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子どもが不登校になるとどうしても焦って「すぐに何とかしないと」と親はいろいろやってしまいますが、対応によってはそれがかえって長引かせることにもなります。
良かれと思ってやったことが不登校を長期化させるということはとても悲しいことですよね。
そうならないように、不登校のなり始めでやってはいけない親の初期対応をまとめました。
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不登校のなり始めでNGな親の初期対応まとめ
子どもが不登校になると、親は子を心配するあまり「早く登校させなきゃ」と焦ったり、「原因を解決しなければ」と子どもをつい問い詰めてしまったりすることがあります。
子を心配する気持ちが、さらに子どもを苦しめてしまうのですね。
ここでは、親がやってしまいがちな不登校になり始めの注意点や、親の初期対応のポイントなどをまとめていきます。
NGな初期対応①「子の許可なく担任が家庭訪問」
「担任の家庭訪問がなぜダメなの?」と疑問に思う人も多いかと思いますが、不登校になると、子どもは外部との接触に対して強い拒否反応が出ます。
「誰にも会いたくない」と思う子も多いです。
本人が嫌がっているのに親が「何とかしたいから」と先生を子どもの許可なく呼んでしまうと子どもは逃げてしまう可能性があり、以下の例のように先生に苦手意識を持ってしまい不登校が長引いたりすることもあります。
- 先生が家庭訪問し、強引に説得されたりして「明日から学校に行きます」と先生に言う
- 不登校になった原因が解決されていないので、子どもは実際に登校することができず「先生に行くと言ったのに行けなかった、申し訳ない」という罪悪感が増長していく
- 先生に気まずい思いをしているため、余計に緊張したり、会いたくなくなったり、学校に行きづらくなってしまう
- 不登校直後の不安定な気持ちが落ち着いて外部との接触ができるようになったタイミングでも先生への罪悪感や苦手意識が残り、不登校解決へのハードルが上がる
また、先生に会わないまま終わってしまうことを経験すると「会わなければそれで何とかなる」ということを学習してしまうのも考えものです。「嫌なことがあったら会わなければいい」「父親や母親から叱られたら部屋にこもればいい」といった逃げ癖がついてしまうのもリスクとなります。
ですから、担任の先生に家庭訪問をお願いするときは、子どもにしっかりと確認するようにしましょう。「子どもに聞くと会わないと言うから、聞かないで先生に来てもらおう」という親の勝手な都合で判断するほとんどがよくない方向に行くのでやめましょう。
そして、子どもが「会いたくない」と言った場合は、素直に来てもらうのをやめましょう。
もし子どもが「会ってもいい」と言った場合は先生に家庭訪問してもらっても構いませんが、その際は以下のようなポイントを気をつけましょう。
- 子ども自身が「先生に会ってもいい」と思っていることを確認する
- 「みんなが待っているよ」「早く来ないかなといっているよ」などプレッシャーをかけない
- 「何が心配なのか」「なんで来れないのか」など原因を追及しない
- 「理科は実験だから楽しいから理科の時間だけでもおいでよ」などの登校刺激をしない
- 学校でみんながどんなことをしているか、学校の様子だけをプレッシャーがかからないように伝える
- 最初は5分~10分程度の少し物足りないくらいで切り上げる
不登校の子本人が先生に会うのに消極的で「会うだけならと」言っているだけなのに、そのことを親が担任の先生には言わずに先生が好意で登校刺激をしてしまったら、子どもは「会うだけって言ったのに学校に来いって言われて…もう会わない」と次から会えなくなる可能性もあります。
そのため、不登校になり始めの家庭訪問は慎重に対応しましょう。
NGな初期対応②「明日の予定を毎日受け取る」(小学生の場合)
不登校になると、よく近所の子が毎日《明日の予定の紙》をピンポンして渡しに来てくれます。来てくれても子ども自身が会えなくて、親がもらっている家庭も多いのではないでしょうか。
