

最新記事 by 監修者:上野 剛 (全て見る)
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お子さんの不登校が長引くと、「このまま大人になったらどうなるんだろう」と、不安で胸が締め付けられるような不安を抱える方は少なくありません。
私もエンカレッジを設立して22年以上が経過したので、昔支援した子たちはすっかり成人しました。
そしてエンカレッジの卒業生たちを見ていて思うのは、たとえそうは見えなくても子どもたちは自らの力で生きて行く強さを持っているということ。今現在不登校で「大人になったらどうなるの?」と不安な親御さんにも「うちの子もきっと大丈夫だ」と安心してほしいと思うのです。
「今は不登校でもきっと大丈夫」と私が言うと「そんな無責任なことを言って」と思う方もおられるかもしれません。しかし、私は今までに1500人以上の不登校支援をしてきたからこそわかるのです。
「今は不登校でもきっと大丈夫」と言える根拠を、最新の統計や心理学の視点から今回はお伝えできたらと思います。
私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1500人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立22年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEやメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。
不登校は大人になっても影響する?専門家としての意見

不登校の親御さんからは、上記のようなご質問をよくいただきます。
その際は私は「一度不登校になっても、将来の就職や人間関係に影響ないことも多いので安心してください。大事なのは再登校の仕方と本人の考え方です」とお答えしています。
不登校のその後の影響について、以下で整理して行きますね。
統計では8割の子は就職・進学している

文部科学省のデータや民間の調査を総合すると、不登校を経験した子の約8割は、最終的に進学または就職しています。
詳しいデータは「不登校のまま大人になったらどうなる?大人になりたくない子の対応法も」の記事をご覧いただければと思いますが、不登校になっても大方の子はどこかのタイミングで社会復帰しています。
ですので、親戚などに「早く学校復帰しないと引きこもりになっちゃうよ」と言われて辛い思いをしたというクライアントさんも以前いらっしゃいましたが、今の時代は不登校の子の8割が進学・就職しており引きこもりになる方が少ないことは統計からわかっています。
そのため、悲観されている方がおられましたら、不登校でも色々な進路があることを知っていただき、肩の力を抜いていただけたらと思います。
人間関係で不利になる可能性はある

今現在お子さんが不登校の親御さんにとっては「とりあえず学校に戻れば安心」と思いがちですが、実は再登校の質が大人になったときに非常に大切です。これは長年不登校支援をしていて、はっきりと言えます。
- 子どもの話を聞かずに無理に登校させる
- 学校に行くまで無理にゲームを取り上げる
- 「学校が怖い」等の不登校理由の心理分析を怠る など
質のいい再登校とは、子ども自身が納得して学校に登校している、学校に行きたくない理由を整理できて対処をしているような再登校です。
無理やり登校させてしまうと、教室で居場所を感じられず、後々に対人不安が強くなることがあります。結果として、大人になっても「人にどう見られるか怖い」という感覚が残りやすいケースも見られます。
そうなると、大人になっても不登校が影響してしまっていると言えるでしょう。
しかし、不登校を経験しても、その後対人コミュニケーションがとても上手になる子もたくさんいます。
ですから、不登校になること自体が人間関係で必ずしも不利にはるわけではなく、大事なのは再登校の仕方と本人の考え方ということです。
本人の「不登校」への向き合い方が大事

不登校だったことが大人になっても影響する理由は、「どうせ僕は勇気がないから」「友だち少ないから」等と自己効力感が低くなり、自信を失ってしまうことが大きいです。
要は、子ども本人が自分の不登校をどう受け止めているかによるのです。
「自分はダメだから学校に行けなかった」と思い込んでしまうと、将来の挑戦にもブレーキをかけがちです。
逆に「当時はつらかったけど、それを自分は乗り越えられた」と意味づけられると、経験がレジリエンス(逆境から立ち直る力)に変わります。
レジリエンスは、心理学では「困難に直面した後も前向きな適応を示す能力」と定義されており、成人後のメンタルの安定に強く関わります。
そして、社会に出て苦しいことがあっても「あのときも再登校できたんだから、きっとできるはず」という自信になるのです。
不登校経験後、大人になっても前向きな子の特徴

