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不登校の原因はいろいろありますが、そのなかでも「勉強がイヤだから」と登校したくない子もいます。
確かに勉強が嫌な気持ちもわかるものの、親としては不登校だけでなく勉強の遅れという二重の心配を感じてしまいますよね。
そこで今回は、不登校の原因が「勉強がイヤ」という場合の対処法をまとめていきたいと思います。
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勉強のなにが嫌いなのかをはっきりさせる
一言で「勉強がイヤ」といっても、学校の授業には色々な要素があります。そのため、「授業や勉強の何が具体的にイヤなのか」を細かく分析していくと解決方法が見えてくることがあります。
ここでは「勉強がイヤ」という子が、具体的に何に躓いているのかの一例を挙げました。躓きポイントを明らかにする参考にしてください。
椅子に座り続けるのがイヤ
小学校低学年に多いのですが、椅子に座り続けるのがイヤという子は毎年一定数います。
この場合のポイントは「子ども自身も座っていたいのにできないのかもしれない」ということです。心の奥では「座っていたい」と思っているのに、気持ちに反してどうしても座っていられない場合は、お子さん自身が自分を責めたり辛い思いをしているかもしれません。
こういった状態のときにガミガミと「座りなさい」「ダメって言ってるでしょ」と言っても、ダメなことは子ども自身でわかっているのであまり効果はありません。むしろどんどん自己肯定感が低くなってしまいます。
このような場合は、大変ですが自宅で椅子に座っている練習をしてみましょう。お子さんが好きな遊びを通じて、椅子に座っていられる時間を少しずつ長くしていきます。一朝一夕では座れるようにはならないので、親御さんにとっては忍耐が必要になってしまいますが、お子さんが自信をつけるためにも頑張りどころでもあります。
また、どうしても動かずにいられない場合はもしかしたらADHDの可能性もあるため、一度専門家に相談してもらうことを検討してみるのもいいかもしれません。ADHDは特性なので、特性に応じた対応方法を専門家に相談し、親が特性を理解して対応することや、学校側に合理的配慮をお願いすることも大切です。
勉強以外に興味が出てしまう
このタイプの子は、勉強自体は嫌ではなくて、学校に強制される勉強には興味がない状態です。
例えば授業中に窓の外が気になって何度も立ってしまったり、鉛筆を右手に持ったり左手に持ったり、引き出しから何回もモノを出し入れしたり…といった行動をすることもあります。
このような行動は、好奇心があるからこそですよね。「あっちに何か面白そうなものがあるかも」「利き手じゃない手で文字を書いたらどうなるかな?」といった授業に関係ないことに興味が出てしまって、ついやってしまうのです。
このような場合は、できる範囲で、一度好き勝手に行動させてみるのも有効です。「引き出しを開け閉めし続けたらどうなるかな」という好奇心のままに一度行動してみて、結果に満足するとその後は行わないこともあります。
特定の教科が嫌い
特定の教科が嫌いすぎて、学校自体に行きたくなくなるケースもあります。
特に算数が苦手な子に多いのですが、算数は一度躓くとその後の学習にも影響してしまい、一度わからなくなると授業がずっとわからないままになって、「先生が何を言ってるか全然わからない」「ひま~退屈」という気持ちになってしまいます。
そのため、特定の教科・分野が苦手な場合は、やはり勉強をできるようになって苦手意識を克服するのが理想です。親御さんが教えたり、塾に行ったりして、苦手意識を克服できて「わかった!」「できた!」という充実感を感じると、多少なりとも勉強や授業が楽しくなります。
とはいえ、それはあくまで理想で、それができないから困っているのもよくわかります。その場合は考え方を変えてみるといいでしょう。
人には得手不得手が誰にでもあります。苦手だからダメなのではなく、嫌だからダメなのではなく、苦手でもいいんです。嫌でもいいんです。苦手があるのが普通で嫌なことがあるのが普通なので「誰にもでも苦手があるのが当たり前だからいいんだよ。あなたには走ることなら負けないという素晴らしい力があるんだから」と苦手=ダメ。嫌=学校を休む。ではなく苦手を受け入れやすい環境を家庭で作ってあげましょう。
特に最近の子には完璧主義というか万能感の強い子が多いように感じています。全部できないとダメとか自分は優秀なはずなのにというイラショナルビリーフ(非合理的な思い込み)に陥らないように苦手を克服するのではなく受け入れる力を身につけられるようにしてあげてください。
先生が苦手
学校の先生との相性は、子どもにとってとても重要です。中学校以降は教科ごとで先生が変わるものの、小学校では担任の先生が複数教科を担当し一緒に過ごす時間が長い分、担任の先生との関係性が不登校に一層影響しやすくなります。