しかし不登校の子どもにとっては「友達が家まで来てくれたのに、玄関まで会いに行けない」というのも罪悪感になります。
そして、予定に一言コメントで「早く元気になってね、待っているよ」などとみんなが書いてくれますが、辛い状況ではそれが読めません。
まったく目を通せない子もいますが、見ても辛くなる場合があります。その理由は、書く方もどんどん書くことがなくなって「早く元気になってね、待ってるよ」が毎日同じように繰り返されるようになるからです。
男の子などは面倒になり「昨日と同じ、終わり」と言った悪気はないものの傷つけてしまうことも起こります。それに目を通した子は、自分は必要とされていないと感じてしまうでしょう。
- 不登校の子本人が見ていない場合、渡さないでおく
- 「せっかく書いてくれているのだから見なさい」と強制しない
- 1週間ごとなど、親が学校にもらいに行く
ただし、学校であったことや子どもたちのコメントを楽しみにしている子は渡しましょう。
また、五月雨登校や別室登校の場合で、予定によっては登校する子は必要なので毎日見ても構いません。
NGな初期対応③「担任との電話」(中学生の場合)
中学生の場合は、小学生とは違って毎日手紙を持ってきたり毎日予定を教えてくれたりということはありません。ただ、担任の先生が毎日連絡をくれるところはあります。
熱心で愛情深くありがたいことですが、しかし子どもは電話にほとんど出ません。
結局親が対応することになり、自分のことを何を話しているかと陰から聞き耳を立てることになり、余計なことを言った場合は「何であんなことを言うんだ、何も言わないで」と非難されます。
担任とこそこそ話していると思われるのは印象が良くありません。疑心暗鬼になって、親子関係にも亀裂が入りかねないからです。
電話に敏感に反応する子に対しては、電話は週に1度などに変更してもらい、必要な時だけ連絡をもらうようにするといいでしょう。プリントなどの提出物なども必要であれば週に1度親が学校に行って取りにいき、子どもにわからないところで担任の先生と情報共有するようにしてください。
- 電話の回数を減らす
- 必要なときだけ連絡をもらう
- 子どものわからないところで先生と情報共有するようにする
また、中学生で問題が多いのは友達からのLINEです。
LINEは、辛い状況では返信ができずどうしても既読スルーになってしまいます。
「元気?待ってるよ」などと優しくメッセージを入れてくれたり、「どんな感じ?」「いつ頃これそう?」「みんな待ってるよ?」などと可愛いスタンプと共に送ってくれるのはありがたいですが、どう返信していいからないので、返信ができなくなり、そのうちにグループから脱退させられ傷つく場合もあります。
LINEやスマホの情報は中学生になると親が関与できない場合も多いので、担任の先生や仲のいい親御さんなどがいればそれとなく状況を伝え理解と配慮をお願いしておくといいでしょう。
NGな初期対応④「連絡帳を兄弟に持たせる」(小学生の場合)
これは小学生だけになりますが、お休みが続くと休みの連絡を連絡帳に書いて兄弟に渡してそのクラスまで持って行ってもらっている家庭がよくあります。
しかし、それは兄弟の子にとって重い負担となるのです。
例えば弟がお兄ちゃんのクラスに連絡帳を渡しに行くと「何でお兄ちゃんは来ないの?」「いつ来るの?」などと聞かれます。お兄ちゃんの担任の先生からも「お兄ちゃんの様子はどう?」などと状況を聞かれたりします。そのうちに弟はそれが辛くなり、大きなストレスになります。
お兄ちゃんが学校を休んでいるのだけでもズルいと思うのに、さらにみんなから問い詰められると今度は弟の方がキャパシティをオーバーしてしまいます。
逆に下の子が休んでいて上の子が学校に行っている場合は、影響は少ないですが、上の子が休んでいる場合は、下の子にはかなりの影響が出ます。兄弟で不登校になるケースも多いです。
できるだけ兄弟に負担をかけないためにも、連絡帳を子どもに預けるのをやめましょう。
NGな初期対応⑤「不登校の原因を追及すること」
不登校の原因を子どもに繰り返し聞くことも避けましょう。
