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不登校で悩んでいる親御さんの相談を日々受ける中で、しばしば「うちの子は逃げグセがあって…」とご相談頂くことがあります。
「嫌いな算数をやりたくない」「マラソン大会に出たくない」「苦手な先生と会いたくない」…日々学校生活を送っていると、嫌なことも必ず出てきます。その嫌なこともできる子と出来ない子の違いは《誤学習》であることも多いです。
そもそも「嫌なことから逃げる」ことは心理的にどういう状態なのか、誤学習を正して逃げグセを改善する方法などをお伝えしていきますね。
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不登校は「嫌なことから逃げる」こと?
学校に登校しないことは、確かに「嫌なことから逃げている状態」とも言えます。
しかし、逃げることが絶対的に悪いわけではありません。例えば以下のような場合は逃げるべき状況と言えます。
- クラスメイトにいじめを受けた
- 部活の先生からパワハラを受けた など
上記のような場合は、逃げることは「自分の身を守るための行動」ですので、むしろ逃げるべきです。
一方で、逃げるべきではない場合もあります。例えば以下のようなケースです。
- 親から叱られると、拗ねて部屋に閉じこもる
- 習い事に行きたくなくて部屋に逃げる
- なんとなくやる気が出ないから学校を休む など
このようなケースは、やはり親としては逃げずに乗り越えてほしいですよね。
そして一度逃げてしまうと、気が付けばずっと逃げ続けている状態になることも多いため、頭を抱える親御さんが多いです。
嫌なことから逃げる心理
「嫌なことから逃げる」のは、人間ですから誰でも経験がありますよね。
仕事や授業を「サボりたいなぁ」と思ったり、ダイエットも「明日からでいいかな…」と考えてしまったり。嫌なことを回避したいのは当然のことです。
しかし、大抵の大人は仕事が嫌でも仕事に行きます。ダイエット中は気分が乗らなくてもなんとか運動したり、運動が出来ないなら食事量を減らしたり食事時間を見直したり…と工夫や調整をしたりします。
ただ逃げる場合と、逃げずに向き合ったり調整する人とは何が違うのかを見ていきましょう。
感情に従っている
嫌なことから逃げてしまう大きな原因は、その場の感情に従っているからです。
ダイエット中に「今、このお菓子を食べたい」という感情・気持ちにフォーカスしてしまうと、やはり食べてしまいます。しかし、食べてしまった後の後悔する自分を想像したり、「太る」という結果を連想することで、自制心が働きます。
不登校の子も同じように、「学校に行きたくない」という今の感情にフォーカスしてしまうと、やはり登校出来なくなってしまいます。しかし「このままじゃいけない」という長期的な視点に立って頑張ろうと思ったり、嫌なことを何とか乗り越えた後の安心感や達成感が経験として蓄積され次につながっていきます。
そのため、その場の感情ではなく、長期的な視点に立って想像力を働かせたり、逃げずに乗り越える経験がとても重要です。
しかし小さい子どもほど脳の前頭葉も発達しきっていないので感情や行動を制御する力も未熟ですし、人生経験も少ないので長期的視点に立つことも難しいですよね。その結果、どうしても今時点の感情に気持ちが向きやすいため、逃げてしまいたくなるのは仕方ないのです。
だからこそ、そのメカニズムを理解して親がしっかりサポートしてあげる必要があります。
誤学習
長年復学支援をしていて、「逃げグセがある」と親御さんが言う子の原因として一番多いのは誤学習であると感じています。
誤学習とは、本来良くないことにも関わらず、良いと解釈された学習のことを言います。例えば以下のような場合が誤学習と言えますね。
- 親がスーパーでお菓子を買ってくれないので癇癪を起こしたら買ってくれた→「癇癪を起こせば思い通りになる」と学習してしまう
- 部屋の片づけをしなかったら、お母さんが代わりにやってくれた→「自分がやらないと周囲がやってくれる」と学習してしまう
- 良くないことをして叱られたときに謝らずに黙っていたら親が諦めた→「黙っていたら反省したり謝ったりしなくて済んだ」と学習してしまう
- 宿題をやってこなかったのに先生に怒られず、何の問題もなく授業が終わった→「宿題をしなくても困らない」と学習してしまう
- 登校しなくても、家で一日中ゲームして楽しく過ごせた→「学校に行かなくてもゲームができる」と学習してしまう
- 学校に行くのが不安だから休んだら不安がなくなった→「実は次の日はもっと不安になり怖くなるのだが、不安がなくなった」と学習してしまう。
