不登校解決コラム

グレーゾーン・発達障害の不登校対応ポイント!配慮・環境作り例も紹介

グレーゾーン・発達障害の不登校対応ポイント!配慮・環境作り例も紹介
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

以前の記事「グレーゾーン・発達障害の不登校はアセスメントを!個別対応が重要」では、神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子が再登校する際のポイントをお伝えしました。

この記事の結論は「個別にしっかりアセスメントすること、そして環境を整えることが大事」と言うことなのですが、実際にどの程度まで環境を整えることが大事なのか、再登校した子はどんな環境づくりをしていたのか気になる方も多いかと思います。

そこで今回は、神経発達症(発達障害)グレーゾーンの子が再登校するのに必要な環境作りとは具体的に何なのかなどを、例をご紹介しつつお伝えしたいと思います。

私たち不登校支援グループエンカレッジでは、今まで1000人以上の子どもたちの復学をサポートし、設立17年の現在も復学率は100%を維持しています。不登校に悩む方向けに無料のLINEメルマガの発信もしておりますのでご活用ください。

グレーゾーン・発達障害の不登校はアセスメントを!個別対応が重要
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グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

神経発達症(発達障害)グレーゾーンの子の特性は生まれながらのものなので、親の育て方や環境が悪かったわけではありません。特性を解決することは難しいですが、しかし目立たなくすることはできるので、特性のコントロールの仕方を身に着けられるよう日々取り組んでおられる方が多いでしょう。

その特性のコントロールのためには、環境作りが非常に重要ですよね。以下では環境作りのポイントをまとめていきます。

特性を徹底的にアセスメント(分析)

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

やはりとにかく大事なのは、特性をしっかりとアセスメント(分析)することです。

子ども本人が「勉強が嫌いだから学校に行きたくない」と言っていたとしても、実は勉強自体が嫌いなのではなく、先生の話を理解するのに時間がかかったり、自分の考えを言語化するのが苦手だったり、長時間座っていることがイヤだったり、きれいにマス目に収まるように書き取りするのがイヤだったりするケースがあります。

友達が話している途中で自分の話をしてしまって嫌な顔をされるから話したくない、椅子の角度がむずむずする、机に日光が当たるのが気になって仕方ない、先生の声が早口に聞こえる、長時間座り続けると背中がかゆくなる…など、「授業」という要素のなかにも色々なポイントがあるので、どんな環境下でどんな特性が出るのかをしっかり観察・分析します。

特性の分析ができたら、どうすれば特性が出にくくなるかの糸口を探っていきましょう。

WISK(ウィスク)というウェクスラー式知能検査を受けると子どもの得意不得意、発達の凹凸などがわかり特性の把握に役立ちます。発達の特性について気になる方はスクールカウンセラーや相談しているドクターなどに受けた方がいいか聞いてみるのもいいかもしれません。

上野
上野
しかし、検査は何度も受けると耐性ができてしまって正確な数値がわからなくなってしまいますので、頻繁には受けられませんのでタイミングは慎重になる必要があります。

自分の特性を理解し受け入れる

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

神経発達症(発達障害)やグレーゾーンの子は、多動やミスについて何度も叱られるうちに「自分だけなんでできないんだろう?」「僕はなんてダメな人間だ」と自尊心自己肯定感が低下してしまうケースも少なくありません。

そのため、まずは特性についての理解をしましょう。特性について知識として知っていると知っていないのでも対応に大きな差が出てきます。専門家のアセスメントによってお子さんにどのような特性があるかを把握し、特性について親がまず理解するということが大切です。

その上で「なんでできないの!」「ダメって言ったでしょう!」のような本人の特性による行動については頭ごなしに否定するような表現はやめて、「ごはん中に立ち歩きしたのは何か理由があったの?」「押入れから飛び降りるのはダメってこの前言ったの覚えてる?」のように、具体的な改善ポイントをはっきりさせ、なぜしてしまったのか本人と考え特性の把握や理解を進めることをを大事にしてください。