不登校の原因がいじめなど深刻なものだった場合はフラッシュバックして余計に傷つくことになりかねませんし、何度も何度も繰り返し不登校の原因を聞かれると「学校」「勉強」といったワードにさえ拒否反応が出てしまいます。
不登校には動き出す時期があります。
そのため、お子さんの心の動揺や辛さが一旦落ち着くまではそっとしておくのも有効です。とはいえ、ずっと様子を見ているだけでは不登校は解決しないことも多いので、時機を見てアプローチしていくことが重要なのですが、お子さんの動き出す時期について気になる方は以下の記事も参考にしてみてください。
NGな初期対応⑥「親が自分を責めること」
意外と盲点なのが、親御さんが自分を責めないということです。
お子さんが不登校になると「不登校になったのは自分の育て方のせいだ」と思い悩んでしまう親御さんも多いですが、お子さんの将来を心配したりしている時点でしっかり愛情を持ってお子さんのことを考えているので、ご自分を責めないでください。
生まれながらの気質で不登校になりやすいHSCの性格傾向などもありますし、良かれと思ってやってきたことがボタンの掛け違いのようにズレて悪循環になってしまったということも多いですし、様々な環境要因の影響もあります。このようにたくさんのことが複雑に絡み合って不登校は起こりますので、自分のせいだとは思わないでください。
そして「自分のせいだ」と考えるよりも「どうしたら状況が改善するか」に目を向けて行きましょう。
親御さんが自信をなくしたり、気分が塞いでいると、それがお子さんにも伝播し、家庭内がギクシャクしたりしてしまいます。まずは「自分なりに育児を頑張ってきた」という自分の努力を認めて、子どもの成長とともに育児の段階が新しいレベルに来たのだと思い、今現在の子どもに合わせた新しい育児・対応方法にアップデートしていきましょう。
不登校のなり始めでやらなくていい親の初期対応
ここまでは「やってはいけない親のNG初期対応」をお伝えしてきました。
そして、絶対ダメではないけれど、復学支援専門家としてはやらないことをおすすめすることもあります。
ここからは、親がやらなくてもいい不登校なり始めの初期対応についてまとめていきます。
やらなくていい初期対応①「毎朝の学校への連絡」(小・中学生共通)
不登校になると、学校側・先生から「毎朝学校に連絡してください」と言われることも多いですが、できれば毎日は連絡しないように相談してみましょう。
例えば不登校が2週間ほど続いてしまうと朝起きなかったり、前日から学校の用意をしていなかったりと、学校に行く意思がないのが親もわかってきますよね。子どもが休みが続いている事でも親はとても辛い状況なのに、それに加えて毎日学校に「今日もお休みします」と連絡するのはかなりの精神的な負担になります。
親の方がストレスで精神的に参ってしまっては子どもに冷静な対応ができません。ですから、学校へは「もし変化があれば連絡します。それ以外はお休みとしておいて下さい」と伝えて、毎日の連絡をしなくて済むようにしましょう。
そして、学校への様子の連絡は週に1度学校に訪問してプリントなどの提出物をもらうのと同時に様子を担任の先生に報告するようにしましょう。
親御さんが自分自身の精神状態を保つのもとても大切です。
特に不登校になり始めは親御さんも戸惑うことも多く、精神的に不安定になるので、冷静さを保てるように負担を減らせるところは減らしていきましょう。
「不登校のなり始めでNGな初期対応!解決のための意外なポイント」まとめ
不登校になると、つい焦ってしまう親御さんの気持ち、わかります。
しかしお子さんの気持ちを無視して親が勝手に動いてしまうと、親子関係もこじれてしまうことになりかねません。不登校になってすぐのお子さんは気持ちは不安定なので、原因を追及したり、勝手に先生を呼んだりすると親への不信感を抱いてしまいます。
まずは親御さんにとって負担になるような学校との連絡等はできるだけ減らして、ゆったり構えるようにしましょう。真面目な親御さんほど「学校に連絡しなければいけない」といった義務感が多くなって、心が疲れてしまいがちです。
不登校は誰にでもなる可能性がありますが、適切なタイミングで適切な対応を取っていけば必ず学校復帰できます。まずは不登校になり始めのタイミングでのポイントを意識してみてくださいね。