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こんにちは、上野です。
近年、優しいお父さんが本当に増えているなぁと感じます。昭和の時代は「お父さんは恐い」というイメージでしたが、現代ではお父さんの方がお母さんより優しい家庭も多い印象です。
しかし「家庭教育」を実践する際は《母性》と《父性》のバランスが重要です。役割としての《父性》を必ずしもお父さんが担わなければいけないわけでもありませんが、家庭内においては《父性》を担うのがお父さんのことも多いでしょう。
そこで今回は、お父さんがお子さんを叱るときに意識することを少しお伝えしたいと思います。
私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEやメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。
そもそもの父性の役割
エンカレッジでは家族療法の考え方に基づき、日々不登校支援をしています。
家族システムがうまく機能するには《母性》と《父性》のバランスが必要です。お母さんが母性を担っているのなら、お父さんは《父性》を担うことが、家族システムを正常にするために必要です。
社会ルールを教える
父性の役割の1つは「社会ルールを教える」ということです。
「子どものありのままを受け入れる」という母性に対し、父性は時には厳しく叱りながら子どもが社会に適応できるように教えていきます。
「お菓子が欲しいけど、万引きはしない」
「嘘をつかない」「暴力はしない」
「おもちゃを使いたいけど、お友だちから横取りはしない」
「遊びに行きたいけど、友だちからお金は借りない」 など
このように、自制心や忍耐力をつけさせるのが父性の役割です。
厳しい対応に順応させる
子どもが社会に出ると、怖い上司がいたり、同僚と競争しなければいけなかったり…辛いことも経験するときが来ます。そのようなときに踏ん張れる力、耐え忍ぶ力を育むのも父性の役割です。
家庭内で日頃からしつけ等で父性が発揮されていると、子どもは厳しいことも耐えられるようになっていきます。
最近は先生が大声を出すだけで「先生がこわい」と言って不登校になる子もいます。理不尽に怒るなどは先生が良くないですが、指導上厳しくしなければいけないシーンもありますので、子ども自身に厳しさへの耐性をつけておくことも大切です。
不登校時の父親の役割
エンカレッジでは不登校のお子さんの支援をしていますが、ご相談頂く際、90%以上はお母さんからのご連絡です。お父さんからのご相談は珍しいのです。
これは、やはり現代日本においては父親より母親の方が圧倒的に子どもとの関わりが強いことを示しているように思います。父親は仕事に打ち込んで「育児・家事は母親に丸投げ」というご家庭もまだまだありますよね。
しかし、お子さんが不登校になったときこそお父さんとの関係を振り返ってみてほしいのです。というのも、以下のようなお父さんの役割があるからです。
母性と父性のバランスを保つ
前述の通り、子どもは母性と父性の両輪があって育ちます。
母性優位の家庭では、お子さんは優しくされて、叱られる経験も少なく、自分中心に物事が進んでいきます。甘えや依存心が強くなるケースも多く、ゆくゆくは母子分離不安に繋がることもあるため、お父さんが父性を発揮してバランスを保つことが重要です。
母親の味方になる
お子さんが不登校になると、お母さんを責めるお父さんもいますが、これはNGです。
ただでさえ優しいお母さんほど自分を責めているでしょうから、余計に追い詰めることになってしまいますし、そもそも不登校は「家庭内システムがうまく機能していない状態」なので、お父さん側にも一因があったはずです。
母親を責める父親を見た子どもは、なにかトラブルがあったときに人を責めることを憶えてしまいます。お父さんとお母さんでよく話し合って認識を合わせ、子どもの前では父母で一枚岩であることが、家庭システムを機能させる際に重要です。
父性の立場での叱り方のポイント
時に厳しく指導するのが父性の役割とお伝えしましたが、では子どもを叱るときにはどのようなことに気を付けると良いのでしょうか。
父性の役割としての叱り方のポイントを以下でまとめていきます。
【父性のポイント①】明らかにダメなことを叱る
父親の立場で叱るときは、細かい内容ではなく「やってはいけないと明らかにわかること」「本人も納得するようなこと」で叱りましょう。
- 嘘をつく
- 相手を傷つける
- お金や物を盗む
- 物に当たる、破壊する など
上記のようなことは「明らかにダメなこと」と言えるため、毅然とした態度で叱るべきです。
また私は「母親を悲しませる」ということも重視して接しています。
「絶対ダメだ」という内容でなくても母親を悲しませる行為は父親として認められないと伝えることで、父親として叱ることができます。
【父性のポイント②】細かいことを言わない
洗濯ものを脱ぎ散らかす、テーブルの上を片付けない、食事のマナーが良くないなど、日々の生活で子どもを叱りたいシーンはたくさんあるかと思います。
しかしお父さんが細かい内容で叱りすぎると母親が2人いるような状態になってしまい、生活が窮屈になってしまいます。
また「ティッシュを2枚以上使わない」など細かい内容で父親が叱っていると子どもも「それくらい、いいだろ!うるさいな~」と反発しやすくなり、実際にウソをついたときなど、しっかりと叱らないといけない時にも聞かなくなってしまいます。
細かいしつけは母性が担当し、父性はいざと言うときに本気で叱るのが有効です。
【父性のポイント③】しっかり最後まで叱る
叱ることはしているという方も、しっかり最後まで叱るということができていない家庭も多いです。
