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不登校になってから時間が経過して元気になってくると「そろそろ登校できるかな?」と親は期待してしまいますよね。
しかし、登校刺激は焦ると逆効果になることも。大事なのはお子さんの状況を見極め、その時々でベストな対応を取ることです。
今回は不登校からの復帰の兆しをまとめるとともに、登校刺激すべきかの見極めポイント、登校について話すときの親の言動ポイントについてまとめていきます。
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不登校の復帰の兆し
私は、不登校には大きく3つの段階があると考えています。
- 不安定期…休み始めておおよそ一カ月まで。不登校になりはじめで、気持ちが安定しない時期
- 膠着期…不登校から早い子で1~3週間。そこから大体6カ月くらいまでが気持ちが落ち着いている時期。一番復学しやすい時期でもある
- 停滞期…6カ月を越えてくるあたりから。膠着期が終わり、不登校が当たり前化してしまうと共に、そこから時間が長くなるにつれ自分を責めたりして再度気持ちが不安定になる時期
※ あくまで目安であり子どもの状況によって変わってきます。
不登校の回復の兆しが見えるのは、上の3段階で言うと「膠着期」ということになります。
膠着期にお子さんに見られる言動について、以下でまとめていきますね。
【復帰の兆し①】精神的に落ち着いてきた
不登校になってすぐは、お子さん自身が「ついに僕が不登校になってしまった」と自分にショックを受けたり、「周囲に何と思われているだろう」と不安になったりして、精神的に不安定な状態が続きます。
しかし不登校開始から1~3週間経つと、お子さんの気持ちが落ち着いて膠着期が訪れます。落ち着いてきた時のサインには、以下のような例があります。
- 会話が増えてきた
- 泣くことが無くなってきた
- よく食べるようになってきた
- 学校の話をしなければ普通の生活ができている
- 表情が明るくなってきた(不登校で悩む以前のような雰囲気に戻ってきた)など
このような言動が見られたら、お子さんが精神的に落ち着いてきた可能性が高いので、いつどのように登校刺激しようかを検討し始めてもいいでしょう。
【復帰の兆し②】暇そうにしている
暇そうにしているのも、心に余裕が出てきたと考えられます。
不登校になってすぐの余裕がないときは、部屋に引きこもって思い悩んでいることも多く、あまり会話もできないこともあるでしょう。
しかし徐々に回復してくると、部屋から出てリビングにいるようになったり、外出に興味が出てくることも。「お母さん、お手伝いしようか?」といった周囲への気遣いも、心に余裕がある証拠です。
【復帰の兆し③】自分から学校の話題をするようになった
自分から学校の話をするようになったというのも、復帰の兆しと言えます。
「そろそろ運動会の季節だな~」「(お友だちの)〇〇ちゃん、どうしてるかな?」といった学校の話題を自分からするようになったら、学校やお友だちが再び気になり始めている証拠です。
登校刺激を検討してもいいでしょう。
【復帰の兆し④】「学校に行かなきゃ」と冷静になれた
「学校に行かなきゃ」と子ども自身で言い始めることも、復帰の兆しです。
長年復学支援をしていてしみじみ思いますが、子どもは心の奥では「学校に行きたい」と思っているものです。本当は行きたいけれど、何らかの原因があって行けない状態なので、その障害を乗り越えて学校に行きたいと願っています。
近年では「不登校を認めるべき」という考え方も広がっているので、子どもが「学校に行かなきゃ」と言い出すと親が「無理していかなくてもいいんだよ」「本当に大丈夫?」と言ってしまうことも多いのですが、私はそれはおすすめしません。
なぜなら、子どもは自分で「学校に行かなければ」「学校に行ける、自立した自分になりたい」と勇気を振り絞っている状態なのに、引き留めてしまうことになるからです。せっかくお子さんが挑戦しようとしているので、それを止めないであげてほしいです。
そうやって自分自身で不登校と向き合って登校できたとき、お子さんはとても大きな自信を得ます。まずはお子さんの挑戦を見守ってみて、それでもダメだった時はサポートしてあげましょう。
不登校の復帰の兆しが見えたときの親の対応ポイント
不登校の復帰の兆しが見えたら、いよいよ登校刺激ですね。
ただ登校刺激はやりすぎてもやらなさすぎても良くないので、その塩梅は難しいです。
ここでは、登校刺激をする前に抑えておきたいポイントについてご紹介します。
夫婦で認識のすり合わせをする
