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近年、神経発達症(発達障害)の子どもが増えていると言われています。はっきりと「神経発達症(発達障害)」と診断がつかず、精神科医に「グレーゾーン」と言われる方も多いのではないでしょうか。
エンカレッジにも、毎年何人もの親御さんから神経発達症(発達障害)に関するご相談があります。「うちの子はASD(自閉スペクトラム症)の特性があるのですが、再登校は難しいでしょうか?」とご相談頂くことも多いですが、毎年エンカレッジでもASDやADHDの特性がある子やグレーゾーンの子がたくさん再登校できています。
最近は、どこかに特性やその傾向、HSCなどの気質といった個性を持った子が多く、生きにくさ、困り感を抱えやすい子も増えているのは事実です。
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は特性がある分、気をつけてあげた方が良いこともあるのも事実です。しかし、逆にその特性をうまく伸ばしてあげたら、それはこの部分なら自信があるという自己効力感にもつながります。マイナス部分をサポートし、プラスの部分を伸ばせばバランスを保つことができ安定しやすくなります。
今回は、神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子の不登校と対応ポイントについて、私なりの考えをまとめて行きたいと思います。
私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEやメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。
グレーゾーンや神経発達症(発達障害)でも再登校できる?
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は不登校になりやすいというのは、長年不登校支援をしていて実感はあります。しかし、その子に合ったカウンセリングやコーチングをして、安心して学校に通える環境づくりができれば、登校できることも多いと感じています。
実際、エンカレッジで支援してきたクライアントさんでも、神経発達症(発達障害)やグレーゾーンから再登校して、そのまま何年も継続登校中の子はたくさんいます。
そのため、まずは心理の専門家にアセスメント(分析)してもらったり、心理検査をして、特性をより詳しく把握することが大事だと思います。
※WISKなどの検査は、何度も受けると耐性ができてしまうことから間隔を1年、できれば2年から3年空けるのが望ましいとされています。頻繁に受けることができる検査ではないので今受けた方がいいのかというタイミングも慎重に判断してください。
エンカレッジのグレーゾーン・神経発達症(発達障害)の対応方針
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの特性は、まさに多種多様です。そのため、カウンセラーや支援機関によっても対応方針が異なるため、親御さんも混乱されることが多いのではないでしょうか。
センシティブなことだけに、とても不安に感じながら対応方法を調べる方が多いと思いますが、やはり支援機関を検討する際は、理念や方針に共感できるかどうかが大事だと思います。
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの支援は絶対的な正解と言うものはないと思いますが、エンカレッジで普段意識していること、行っていることは以下のようなことです。
より丁寧なアセスメント(分析)
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は、より一層丁寧なアセスメントが必要であると感じます。
「どうしても教室という環境に馴染めないと思ったけれど、実は日光に当たらなければ30分座っていることができる」など、特性を目立たなくする対応法があることもありますが、こういったその子ならではの対応方法はすぐに見つかるとは限らないからです。
なので、その子のどこに困り感があるのかをしっかりアセスメントしていきます。先の見通しが苦手な子、こだわりが強い子、先生や友達の言っていることを理解するのに時間のかかる子、空気を読めずに会話の途中に自分の話をしてしまう子など様々です。
どんな場所で、どんなときに、どんな心の揺らぎや緊張、身体症状が現れるか、そしてどこに特性があり、困り感が出やすいのかなど…実際にその子に会い、対話する中で探っていきます。このあたりは、エンカレッジの訪問カウンセリングが非常に良いのです。
週に1回ほど訪問カウンセラーがご自宅に通って、一緒にゲームをしたりおやつを食べながらまずは子どもと仲良くなります。そのうちに子どもは「あのお姉さん、次いつ来るの?」と言うくらい、次回の訪問が楽しみになってきます。
そうやって心を開いてくれる頃、カウンセラー側も段々とその子の性格や個性、特性がわかってきます。「こういうときに負けず嫌いが出る」「人前で緊張するのは、完璧主義傾向があるからかもしれない」など、その子の《素》を見ているからこそできるアセスメント(分析)があるのです。
公認心理師の資格をもった訪問カウンセラーとメンタルフレンドの役割であるインターンのカウンセラーがそれぞれ役割分担しながら1人の子をアセスメント(分析)していくので、月1回しか会えない精神科医やスクールカウンセラーではわからないようなところまで深く理解できるようにしています。
その子に合った家庭内対応をレクチャー
その子を深く理解できたら、次は親御さんにも日々の家庭内対応を伺ってきます。
子育てはただでさえ大変ですが、神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの特性があると周囲の子と同じ対応ではうまく行かなかったりして、親御さん自身も自己肯定感が下がってどうしたらいいのか悩んでいるケースもとても多いのです。
そのため、お子さんの特性を踏まえたうえで、どういうケースではどう対応すれば良いのかなどを擦り合わせ、レクチャーしていきます。そうすると、親御さんも育児や家庭内対応の指針ができるので、毎日自信を持って対応できるようになり、家庭内が安定していきます。
もし何かうまく行かないことがあったとき、例えば「ゲームは夜の8時まで」という家庭内ルールを子どもが破ったときに上手く叱れずに子どもと言い合いになった…などは親子のパワーバランスの問題なのか、特性による過集中などが影響しているかなどを判断しないといけません。
