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お子さんが不登校になったとき、親御さんは声掛けにかなり悩まれるのではないでしょうか。
教育・心理業界で「自己肯定感」というワードが注目されて久しく、「とにかく子どもを褒めて自己肯定感を上げれば登校できるようになるはず」と考える親御さんも増えているように思います。
しかし、自己肯定感を上げるには、ただ褒めればいいわけではありません。そもそも「褒める」のは非常に高度なコミュニケーションであり、その状況に応じた褒め方ができないと逆効果になる可能性すらあるのです。
そこで今回は、褒めることの難しさやNGな褒め方例、不登校の子の親御さんが気をつけたい褒め方・声掛けなどをご紹介していきたいと思います。
不登校の親の声掛けが難しい理由
コロナ禍明けが特に顕著なのですが、現代の不登校は「なんとなく学校に行きたくない(行けない理由はよくわからない)」「やる気が出ない」のような無気力タイプが多いです。
そのため親御さんとしては「なんとかやる気を出してもらわなければ!」と、褒めて鼓舞したりテンションを上げさせて登校できないかと試行錯誤される方が多いのです。
しかし、そもそも「褒める」というのは実はとても難しいことです。
なぜ、褒められているのに子どもは怒るのでしょうか。そのあたりについて、まず説明していきたいと思います。
「褒める」と「おだてる」の差が難しい
「褒める」と「おだてる」は違いますよね。
実は不登校の子を親が褒めるとき、うっかり「おだてる」になっているときがあるのです。具体的には、以下のようなシーンです。
毎日保健室登校はできている子に対して「今日も学校に行けてえらい!」と言う
勘のいい方はもうお分かりだと思いますが、褒めるというのは、相手のレベルをしっかり見極めたうえで褒めないといけないのです。
上の例で言うと、毎日保健室登校はできているのに学校に行ったことを親に褒められたら「いや、いつも行ってるし」と親にバカにされた気がしたり、期待されていないように感じたり、「保健室登校でも褒めてもらえるなら、これからも保健室登校でいいか」となるケースがあります。
このように、親が子を褒めるためには日頃からその子をよく観察し、性格や思考傾向をつかんでおかないと「褒める」つもりが「おだてる」になってしまい、子どもが反発することがあるのです。
褒めポイントが難しい
「子どもの自己肯定感を高めるために、1日〇個褒めましょう」のような教育法もありますので、「子どもを褒めなきゃ」「自信をつけさせなきゃ」と日々頑張っている親御さんともしばしばお話することがあります。
しかし、中には褒めポイントを見つけるのも難しい場合もありますよね。
例えば「明日は学校に行く」と言ったのに朝に起きて来ず、10時過ぎてからダラダラと起きて朝食を取ったかと思うとゲーム三昧…と言った場合、どう褒めていいかわからないと思います。
不登校になるとどうしても、「学校に行っていた時は出来ていたのに」「弟でもちゃんとできているのに」とできていた時と比べたり、他人と比べたりしてマイナス面ばかりに目がいってしまい、褒めるどころか非難になってしまうこともあると思います。
そういう時は、無理して褒めなくていいですし、むしろ褒めようとしない方がいいです。なぜなら無理に頑張って褒めていると表情がこわばっていたり、怒ったトーンで褒めていたりします。そうすると子どもが察知してイライラされたり、褒めているのに反発され子ども上位が悪化するからです。
言い方が難しい
「口では子どもを褒めているけれど、実は内心では褒められていない」というケースもよくあるのではと感じています。
例えば、完璧主義や高学歴、ハードな仕事を頑張っているような親御さんは子どものちょっとした成長も心から褒められていないことがあるように感じます。親御さん自身が今まで歯を食いしばって頑張ってきた分、子どもにも「まだできるはず」「自分はもっと踏ん張ったのに」と感じてしまうのかもしれません。