また言葉だけではなく、紙に文章で書いたり図を使ったり、冷蔵庫に「イライラしたら深呼吸をする」などの紙を貼るなど視覚からのアプローチも使ってみてください。

「一緒に考えてくれる人がいる、味方がいる」と思えることは、子どもの心の安定に繋がり、特性と向き合う気持ちにも繋がっていきます。

友達からどう見られるかを意識

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

子どもは、大人が思っている以上に「友だち」の存在に影響を受けます。

  • 「何か月も学校をお休みしたこと、みんなになんて思われているだろう」
  • 「僕だけグループ発表のときに保健室にいたら、ずるいと言われないだろうか」

上記のような心配事が頭の中でぐるぐると回り、あれこれ考えるうちについ悪い方を想像してしまいます。

「最悪の事態を想定して対処しよう」とするのは人間の脳の防衛本能なのでどうしようもないのですが、一方で「心配事の9割は起こらない」とも言われる通り、自分が考えているほど悪い状況にならないことがほとんどです。

それにも関わらず、脳の防衛本能のせいで悪い想定をたくさんしてしまう…このスパイラルを認知行動療法のカウンセリング等で改善してあげると共に、休んだ理由などをお友だちに説明できるようにしておくこと、先生からクラスみんなに説明して共通認識を作っておくことが有効です。

上野
上野
特に完璧主義の子や0か100の極端思考の子に負の連鎖が起こりやすい傾向にあります。

学校の負担にならないよう配慮

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作りのポイント

特性がある子は、他の子と違う思考方法や行動パターンがあったりして、他のクラスメイトとは同じに言動できないことがあります。そのため、学校側にある程度配慮してもらったり、個別対応してもらうことで格段に通いやすくなったりするのです。

ただし、学校側も人手不足などがあり、個別対応にも限界はあります。特性がある子への配慮のために担任の先生が毎日サービス残業…などにならないよう、お互いが取り組みやすい方法を模索することが大事です。

上野
上野
私は元々教員志望で、教育実習での体験をきっかけに不登校支援の道に進んだこともあり(詳しくはプロフィールのページで(笑))、学校側の業務オペレーションなども把握しています。学校側に個別対応をお願いしつつも、業務負担になりにくい方法をいつも考えてクライアントに提案しています。

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

「環境作りが大事なのはわかったけれど、具体的にどこまで環境作りすべき?」と悩まれる方も多いかと思います。

ここからは具体的事例をご紹介しながら、どんな環境作りや配慮の仕方があるのかについてご紹介しますね。

音に敏感なAくん

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

以前、音に敏感なAくんがいました。

Aくんは小学校低学年だったこともあり、自分の感情を言葉でうまく表すことができず「授業がすごくイヤ、だから学校に行きたくない」と言っており、お母さんは「学校は授業をしにいくところなのに…授業が無理ならば、復学は無理なのでは」と心配されていました。

しかし、エンカレッジでカウンセリングをするうちに、実は授業がイヤなのではなく「授業中の音」に苦手意識があることがわかりました。黒板にチョークで書く音、先生の大きな声、この2つに苦手意識があることがわかったのです。

そこで、Aくんには授業中はイヤーマフをすることを提案しました。イヤーマフをすると、嫌な音が軽減されるからです。

そして、学校側にも訪問してAくんの特性を説明し、イヤーマフを許可してもらう配慮と環境作りをお願いしました。

その環境作りとは、再登校日にAくんもいる前で、みんなにイヤーマフの説明をすること。先生からクラスのみんなに、以下のように説明してもらいました。

「Aくんは体調不良でしばらくお休みしていたけど、今日から一緒に勉強できることになりました!ただ、音が大きく聞こえすぎる体質だから、落ち着いて勉強するために授業中は音を軽減するイヤーマフをすることにしたよ。目が悪いと眼鏡をするように、Aくんは聞こえすぎるからイヤーマフをするんだ」

イヤーマフについて先生からあえてクラスメイトに説明してもらうことで、お友だちも疑問に思わなくなりますし、Aくんも堂々とイヤーマフをできるようになります。

この「堂々と」がポイントです。

そしてAくんは、嫌がることなく登校できるようになるどころか、休み時間に友だちとサッカーをするなど学校生活をエンジョイできるようになり、お母さんも大変喜んでおられました。

みんなの前で手を上げにくいBくん

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

Bくんは、みんなの前で話すのが苦手でした。そのクラスの担任の先生はみんなで手を挙げましょうという教育方針でした。

「当てられたらどうしよう、でも手を挙げないと目立ってしまうし、怒れらるかもしれない」と不安になり、学校をお休みするきっかけになりました。

そのことがネックでなかなか学校に戻れなかったのですが、エンカレッジの復学支援で学校復帰のために学校に色々な配慮をお願いするためにカウンセラーが学校に訪問して、先生と情報共有をして配慮をお願いします。

