親の悩み

不登校の子にイライラするときの対処法5つ!親の気持ちを整理しよう

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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

「不登校の子は心が疲れているので、心のエネルギーが溜まるまで待ちましょう」とスクールカウンセラーや心療内科で言われることは多いです。そのため親御さんは、いつか心のエネルギーが溜まるようにと、家庭で努めて優しく接している方も多いでしょう。

しかし、優しく接すれば接するほど、親御さんの中にモヤモヤが溜まっていく場合があります。そして、その気持ちがやがてイライラになることも。

「いつも穏やかでいたいのに」「優しくしなくちゃいけないのに」と思っているのに、どうしても子どもへのイライラが止まらずに、親御さんの心の方がパンク寸前なケースも非常に多いです。今まで17年以上復学支援をしてきて、特に頑張り屋のお母さんにこの傾向が強い気がしています。

今回は、不登校の子どもを見ているとモヤモヤ・イライラする方向けに、そのモヤモヤは何なのか、イライラしないためには心をどう整理したらいいのかについて、私の意見を書きたいと思います。

私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。

イライラを整理するワーク(前編)

不登校のイライラを整理するワーク

不登校になる/ならないは紙一重ですが、一度なると家庭は大変です。普段の生活パターンが崩れ、当たり前にしてきたことが出来なくなったり、将来の不確定要素が増えたり、親が仕事を辞めないと行けなくなる場合は、経済的にも不安が大きくなったりします。

このような状況下では「これからどうしよう」「何がだめなんだろう」と色々な考えが頭の中でごちゃごちゃになり、更に途方に暮れることもあり得ますので、まずは不安な気持ちを整理して顕在化していきましょう。

顕在化…潜在的なものが明らかになって、表面化すること。

イライラを顕在化して気持ちを整理するには、シンプルに紙に書き出すのがおすすめです。紙とペンを用意して、普段イライラすることを書き出してみてください。

上野
上野
書き出すのは、スマホより紙がおすすめです!紙の方が、脳内のごちゃごちゃがリアルに可視化されるからです。

このようなワークは、いかにリアルに書けるかが大事です。誰かに見せるわけではないので、些細なこともどんどん書きましょう。「そう感じたのはなぜ?」と自問自答を繰り返すと、より深く顕在化できます。

不登校の子に親がイライラする理由5つ

不登校でイライラするお母さん

不登校と言うイレギュラーな事態ですから、子どもだけではなく親御さん自身も気持ちが不安定になるのは当然のことです。

色々なご家庭があるのでイライラ理由も十人十色だとは思いますが、不登校の子の親が特に抱えやすい5つのイライラ原因と対処例を以下で挙げていきますね。

【イライラする理由①】子が怠けているように見える

不登校の子ども

不登校の子を見ていて親がイライラするとき、それは子どもが怠けているように見えるからかもしれません。

子どもにとって家が安全地帯になっていると、子どもはゲームしたりお菓子を食べまくったり、昼夜逆転しても悪びれないことも。そんな自由な姿を見ていて「学校にも行っていないのに、好き放題して!」とイライラに繋がることもあるでしょう。

このような場合、子に好き放題させるのを止めましょう。好き勝手しても怒られず居心地が良すぎる場合、子どもは益々登校したくなくなるからです。大人が頑張って仕事をして収入を得るように、子どもも学校を頑張ったからこそ楽しい遊びがあることを学んでもらう必要があります。

しかし、急にゲームを取り上げたりするのは激しく反発されるのでおすすめできません。家族会議をするなど段階的なプロセスを経て、子どもも納得する形で生活を変えて行きましょう。

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【イライラする理由②】謝ることが多いことへの疲れ

子どもが不登校になると、特に共働きの方は毎日が綱渡りのように感じるのではないでしょうか。

子どもが登校するかどうかは朝になってみないとわからないので、ヒヤヒヤしながら朝起こし、「今日の給食は大好きなカレーだね」などと登校する気になるような会話を組み立て、常に様子を伺いながら会話をして学校の支度をさせる…結構、神経を使いますよね。

しかし、家を出る直前になってどうしても1人で学校に行けないとなると、職場へ遅刻連絡をして母子登校したり、場合によっては子どものメンタルケアのために急遽有休を取りたいと上司や同じ部署の人に頭を下げたり調整したり…。