- テストで悪い点を取ると怒られるけど、登校せずにテストも受けないと怒られなかった→「そもそもやらない(逃げる)ほうが失敗しないしラク」と学習してしまう
このような誤学習が起こってしまうと、本来良くない行動にも関わらず、子どもにとってはラッキーな行動のように錯覚し、何度も繰り返すようになってしまうのです。
「逃げても困らない」「誰かが代わりにやってくれる」「隠れれば親が諦める」「挑戦するより逃げて失敗しないほうが得」「挑戦しなければ不安にならない」という思考パターンがどんどん定着し、脳の思考のクセとなって、逃げグセに繋がってしまいます。
時間が経てば経つほど、この誤学習の思考パターン・逃げグセは定着して改善しにくくなります。
誤学習を改善する方法
時間が経てば経つほど改善にも時間がかかってしまう逃げグセ。
逃げグセを改善するには誤学習を無くすことが重要ですが、具体的にはどのような方法があるのかを以下でまとめていきますね。
家庭教育を見直す
逃げグセを改善する上で最も大切なことは、家庭内において誤学習を本来の学習に戻すことです。
具体的には以下のようなことを、毎日親御さんが行っていくことがとても重要です。
- 子どもが癇癪を起こしても、毅然とした態度を取り、逃げたら得と勘違いさせない
- ダメなことをしたら、ペナルティを与えるなどして、しっかり反省させる。反省したらそれを認める。失敗はするものだし反省したらそれいいんだとプラスに受け止められるようにする
- 宿題をしない、忘れ物をする、悪ふざけをするなど、子どもが良くないことをしたら毎回同じように叱る(親の気分や忙しさ具合で叱るときと叱らないときがあるなど、対応にムラを作らない)
- 学校の準備をしない、部屋の片づけをしないなどがあっても、親が代わりにしない
- 失敗がダメなことではなく、なぜ失敗したのか、それどう次につなげていくかという大切さをしっかり伝える
- 人には得手不得手があり、苦手なことが誰にでもあることを伝え、苦手が悪いことではないことを伝える
ここに示した内容は当たり前のことです。でもその当たり前のことがしっかりできていないことで子どもが誤学習をしてしまうのです。つい親が「これ以上言っても仕方がないか」「今日くらいいいか」と諦めてしまうことから誤学習は始まります。とても地道ではありますが、妥協せずこの積み重ねをしっかりすることでお子さんの思考のクセを矯正し、誤学習を改善することでお子さんの性格面の成長を促していきましょう。
成功体験を積む
逃げグセのある子には、成功体験を積んでもらうことも大切です。要は「逃げたら得をした」の反対で、「挑戦したら良いことがあった」という思考回路を作っていくのです。
- 算数の計算テストの点は悪かったけど、前回できなかった2桁の引き算ができるようになっていたことを褒められた
- 学校に行くのが不安だったけど、行ったら友達が声をかけてくれたし大丈夫だった
- マラソン大会でビリだったけど、「頑張って走ったね」と親が声掛けして、結果ではなくプロセスを褒めてもらった
- 日直のスピーチが怖かったけど、やってみたらみんなが拍手してくれて自信がついた
- 学校に行くことで外に堂々と出られるし、罪悪感がなくなって気持ちが晴れやかになった
自分の頑張りが認められた経験を積み重ねて「頑張ったらいいことがある」と学習して行った結果、「自分は頑張ったら出来るんだ!」という自己効力感が育ちます。
「ありのままのあなたでいいんだよ」という自己肯定感を与えることも大事ですが、自己肯定感は「不登校の自分でもいい」という考え方に繋がります。嫌なことから逃げずに立ち向かい、自分にはやれる力があると思えるような自己効力感を育てることが大事です。
「不登校は「嫌なことから逃げる」こと?改善のカギは誤学習」まとめ
今回は逃げグセで悩む親御さん向けに、逃げグセの原因や改善方法についてまとめさせて頂きました。
逃げグセは一度つくと、改善するためには時間と根気が必要です。だからこそ、より強い逃げグセになる前に、対処していくことが大切なのです。
逃げグセの対処としては、やはり家庭教育が重要です。日々の親御さんの対応方法や声掛け内容がお子さんの思考のクセを作ってしまうため、まずは家庭内対応が適切かどうかを見直していきましょう。
そのうえで、どうしても「子どもが言うことを聞かない」「叱り方がわからない」「反省を促しても反省していない」等のお悩みがあれば、無料オリエンテーション等で詳しく個別のご状況を伺うこともできますのでご利用ください。
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