このような親御さんは、カウンセラーから「今は勉強のことはプレッシャーになるから」と言われてわかってはいるものの、内心は「勉強が遅れたら進学できないのでは」と不安や迷いがあって、子どもには「学校を休んでも良いんだよ」「勉強のことは気にしなくていいんだよ」と言う一方、内心では「登校してほしい」「少しでも勉強して欲しい」と思っていて、子どもはそんな親の気持ちを敏感に察して本音と建て前で混乱します。
なので、親が褒めるときは本心で褒められるようにすることが大事です。中途半端に口先だけで褒めるなら、むしろ褒めない方が子どもの混乱を防ぐことができます。
「うちの子は今はこれが精いっぱいなんだ、でも頑張っているんだ」と親御さん自身が子どもを心から認めてあげること、自分と子どもは別人格だから同じように行かなくて当たり前だと心から納得できていることが親の言い方や態度、表情からわかると、子どもの心が安定しやすいです。
信頼関係を作るのが難しい
子どもが反抗的で親の言葉を聞き入れない、すぐ自室に閉じこもってしまう、家庭内暴力や破壊行動がある、親の財布からお金を抜く…など、既に親子の信頼関係が揺らいでいるときは、親御さんがどんなに褒めたり叱ったりしてもなかなか子どもの心に届きません。
親への暴力も、裏を返せば甘えです。「この人なら突き飛ばしても怒らないだろう」と思っているからできることでもあります。逆に自分でもどうしていいかわからず「本当は叱って欲しい」という思いの子もいます。
このようなケースは、当事者だけでの解決はかなり難しいです。エンカレッジのような第三者に介入してもらって、子どもに社会のルールを教えるなり、医療に繋げるなり、早めに何かアクションを起こす必要があります。
不登校の親の声掛け・褒め方のポイント
私はよく講演会などもしていますが、「不登校の子への声掛けはどうしたらいいですか?」というのはよく親御さんから質問されます。
しかし、声掛けの仕方は子どもの不登校状況や性格によってくるので、「〇〇すれば良い」と簡単には言えないのです。
しっかり子どもをアセスメント(分析)して、不登校になった理由や不登校期間、苦手なことと好きなこと、親子関係なども知ってからでないとどうにもアドバイスしにくいというのが正直なところです。
例えばゲーム依存で登校できない小学校高学年男子がいた場合、「ゲームを取り上げれば学校に行けます」とは簡単に言えないです。もしかしたら、学習障害などで授業について行けないことが苦しくて、ゲームで心を癒しているのかもしれないからです。
ただ1つだけ言えることがあります。皆さん、これができていないことが多いので、今日からそこは意識して対応してください。
【まず、子どもの意見を否定せず受け止めること】
皆さん、良かれと思って、提案やアドバイスをしすぎです。でも子どもたちが求めているのは、否定せず聞いてくれることなのです。
エンカレッジの支援でもまず皆さんにここをやってもらいますが、なかなかできていません。会話ノートでの添削でも何も考えずについ言ってしまう。わかってもできないという状況にもなり、皆さん頑張ってそこを直すところから始めます。
エンカレッジでは不登校になった原因分析を公認心理師が丁寧に行い、その子が元気に登校する方法を総合的に探ります。「授業について行けてない」と人の目が気になるのなら、認知行動療法で他人の目が気にならなくなるカウンセリングを行いますし、学習障害が疑われても、集中を妨げるものがないか、もっと勉強しやすくなる環境がないかを一緒に探します。
でも私たちカウンセラーもまずは子どもたちを否定せず受け入れることは常に意識しています。
実際、以前授業に集中できなかった子がいたのですが、教室内で日光が当たらないように配慮をお願いしたところ授業が苦ではなくなった子がいました。そこ子にもしっかりと否定せず受け入れてあげることで、色々な心配ごとを話してくれるようになりました。そのような特性は本人でもわからないところもあります。話をまずは否定せず聞くことで改善策に気が付くことができたのです。
なので、話が脱線しましたが、万人に効く声掛けや褒め方はないですが、まず否定せずいったん受けとめてあげる。そこから進めていきましょう。