親御さん自身は悪くないにも関わらず子どもに振り回され、登校できるようにと朝から積み上げてきた努力や気遣いも意味がなかったのではという徒労感、職場の人を振り回してしまった申し訳なさや気まずさで神経がすり減ってしまいます。

このような人間関係の悩みへの対処は「頼ること=悪いこと」と思わないことです。特に日本人は頼ることを人に迷惑がかかると思いがちです。人間は一人では生きていけません。だからこそお互いが支えあって生きています。

私も子どもたちに「頼ることは悪いことではない。一人で抱えて今の状態が続く方がもっとよくないから頼って今の状態を抜け出そう。そして自分が抜け出せたら今度は困っている人に頼ってもらえるようになればいい」と伝えます。

だから親御さんも職場の配慮に感謝して素直に受け入れていきましょう。そして、抜け出せたらその分、会社に貢献しましょう。頼ってはいけない、人に迷惑をかけてはいけないと考えすぎないことが大切です。

そして、1人で抱えないことです。話を聞いてくれる友達や両親、カウンセラーや第三者にもしっかり頼っていきましょう。頼ることは悪いことではないのですから。

そこまで意識を変えたらあとは「気にしない」ことです。「それが出来たら苦労はしない」と思われたと思いますが、しかし親御さんは最善を尽くしているのですから、せめてご自身も労ってあげてください。

頼ることや気にしないことは大切ですが、いつまでも同じ状態では限界があります。この問題を解決する方法は「少しでも早く再登校できるようにする」しかありません。再登校出来さえすれば、通常通り通勤もでき、日常が戻ってくるのですから。数か月予約を待たなければいけない心療内科やスクールカウンセラーではなく、すぐ相談でき、対処してもらえる機関を探しましょう。

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【イライラする理由③】不登校がいつまで続くかわからない不安

不登校の子ども

不登校がいつまで続くかわからないことも、親御さんにとっては長いトンネルの中にいるような不安を感じるのではないでしょうか。

そして、人は気持ちが閉塞的になると、マイナス思考を頭の中でぐるぐると回してしまう傾向があります。

  • もう最悪だ
  • あぁ、なんで私だけこんな目に…
  • 周りからどんな風に思われているだろう
  • いつか変わる日が来るのかな、いやそんなにうまく行くはずがない

このような考えで自分で自分の不安を煽ってしまうのは、あなたの脳が解決法を一生懸命考えているからこそなのですが、気をつけないといけないのは1人で考えていると悪いことばかり思いついてしまうことです。

悪いことばかり想像してしまうのは親御さん自身がネガティブだからではなく、人間の脳の特性上仕方ないのです。そのため、このような思考に陥ったときは「あ、また脳がネガティブに思考を回してるな」と客観視するとともに、ただの想像で自分が苦しんでいないかを振り返ってみてください。

「うまく行くはずがない」「周りから親失格と思われているかも」といった悩みは、事実ではなく、あなたの脳が作り出した想像です。すでに十分頑張って子育てしているのですから、自分を責めないでください。

そして、脳の構造上1人であれこれ考えているとネガティブになるのは仕方ないので、1人で考えず、信頼できる知人に相談したり、行政の相談窓口を利用したり、エンカレッジの無料オリエンテーションのような民間支援を活用したりして、1人で考えない仕組みづくりをすることが大切です。

【イライラする理由④】家事が増えることの疲れ

不登校でイライラするお母さん

子どもが不登校だと、じわじわと家事も増えます。

朝、連絡帳に「今日もお休みします」と書いてお友だちに託すのも気が重いでしょうし、昼食の準備、勉強の遅れを取り戻すための家庭学習もかなり時間がかかります。テレビやゲーム時間を抑えるための声掛けなども、常に気を配らないといけないので精神的な疲れが溜まってしまうことも多いのではないでしょうか。

1つ1つの家事はなんてことないものでも、積み重なり、毎日繰り返されると苦しいのは無理もありません。

このような場合は、出来るだけ家事を減らせるように周囲に相談してみましょう。担任の先生に、お休み連絡は連絡帳で毎日ではなく週1回にさせてもらったり、学校との連絡をパートナーにお願いするなど分担を考え直すのも1つの方法です。