夫婦で認識のすり合わせをすることはとても大事です。お父さんとお母さんで言うことが違うと、お子さんは混乱して迷いが生じ、行動できなくなるからです。
特に父母の間で「泣いてでもいいから登校させるべき」vs「かわいそうだからまだ様子を見た方がいい」という意見の違いが多いように思います。つまり、どのくらい厳しくお子さんに接するかという基準ラインですね。
この基準ラインは、父母で絶対に認識を合わせておきましょう。お子さんの前でお父さんとお母さんが不登校を巡って言い合いになるのは一番良くないです。
父母の認識が一致したうえで、家族全員で家族会議を開き、登校刺激していく方法をエンカレッジではおすすめしています。
家族会議については、私の著書「今、子どもの不登校で悩んでいるあなたへ」で詳しく解説していますので、興味のある方はそちらの方も参考にしてください。
親が焦らない
お子さん思いの親御さんほど、不登校解決を焦ってしまうこともあるでしょう。
例えば、お子さんは目の前の不登校で気持ちが精いっぱいなのに、親が「中学受験はどうしよう」「なんとか修学旅行には行けるようにしないと」などと色々なことを考えて焦ってしまうと、お子さんへのプレッシャーがとても大きなものになってしまいます。
まずは、目の前のお子さんをそのまんま観察してください。そして、まずは目の前の不登校の解決を目指すべきです。
子どものやる気を削がない
前述しましたが、親が「登校して大丈夫?」と心配した声かけは、子どもからしたら「僕は行こうと思っているのにお母さんが心配なんでしょ」と思うかもしれません。
逆に「学校に行ってしまえば大丈夫だから」という声かけをする方も多いですが、そちらは「お母さんが大丈夫だと思いたいんでしょ」と思うかもしれません。子どもは「大丈夫じゃないから怖いのに大丈夫って言わないで」という発言をよくします。
大概の場合は親御さんに悪気はなく、むしろお子さんを心配しての言動なのですが、親の思いが強すぎると本当に子どもの気持ちを考えてなのか親の気持ちを押し付ける形になっているかわからなくなってしまいます。そこは常に本当に子どものために思って言っているのか、親の願望が強く出ていないかは自問自答していきましょう。
また、以下のような親の言動も幼児期から小学生にかけて、子どものやる気を削いでいる可能性があります。
- 子「包丁で野菜を切ってみたい」→親「危ないから今度ね」
- 子「ミミズがいるよ!触ってみたい」→親「汚いからやめなさい」
- 子「麦茶を注ごうとしたらこぼしちゃった」→親「どうしてそうなるの!お母さんが片づけるから黙って待ってなさい!」
- 子「自分で準備したら、体操着を忘れて学校行っちゃった」→親「だから昨晩準備しなさいって言ったのに」など
親からしたら危ないことやミスを回避しようとしているつもりでも、子どもにとっては好奇心がしぼんでしまったり、自分を否定されたような気持ちになり、自信とやる気がどんどん減っていってしまいます。
親は「子どもは失敗するもの」と大らかに構え、子どもが失敗するとわかっていても敢えて失敗させるくらいの気持ちでいると良いです。もし失敗しても「どうして失敗したんだろうね?(原因分析)」「失敗しないために、次はどうしようか?(対策)」を一緒に考えていくプロセスを丁寧に踏んでいくと、お子さんは自分で考え、行動する意欲が湧いてきます。
「不登校の復帰の兆し4つ!登校刺激をする見極めポイントも紹介」まとめ
不登校中に復帰の兆しが見えたとき、親御さんは「やっとここまで来た…!」と安堵するとともに、登校刺激をして大丈夫だろうか、再登校できるだろうかと色々な不安を感じられることだと思います。
確かに膠着期は不登校を解決する最大のチャンスであり、なんとかここをうまく対処したいものです。かと言って焦って力んでしまうと、その焦りはきっとお子さんに伝わっています。大人が思っている以上に、子どもは繊細で敏感です。
心配なのは、お子さんを愛していればこそですし、「失敗してはいけない」「失敗させてはいけない」という思いから親の方が心配で「本当に大丈夫?」と子どもにブレーキをかけてしまっていないかは再確認していきましょう。また、学校に早く行かせたいと焦るあまり、「行ってしまえば大丈夫だから」と親の気持ちが前面に出てしまっていないかも再確認してみましょう。
人は自分のフレームで自分の見たいように周りを見てしまいます。不登校の親であればなおさでしょう。それは当然で悪いことではありません。しかし、そのような時だからこそ、冷静にしっかりと子どもの状況と時期を見極め適切にアプローチしてあげましょう。
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