメイトが不満に感じる場合がある
行事だけに参加する最大のデメリットは、やはり「クラスメイトが不満に感じる場合がある」ということです。
普段毎日学校に通っている子にとっては、修学旅行や運動会、音楽祭はいつもと違う楽しいイベントなので「楽しいときだけ学校に来るなんて、ずるい!」となってしまうからです。
もちろん、不登校の子にとっては行事とはいえ勇気を振り絞って行っているのでずるいとはまた違うのですが、やはり他の子から見ると「ずるい」となってしまいます。
そして、小学校低学年などは思ったことをよく考えもせず率直に口に出してしまうので「授業は来てないのに」などとみんながいる前で口に出してしまい、それがショックすぎて一層学校に行くのが怖くなるようなケースがあるからです。
行事だけ参加するような場合は、クラスメイトが納得できそうか、率直に不満を口にしそうな子がいないかどうかなどもあらかじめ担任と相談する必要があると思います。
【行事だけ参加のデメリット②】準備が大変
行事だけ参加しようとする場合、準備をするのが大変ということも挙げられます。
学芸会や音楽会は準備や練習に何週間もかかりますし、比較的準備が少ない野外活動や社会科見学であっても、事前にしおりに記入する等の準備が必要になるでしょう。
それらの準備をほとんどやらずに行事に参加した場合、他の子よりも上手くできずに落ち込んだり気まずいことにならないよう、あらかじめサポートしてあげる必要があると思います。
「せっかく勇気を出して行ったのにこんなことなら行かなければよかった」「やっぱりもう学校に行きたくない」とならないようにはしてあげたいですね。
【行事だけ参加のデメリット③】行事だけ参加のクセがついてしまう
行事だけ参加するクセがついてしまうのも良くありません。
「野外活動だけ参加できた」という前例を一度でも作ってしまえば、今後ずっと「社会科見学の日だけ参加しようかな」という行事だけに参加するという選択肢ができてしまうことにもなりかねません。
本来であれば、毎日朝から夕方まで登校するのが通常ですから、やはり行事だけ参加というのはかなりのイレギュラーであることを知っておく必要はあると思います。
【行事だけ参加のデメリット④】目標を見失う
行事のために家庭で準備をして、準備の時間だけ学校に登校するなど、行事のために頑張って登校する子もいますが、達成することで燃え尽きてしまう場合もあります。
五月雨登校の子などは、運動会に出たいからと運動会まで頑張って登校したけど、そこから目標を失って完全不登校になってしまったといった相談もよくあります。
行事は、モチベーションアップにつながると共に、その行事が終わった後にはモチベーションが一気に下がるというデメリットも考えておく必要があります。
エンカレッジが「行事だけ参加」をおすすめしない理由
「行事だけ参加」というのはメリットもデメリットもありますが、やはり私としてはおすすめはできないと思っています。そのため、エンカレッジの支援でも、行事だけ参加するというのは基本的にありません。
行事だけ参加をおすすめしない理由について、以下で詳しくご説明していきますね。
【理由①】悩みが深くなるから
前述の通り、不登校の子は一度でも行事だけ参加する経験をしてしまうと、「行事だけ参加する」という選択肢ができてしまうため、通常の登校ができるようになるまで時間がかかってしまいます。
そして一番問題なのは、再登校まで時間がかかることよりも、不登校の子の悩みをかえって深くしてしまう可能性があることです。
心理学のジャムの法則をご存じでしょうか。人間は選択肢が多いとかえって選択できなくなるという実験です。
- スーパーマーケットで、「6種類のジャムを並べた試食スペース」と「24種類のジャムを並べた試食スペース」を作る
- 人々が多く足を止めて試食したのはジャム24種類の試食スペースだった
- しかし、6種類しかジャムがない方が、購入率は10倍だった
- 結論:たくさん選択肢があると当初は注目を集めやすいが、選択しにくくなったり、選択すること自体をやめるという心理作用がある(決定回避の法則)
不登校支援では、その子に合わせた色々な選択肢があるのは良いことだと思う一方で、あまりにたくさんの選択肢がありすぎると子ども達に選択の心理的負荷をかけてしまい、後々になってそれが辛くなることもあると思うのです。
毎日登校している子は、何も考えず、当たり前なものとして自動的に登校している子も多いでしょう。一方、不登校で色々な選択肢を経験した子は毎朝「あぁ今日も行きたくない」「今日は2時間目から登校しようかな」「保健室に行こうかな」「お母さんが仕事に行けなくて焦ってる」のように悩み、考えることが次から次へと出てきてしまいます。
やはり子ども達には、余計なストレスなく登校してほしいです。そのために、学校に行く力がありそうな子には、あえて不要な選択肢は見せないようにしてあげたいです。
【理由②】友だちからの印象を良くするため
子どもにとって、友だちからどう見られるかというのは非常に重要なことです。
そのため、友だちに「行事だけ参加」「特別扱いされている」というイメージを持たれてしまうのは避けた方がいいと思います。
エンカレッジではクライアントが再登校する際、担当カウンセラーが担任の先生と綿密に打ち合わせしてクラスメイトへの伝え方について特に注意を払います。
登校日の1週間前にクラスメイト全員の前で「〇〇くんは調子が悪くて1か月お休みしたけど、また一緒にと勉強できるようになりました」等とあえて登校していなかったことに触れて、クラスメイトに納得感ある説明をするのです。
しかし、「行事だけ参加」というのは納得感ある説明がしにくいので、どうしてもクラスに何人かは釈然としない子がいて、その不満がそっけない態度などに繋がり、せっかく再登校したのに辛いということにもなりかねないからです。
なので、やはり行事だけに参加することはおすすめできません。
「不登校で行事だけ参加するのは要注意!おすすめしない理由を解説」まとめ
親御さんからすると、行事だけに参加するのはハードルが低いように見えるかもしれませんが、しかし長い目で見るとお子さんをより悩ませてしまうきっかけにもなりかねないため、やはり通常の登校ができるようになることを大事に考えていくのがおすすめです。
とはいっても、親御さんからすると色々な手立てをしたのにどうしても学校に行けなくて、藁をもつかむ気持ちで行事に頼りたくなる気持ちもまたわかります。
親御さんだけで悩んでいるのは辛いので、やはり公的サービスでも民間支援でも、何かしらの支援を受けてほしいと思います。専門家と話し、やるべきことが明らかになると親御さんも気が楽になってエネルギーが出ることが多いからです。
もしエンカレッジで相談されたい場合は無料オリエンテーションもありますので、お子さんとご家庭のご状況を詳しく伺えればと思います。
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