また、不登校の日の昼食は頑張って作らなくていいですし、むしろ頑張らない方が良いです。と言うのも「不登校で家にいるとおいしいものが食べられる」と思うと、子どもも登校する気がなくなるからです。

いじめにあったなどで子どもを労わらなければいけないときは手の込んだ好物で良いですが、やる気が出なくて学校に行っていないときなどは、敢えて子どもウケが悪い昼食にして「給食が食べたい」と思わせた方が良いです。

【イライラする理由⑤】パートナーが協力的ではない

不登校でイライラする親

良くあるケースは、お母さんは不登校解決のために毎日必死なのに、父親は他人事のようで特に何をするでもなく、お父さんとお母さんの間で温度差があることです。

不登校対応で仕事を休むのはお母さんばかりだったり、学校の先生とやり取りするのも全部お母さんだったりすると、大変なことを押し付けられている気がしてお母さんが疲弊してしまいます。

こまめに話し合いをする時間を作る、ちょっとしたことでも相談・情報共有する等して、夫婦間の温度差は出来るだけ埋めておきましょう。

もしお父さんの育児参加が少ない場合、したいけど仕事等で出来ないのか、やりたいけどやり方がわからないだけなのか、言われたらやるのか、そもそもやる気がないのか…などのスタンス確認から始めましょう。

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イライラを整理するワーク(後編)

不登校の親御さんの代表的なイライラ理由5つは参考になったでしょうか。

これ以外にも色々と不安なことがあると思うので、ご自身のイライラポイントや不安点に対して、以下の手順で思考を整理してみてくださいね。

課題の分離(問題所有の原則)

気持ちを整理

書き出したイライラポイントに対して、これは自分の問題か、他人の問題かを分類してみましょう。問題所有の原則に則って、自分で変えられないことを無理に変えようとすることを止めるのです。

例えばあなたが「子どもがイライラを自分にぶつけてくる」ことでイライラや怒りを感じているとします。

一番良いのは子どもがイライラをぶつけてこないことなのですが、相手を変えることは無理ですよね。なので問題所有の原則で考えるなら「イライラするのは子どもの問題」であって、あなたがどうこう出来ることではないです。

そのため、あなたが変えられるのは「イライラをぶつけられたときの、自分の感情」です。「気にしない」「その場から去る」「お気に入りのスイーツを食べる」など、自分で自分の機嫌を取れる行動をしましょう。

現在・過去・未来を整理

問題所有の原則

イライラすることがあったら、そのイライラに繋がる困りごとが「現在・過去・未来」のどれにあたるのかを考えてみましょう。

人間は「過去の失敗」「未来の不安」といったネガティブなことほどあれこれと考え続けてしまいます。しかし、過去の失敗も未来の不安も、どんなに考えても現在の状況は変わりません。悩んでも解決しないのに悩み続けることは、自分で不安やストレスを増幅させてしまっているのと同じです。

悩みから抜け出す考え方の例
  • 「あのときこうしておけば不登校にならなかったかも」→失敗かもわからない過去のことを後悔し続ける→今できることを考える
  • 「1年後も不登校だったらどうしよう」→未来のことは考えてもわからない→毎日部屋に引きこもっている今をどうにかする方法を考える

ポイントは、過去や未来のことは考えずに、今《行動》出来る方法を考えることです。人間は悩んでいる間が一番辛いので、とにかく何か行動を起こすことが悩みを忘れ軽減させるだけでなく、現状打破に繋がります。

子どもが運動不足であれば、夜に散歩に誘ってみる。子どもと会話もままならないなら第三者のカウンセラーに介入してもらう…何でも良いので、出来ることから行動して行きましょう。

「不登校の子にイライラするときの対処法5つ!」まとめ

問題所有の原則

イライラの顕在化と整理は出来てきたでしょうか。

親のイライラは、取り繕っていても子に伝わっている…と多くの親御さんが感じていると思いますが、実際に家庭内でイライラが日常化してしまうと親子関係も拗れてしまい、悪循環のスパイラルになることが多いです。

そのため、不登校を解決するためにも、親のイライラを解消することはとても大事なのです。

もしお子さんへイライラしそうになったら、エンカレッジの無料オリエンテーションで親御さんのご相談も承っていますのでご利用ください。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。