Bくんについては、「どうしても手を挙げられないが、挙げていないのが1人というのも周りの目があるから怖い」とのことなので、わからない時は手を親指だけ折って挙げるということで先生にお願いしました。

それにより、手を挙げても親指が折れているときは当てないようにしてもらいました。担任の先生もそれはいいアイデアですねと採用していただき、Bくんは堂々と当てられないけど手を挙げることができました。

上野
上野
今ではそのように手を積極的に挙げましょうという先生は少なくなりましたが、昔はよくありました。

授業中に当てられるのが怖いCくん

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

「当てられるのが怖い」というのは、Bくんだけではありません。Cくんも「当てられたらどうしよう」という恐怖が学校への強い抵抗感となっていました。

Cくんの担任の先生も、強制的にどんどん当てていく先生でした。こちらも昔は多かったように思います。

「当てられたらどうしよう」という恐怖が学校へ行きにくくしていたので、Cくんの場合は机に人差し指と中指をピースのようにそっと出したときは当てないで欲しいの合図ということにして安心できた様子でした。

先生にみんなの前で話しにくいDちゃん

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

最近の例では、先生に聞きたいことがあっても聞きにくいというDちゃんがいます。

Dちゃんの場合は、ハンカチを机に出したら先生がそっと見に来てくれたり、補助の先生が見てくれたりという配慮をお願いしました。

トイレに不安があるEくん

グレーゾーン・神経発達症(発達障害)の環境作り例

頻尿でトイレの不安がある子Eくんは、何度も授業中に先生に言えないので、ハンカチを出したら、アイコンタクトで行けるようにして、さらに一番後ろの席で目立たないようにしてもらったりしました。

最近では過敏性腸症候群など、お腹やトイレに不安がある子が多くなってきているように思います。

トイレは、特に小学生の男の子はからかいの理由になったりもするのでデリケートな問題です。しかし、自分の意志でコントロールもしにくいので、不安が強くなってしまい、学校自体に行くのがイヤになってしまうのです。

上野
上野
デリケートなトイレの問題なども、エンカレッジでは学校へカウンセラーが訪問し、先生に情報共有し、カウンセラーの経験と様々なケースに対しての配慮をお願いしています。こうした丁寧な環境作りをすることで、特性がある子やグレーゾーンの子も安心して通えるようになるのです。

「グレーゾーン・発達障害の不登校対応ポイント!配慮・環境作り例も紹介」まとめ

特性やグレーゾーンの子の不登校の対応方法

神経発達症(発達障害)グレーゾーンの子は、あっけらかんとしているように見えても「自分は周囲の大人から面倒だと思われているのでは」と漠然と不安を抱えていたりします。

親から見ると、さっきは大泣きしたのにしばらくすると何もなかったようにケロッとして遊んでいるので大したことないように感じるかもしれませんがそうではないのです。

実際、特性があると他の子とは同じように行かないこともあるので、モヤモヤしますし、その理由もはっきりとしないので、癇癪という形で表面化することもあります。ただ、マイナス面だけ指摘してしまうとどんどん自己肯定感が下がってしまいます。

特性のある子は、実はいい面もたくさん持っています。ASDの子は1つのことにこだわりすぎるところはありますが、それはその分野を突き詰める力を持っているのです。誰にでも得手不得手はあるので、まずは誰にでも得手不得手があることを伝えて、「あなたにはここまで1つのことを集中してできる力がある。それは素晴らしいことだよ」とでいい面を認めてあげ、自分はこの分野には自信があるという自己効力感ををあげてあげましょう。

その上で、お友だちにヘンな目で見られないように納得感ある説明をする、知覚過敏系の特性であれば教室の環境を整えてあげる、先生の対応で改善できそうであれば配慮をお願いしるなどで、再登校の環境を整えていくことができます。

特性をコントロールできるようになるまでは試行錯誤の連続で親御さんも疲れてしまうときもあるかと思いますが、どうしても疲れてしまったときはエンカレッジのような支援機関を使うことで、学校・先生との交渉を代わりにしてもらう、頻度高いカウンセリングを自宅で受けるなどで親御さん自身の負担を軽くすることも検討してみてください。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。