そのため先生が理由で学校に行きたくない場合のポイントは、子どもが「なぜそう考えるか」を深堀していくことです。
レアケースですが、先生が暴力や暴言をしている場合等の不登校は「自分の身を守るため」ですので、むしろ不登校は必要なことです。まずは先生に問題がないか、お子さんに話を聞いてみましょう。
そして先生に大きな問題がなさそうな時は、お子さんが物事の捉え方がまだ上手くないのかもしれません。
例えば小学校低学年の女の子に多いのですが、担任の先生が女性から男性に変わったことで「先生がこわい」と不登校になる子がいます。「ならば先生を女性に変えればよいのか」というとそうではなくて、仮に今だけ先生を女性にできたとしても、その子は今後ずっと男性の先生を避け続けることになりかねません。
今後生活するうえで男性と関わらないようにすることは不可能なので、このような場合は先生を変えることよりも、男性への苦手意識をどう受け止めるかが重要なのです。
「男の先生が怖く感じたんだね」と一旦受け止めてあげて、徐々に男性の先生への恐怖感が和らぐように、その子の考え方やものの捉え方を変えてラクに生活できるようなサポート(認知行動療法)が必要になってきます。
認知行動療法では、認知再構成法といって男性の先生=無理という直感的に頭に浮かんでします思考傾向(自動思考)を柔軟に考えられるようなアプローチがあります。心理師でないとできないといったアカデミックなものではありませんので、興味のある方は私のセミナーのアーカイブを聞いてみて下さい。(有料)
教室の環境が苦手
教室の環境が苦手という子もいます。
HSCの子がまさにそうなのですが、「教室の光がまぶしすぎる」「大人数が苦手」など、教室という環境からの刺激に過敏に反応してしまって、勉強どころではなくなってしまっているのです。勉強自体は苦ではないけれど、教室の環境が合わないということですね。
そういった場合は、「特別扱いはよくないのでは?」と思わず学校側にしっかりと合理的配慮をお願いしましょう。ただし、本人が特別扱いに対しての拒否反応が強い場合は、逆効果になる場合もあるので、しっかりお子さんと話し合ってからお願いしてください。
- 太陽光に過敏に反応してしまう → 席周辺の太陽光をカーテンで遮る
- 音に過敏に反応してしまう → イヤーピースをつけることを先生に認めてもらう
- 大人数が苦手 → グループワークやディスカッション時は保健室を利用させてもらう など
環境の何が苦手なのかはっきりさせるまでが大変ですが、「雑音がイヤなら、イヤーピースをしたら授業に集中できるのでは」といった仮説を立てて実際にやってみて、子どもの反応を見てしっくりこなかったらさらに仮説を立てて…という流れで確かめると良いでしょう。
なんとなく勉強のやる気が出ない
「なんとなく学校に行きたくない」「勉強のやる気がでない」というのも、近年増えている不登校の原因です。
毎日登校している子のほとんどは、やる気に満ち溢れて登校するというより、「何となく毎日行くものだからとりあえず行く」という感覚なのかと思います。でも休まなければ習慣化の力で休みにくい体質にはなります。
しかし、「やる気がないから今日は休もう」と習慣化が崩れてしまうと休みやすい体質になってしまいます。やる気がなくても休む選択をしなくて済むように意識と行動を変えていけるようにしましょう。
習慣を変えることを心理学の言葉で「行動変容」と言いますが、こちらに関しては、私ではありませんが、私が代表を務める家庭教育推進協会で習慣化のステップについて公認心理師の坂下先生がセミナーを開催しましたので、ご興味がある方は見てみてください。
不登校で勉強が遅れたときの対処法
不登校の親御さんとお話しすると、みなさん勉強の遅れをかなり気にされていると感じます。確かに勉強が遅れると「将来の進学先が限られるのでは」と心配になる気持ちも私も親なのでわかります。
しかし、私としては小学生の不登校時の勉強の遅れはさほど気にしなくて良いと考えています。なぜなら、不登校のときに家で勉強しないのは「勉強の必要性を感じていないから」と考えているためです。必要に迫られたら、勉強するようになります。
不登校児の勉強の遅れに関しては、詳しくはこちらの記事にまとめていますのでご覧ください。
「不登校原因が勉強遅れ・勉強嫌いの場合の対処法!本当の原因は別にある?」まとめ
学校で勉強するのは、子どもにとって面倒に感じる気持ちもわかります。しかし、学校で学ぶことは学業だけではありません。
一定時間集中する力、友だちとのコミュニケーション力、嫌いな科目に向き合う胆力、苦手な先生にも対応できる力…大人になってきれいごとだけではない社会に出たときに、学校で経験したあらゆることは大いに役立ちます。勉強という学校の一部分だけが嫌いで学校自体に行かないというのは、もったいないと感じています。
本記事が、お子さんが勉強が嫌いと感じる原因を深堀り分析する一助になればと思っています。
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