【例1】 感情的に叱る。
「ダメだって言ってるだろ!何回言ったらわかるんだ」と感情的に叱る方もいますが、子どもは怒られたとしか理解できず内容が伝わりません。
【例2】 理屈攻めにして子どもを委縮させる
「社会ではそんなことしてたらすぐにクビだぞ。お父さんの時代はそれくらいは当たりまえにやっていたし、いつまで何もせずにいるつもりだ」と子どもが何も答えられないように委縮させても次にはつながりません。
【例3】 嫌われたくない、もしくは叱ると可哀そうという理由で優しく言いすぎる
誰でも子どもには嫌われたくないものです。可哀そうでもあります。しかし「○○ちゃんも辛いよね。でもよくないことはやめないといけないよね~」と嫌われたくない、可哀そうという理由で寄り添いすぎて優しく言いすぎても子どもは聞きません。
このような叱り方では結局、子どもが素直に良くないことを受け止めて次につなげるということができません。子どもは子どもなので良くないことはします。失敗は誰にでもあります。
でも失敗は成長をさせるための大切な要素で、失敗は誰にでもあり大切なことだとしっかり最後まで教えてあげることができれば子どもたちも良くないことをして失敗したけど、反省して次につなげればいいんだと失敗を乗り越える力がつきます。
また失敗=悪のような高圧的な叱り方をしてしまうと失敗できないという思いが強くなり完璧主義の思考になっていきいます。完璧主義の傾向は近年の子どもたちにとても多くなっています。
それは、「よくできるね、すごいね」と褒め過ぎて、できないと自分ではないという思いになることや今回のように失敗=絶対ダメなことという次につながらない叱り方の影響もあるように思います。
なぜ良くなかったかをしっかり話しあい、それが理解できたら次にどうすればいいかを考えさせ、それがわかれば「今回のことは良くなかったけど、誰にでも失敗はあるからそれが成長なんだよ」と反省や次への対応を認めてあげれば子どもたちも叱られたけどそこまで叱られることに抵抗は示さないはずです。
そして、子どもへの愛情があるからこそ叱っていると理解されれば嫌われることもないはずです。
私は子どもたちにコーチングするときには常にこのようなことを意識してコーチングしています。子どもたちも私のコーチングは「自分のことを思っているのが伝わってくるから厳しかったけど頑張ろうと思えるようになる」と言ってくれる子は少なくないです。
父性不在の家庭の子の特徴
生まれたばかりの赤ん坊は母性中心で育てなければいけませんが、徐々に大きくなるにつれて父性を発揮して厳しさや我慢、社会ルールを教えなければいけません。
もし父性が不足した状態で子どもが大きくなると、どのような状態になるのでしょうか。一例を以下でまとめました。
やってはいけないことの判断ができない
父性に触れる経験が少ない子は、忍耐力や自制心などの社会で生きていくスキルが不足しがちです。
ダメなことをしても大して叱られないと、やってはいけないことの判断がつかなくなったり、欲求を我慢できなかったりして、自己中心的な考え方になることも多いです。また「ダメなことをしてもお母さんがなんとかしてくれる」と甘えの気持ちも増長してしまいます。
機嫌が悪くなるとものに当たる、母親の財布からお金を抜く等の問題行動が見られることもあります。
謝れない
最近はこの「謝れない子」がとても多いように思います。
私はインテークカウンセリングのときによく「お父さんが叱った時に子どもは素直に謝りますか?」と聞きます。ここで
「なかなか素直に謝りません」
「逃げます」
「固まって口を閉ざします」
などの返答が来たとき、家庭が「叱る」ことに対してうまく機能していないことがわかります。
一度家庭システムが機能しなくなるとそこから機能するように戻すことはとても大変ですが、今までのコミュニケーション方法や叱り方、話す内容やタイミングを変えてもらうことで家庭が機能するようにカウンセリングしていきます。これぞ家庭教育の賜物と言えるところですが、やはりお子さんの年齢が上がるほどに回復する難易度も上がります。
小学校低学年は順応性が高いので、親の変化にも敏感に反応してくれますし柔軟です。
嫌なことから逃げる
父性に触れる経験が少なかった子は、叱られたり非難されることを極端に恐れるあまり、嫌なことから逃げるクセがついてしまうことがあります。その逃げグセの延長で不登校になるケースもよくあります。
一度逃げ癖がついてしまうと思考回路を変えることは大変で、認知行動療法のカウンセリングが必要になることも多いです。
「不登校時こそ父親の役割が重要!対応方法や叱るポイント」まとめ
現代日本では子育てはお母さんが担うことがまだまだ多いです。しかし、家庭内において父親の役割・父性は非常に重要です。
そのため、もし父性不在のご家庭であれば早い段階で家庭教育の大切さに気づいてもらうことが重要ですし、家族システムが機能しているかを正しく判断することが大切です。
もし家庭システムがうまく機能しない場合は、ジョイニングという形で私が家族の間に入り、家族の父性の部分を補い父性の部分が機能するようになったら権威の移譲という形でお父さんに引き継いでもらうというやり方もできます。もし家庭システムが機能していなくて家族だけでは今の状態からの変化が難しいと思っても諦めずご相談ください。
お父さん、お母さんが家庭システムを学び家庭教育を実践していくことが、不登校ひいては家庭内問題全体を解決することに繋がります。今回の父性の学びもとても大切なのでこの記事を参考にして夫婦で協力して頑張っていきましょう!
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