受け止めることができるようになって具体的にもっと学びたい、今のうちの子の状況を専門的・客観的に分析してほしいという方は、無料オリエンテーションでもご相談を受け付けていますが、状況やケースによってできる声掛けもありますので、そちらを知りたい場合は下記のリンクの記事も参考にしてください。
またイメージがしやすいように声掛け、褒め方の例を載せていきますのでそちらも参考にしてください。
<状況・ケースごとの記事にまとめ>
↓ ↓ ↓
不登校時の親の良くない声掛け・褒め方例
ここまで、褒めるのは本来とても難しいことであるとお伝えしてきました。子どもをしっかり観察して分析したうえで、状況に合わせた褒め方や声掛けが必要だからです。
なので、一朝一夕でうまい褒め方ができるようになる人はほとんどいません。しかし、良くない褒め方を改めるのは比較的やりやすいです。
そこでここでは、良くない褒め方についてまとめていきますね。
とりあえず「すごい」と言う
「何か子どもを褒めなきゃ」と思うあまり、とりあえず「すごい!」というのは注意が必要です。
小学校低学年までなら、単に「すごい」と言われても深く考えず喜んでくれたりして問題ないのですが、小学校高学年になるにつれて子どもも賢くなるので「とりあえず褒めて機嫌を取ろうとしている」「やたら褒めて学校に行かせようとしているのでは」と思われてしまうことがあるからです。
ですので、ただ「すごい」と言って褒めるのは、子どもの年齢が上がるほど注意が必要です。ではどうするかというと、何がどうすごいと感じたのかまで伝えてあげることです。
- 「この絵すごいね」よりも、「この色づかいがきれいだね」
- 「もうプリント終わってすごいね」よりも、「前よりかなり早く終わったんじゃない?すごいね!」 など
もちろん、表現力でカバーする方法もあります。ただ単に「すごいね」という言葉しか使っていなくても、「めっちゃすごいじゃん!!」のように親の表情やテンションなどから「本気ですごいと思っているよ」というのが伝わればそれはそれで良いと思います。
大事なのは、褒めたそのときに子どもがどんなリアクションをしているのか見ることです。嬉しそうな表情をしたか、その声掛けの後で気持ちが前向きになっていそうか、親子の会話が増えたかなどの反応を見て、その子に合った対応や声掛けがわかっていきます。
物でつらない
「アンダーマイニング効果」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。心理学の言葉で、最近はビジネスシーンでも注目されつつあるようです。
アンダーマイニング効果とは、本来は自分から好きでやっていたこと(内発的動機づけ)が、余計な褒めやご褒美(外発的要因)によって、内発的動機づけが低下してやらなくなってしまうのです。
例えば、元々絵を描くのが好きな子どもに「上手に描けたらご褒美をあげる」と言っていると、そのうちその子はご褒美がないと絵を描かなくなってしまうような現象のことです。
不登校の子で言うと、学校に週3回行けるような五月雨登校の子に対して、学校に行けたことを褒めすぎてご褒美をあげていると、ご褒美がないと登校しなくなるケースがあります。
「不登校の親の声掛けは難しい!安易に褒めるデメリット」まとめ
不登校の子どもへの声掛けが難しいと感じる親御さんは非常に多いです。それは、もしかしたら現代はネット情報が多すぎて迷いやすいからかもしれません。
お子さんを心配するほどネットや書籍などでたくさんの情報を集めるかと思いますが、そんな中で「不登校は〇〇すればよい」というわかりやすい情報を見ると、実践したくなると思います。
しかし、不登校はマニュアル対応ではうまくいきません。一時的にうまく行っても、根本原因にアプローチできていないと数か月後や数年後にまた再発します。あくまでもネット情報中心ではなく、目の前のお子さんを観察した上での対応を大事にしてくださいね。
先週、先月と比較してのお子さんの変化。声掛けしたとき、褒めたときの表情や素振り。何気ないやり取りのなかに、不登校解決の糸口があることも多いです。
もし声掛けや褒め方に悩まれる場合は、エンカレッジの無料オリエンテーションからご相談くださいね。
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