特性による過集中の場合は、ルールだからと徹底する対応ではなく、特性を考慮しルールを見直す必要もあります。
逆に親子のパワーバランスであった場合は、子ども上位による影響になるので、特性を考慮し過ぎて対応すると甘えにつながり、子ども上位を助長しかねません。
この辺りが対応の難しさなのですが、そのようなときはすぐに担当カウンセラーまでメールか電話で連絡し、対応方法を相談できます。
そして「こんなときはどうしたら良かったんだろう?」と悩む時間がもったいないので、悩んだときにすぐ相談して解決することで親御さんの心をスッキリ穏やかに保てるようにしたいとも思っています。またいつでも相談できるという環境は心の余裕、安心感につながると皆さんおっしゃってくれます。
特性を解消することはできませんが、日々の家庭内対応で少しずつ特性が目立たないようにはできるので、その子に合った声掛けの仕方やタイミング、叱り方と褒め方、やる気の出し方や自己肯定感の高め方などを一緒に工夫して行きましょう。
学校側に配慮を提案
その子の特性の対処方法やコントロール法がわかってきたら、学校側にも配慮いただけないか提案・交渉します。親御さんご自身で先生方と相談されてもいいですし、エンカレッジの担当カウンセラーが直接学校・先生を訪問して親御さんの代わりに相談することもできます。
学校・先生側も「子どもにはできるだけ登校してきてほしい」と思っているので、エンカレッジのような支援者は歓迎されることが多く、積極的に話し合いをしてくれますし協力してくれます。
「グループ発表のときは保健室に行かせてもらえないか」「授業中はヘッドフォンをつけさせてもらえないか」「ヘッドフォンをつけていることについて、クラスメイトには〇〇と説明してほしい」など、細かく擦り合わせをしておくことで、特性のある子も教室に行きやすい環境を作っていきます。
配慮ばかりではなく、その子の成長を促す
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は、周囲と自分を比較して自信を失ったり、特性を克服しなければと焦ったり、何かと不安に感じたりと、苦労することも多いでしょう。そんな我が子を見ている親御さんも、苦しいですよね。
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの特性で不登校になった場合、学校側にも配慮をお願いしていかに環境を整えられるかが重要です。しかし、周囲の配慮に頼りきりになってしまうと、その子が将来進学したり就職するときに、また壁に突き当たることがあるかもしれません。
そのためエンカレッジでは、再登校したては学校に配慮をお願いしますが、徐々にその配慮を無くしていけることも視野に入れて支援しています。具体的には、認知行動療法のカウンセリングを通じて「僕はやればできる!」という自己効力感を育てたり、苦手なことがあっても自分で落ち着いて整理し、どこから解決しようか考える力をつけてもらうなどです。
「グレーゾーン・発達障害の不登校はアセスメントが重要!」まとめ
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子の不登校対応で大事なのは、その子に合った環境を整えてあげることだと思っています。
エンカレッジでは基本的には元々いたクラスに復学することを目指しますが、本人が学校に行っても辛いだけの環境と思うなら学校に行く必要はないと考えています。毎日、みんなと比べられて自己肯定感が下がるだけの学校であれば本人が頑張りやすい別の環境を探してあげる必要がありますし、実際にそのようにサポートしています。
例えば、その子にとって良い環境が元のクラスではなく適応指導教室や放課後デイサービスなどであるなら、合っている環境に行くことで自信を取り戻し、生き生きと過ごせるようになればそれは素晴らしいことですしぜひ応援したいです。
ただ、子どもによっては元のクラスに戻れないことで自信をなくしたり、罪悪感を感じる子もいます。不登校は一時的に色々な要因が重なってキャパシティーオーバーになりますが、状態が戻って元気になってきっかけをあたえてあげれば、もう一度学校に適応できる子どもたちもたくさんいます。
本当は元のクラスに戻りたいのに戻れなくて自信を失ったり、「みんなと同じ学校に行けている自分」に憧れていたりする子にはもう一度、今度は1人で抱えずカウンセラーと一緒に学校復帰をチャレンジして欲しいのです。そして、もう一度チャレンジしてみて専門家から見てもこの子は別の選択肢の方が伸びると思ったら別の選択肢をみんなで考えます。その方が親御さんにも学校以外の選択肢がいいと感じてもらえますし、その子にあった環境までサポートするので、そこまでサポートしてもらえてありがたいと言ってもらえます。
「元のクラスに戻りたい」と子どもが思っている可能性がある場合は、「無理をしなくていいんだよ」という大人の言葉は「あなたはみんなと同じようにできないでしょ」と期待されていないように感じてしまうかもしれません。
この間の登校刺激で、「家族が気を使っているのが辛かった」という子がいました。そして、「本当は学校に戻りたいんだ」と泣きながら話してくれました。その子は、今2年間休んでいた学校に毎日通っています。
もちろん、不登校の初期でしっかりと見守ってあげる必要があるときや「学校のことは考えなくていいんだよ」と言ってあげる必要がある子もいます。でも学校に行きたいと心では思っていても行けなかった子もいます。だからこそ特性のことも含めてしっかりアセスメントして、マニュアルではなく、その子に合った1人1人あった対応をしてあげる必要があるのです。
エンカレッジでは、公認心理師がしっかりアセスメントした上で、もしお子さんが「本当は元のクラスに戻りたい」もしくは親としてお子さんが「ずっとこのままでいいとは思っていない」と感じるなら、学校を第一選択としたアクションをとっていきましょう。
しっかり学校・先生側と調整をし、特性に対して合理的配慮をしていただき、環境を整えたうえで再登校できればお子さんの自信を取り戻すこともできると思っています。
神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は対応が難しいところもありますが、特性をうまくコントロールする方法を見つけ、学校と連携して環境を整えることで特性の表面化をしにくくして、子ども自身が自分の成長を実感できるように、エンカレッジはこれからもサポートしていきたいと思っています。
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