これまで1500人以上の不登校の子を支援してきた中で、大人になっても特に前向きに進んでいる子には共通の特徴があるように感じます。
その特徴をまとめていきますね。
【前向きな子の特徴①】レジリエンスが育っている

前述の通り、レジリエンスとは「逆境から立ち直る力」です。近年では非認知能力としても注目を集めているワードですよね。
子どもの頃にこのレジリエンスが育っていると、大人になっても自己効力感が高く、辛いことが起きてもへこたれなかったり、気分が落ち込んでも自ら気分転換して立て直す能力が高いと言われています。
一度でも不登校になったかどうかは関係なく、しっかりレジリエンスが育っていれば大人になっても前向きに進んでいくことができるんです。
レジリエンスの育て方については、こちらの記事も参考になるかと思います。

【前向きな子の特徴②】不登校をプラスの経験として捉えている

私は長年不登校支援をしているので、昔支援した子がすっかり大人になって就職したと連絡をもらうことが多々あります。
大人になったときに再会すると、みんな口を揃えて「あのとき学校に行ってよかった」と言います。中には「なんで俺学校に行けなかったんだろ?」と笑って話す子もいるほどです。
「不登校を乗り越えた!」と自信をつける子。
不登校を通じて自分の特性に気づき、対処法を学んだ子。
不登校の解決を通じて、親子関係が一層良くなった子。
色々なタイプの子がいますが、不登校を自分にとっての成功体験と捉えられるかは大事です。
このような捉え方・考え方に促すのは、周りの大人がサポートできるところでもあります。
【前向きな子の特徴③】早い段階で専門家に見立ててもらっている

不登校が長引くと、親子だけで状況を整理するのは難しくなります。
そもそも親子間ではお互いに甘えが出やすいですし、親御さんがやみくもに対処しようとすると迷うがゆえに一貫性に欠けたりするからです。
心理士やスクールカウンセラー、地域の支援機関に相談し、お子さんに合った見立てを早めに受けることが、その後の進路や心の安定に大きな影響を与えます。
不登校から成人した子の例

私が代表理事を務める家庭教育推進協会で、最近嬉しいことがありました。
昔支援した子が成人を迎えたということで、その子から連絡をもらって、当時の担当カウンセラーと一緒に食事に行ったのです。
食事中、学校に戻った日のことを話すなかで、こんな言葉があったそうです。
「自分でもよく頑張ったと思うんです。あの時に学校に戻れてなかったら今も大学にも行けなかったし、人生が違っていたかもしれない。そうならなくて本当に良かったです」
これを聞いて、私も本当に嬉しかったです。
詳しくは、家庭教育推進協会のブログ記事をご覧いただければと思いますが、不登校自体は悪いことではなく、むしろ自分と向き合う大きなチャンスでもあるのです。
「不登校は大人になっても影響する?再登校後に前向きな子の特徴3つ」まとめ

不登校は、大人になっても影響がある可能性はもちろんあります。
しかし、丁寧に対処していけば「頑張って乗り越えられた!」という子ども自身の自己効力感やレジリエンスを育てるきっかけにもなるのです。
つまり、「不登校」に対してその子なりのプラスイメージの意味づけができれば、その経験は大人になっても「生きる力」になり、「自信」になります。不登校の経験を、マイナスイメージだけで終わらせないことが大事です。
エンカレッジでも、不登校のお子さんにはスモールステップで自己肯定感を育んでもらうコーチングを行います。「今日は朝早く起きられた」「今日はちょっと外に出られた」…そういった積み重ねを大事にしながら、「頑張ればできるはず!」という気持ちを育てます。
この記事を読んでいる方も、不登校は必ずしも悪いことばかりではなく、子どもを成長させるきっかけにもなりうると信じ、日々の家庭内対応を頑張ってほしいと思います。
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