不登校解決コラム

叱る子育ては不登校を防ぐ!家庭教育ですべき叱り方を解説

叱る子育ては不登校を防ぐ!家庭教育ですべき叱り方を解説
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キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。

ここ数年「叱らない育児」が脚光を浴びていますね。

芸能人でも叱らない育児の実践を公言している人は多く、叱らない子育てをする芸能人に対して「素晴らしい!」「私の憧れの母子関係です」という肯定的なコメントも多いです。「叱るのは良くない」と言う教育の専門家もいます。

確かに、叱る必要がない子育ては理想ですよね。私も子ども2人の父親ですが、いつもにこにこ出来ることならしたいです(笑)しかし、良くない言動があったら親として伝えていくのが大事だと思っているため、要所要所でしっかり叱っています。

叱るという表現だとよくないイメージに思うかもしれませんが、良くないと思うことでも子どもはやってしまうことはあります。失敗は誰にでもありそれを次にどう活かすが大切なんだよと伝えるのも親の役目であり、知らずにやってしまったことをそれはよくないことだと伝えるのも親の大切な役目だと思っています。叱るということはむしろ子どもを成長させる大切なファクターなのです。

叱り方も子どもを成長させるような効果的な方法があります。そして不登校支援を長年していて、不登校の子の親御さんに叱り方を学んでいただくと不登校が改善することが多いことを実感しています。

今回は、不登校を防ぐ・不登校を解決するために効果的な叱り方をまとめていきたいと思います。

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「叱らない育児」は不登校を招く?

叱らない育児

ここ十数年で増えている、叱らない子育て。

一般的に、叱らない子育ては以下のようなメリットがあると言われていますよね。

叱らない子育てのメリット
  • 子どもの個性を伸ばせる
  • 子どもにストレスがかからない
  • 何事にも前向きにチャレンジできるようになる
  • 自分の意見を素直に言える性格に育ちやすい など

叱られずに育った子どもは、伸び伸びと個性豊かに育つ一方で、ストレスに弱かったり周囲に馴染めない等で悩むこともあります。

そして、近年はこのような叱られずに育った子が不登校になるケースも多いです。親に叱られて来なかった分、学校で指摘されることに弱いのです。

小学校の担任やクラブのコーチが軽く注意したことで深く傷つき、一気に自信を失い、周囲の目が怖くなって、不登校になってしまうケースもあります。

叱らない子育てで不登校になるとは言い切れないものの、不登校のお子さんには叱られ慣れていない子が多くいることもまた事実なのです。普段から家庭でミスをしたときにしっかりと指摘してもらい、誰にでも失敗はありそれをいかに次に活かせるかが大切なんだというアプローチをしてもらっていたら、先生やコーチの指導も前向きに受け止められるかもしれません。

しかしその経験が不足していると、一度注意をされたことで「失敗をして叱られてしまった。自分はダメな人間なんだ」と思ったり、「また叱られたらどうしよう」と思ったり「親父にも注意されたこと(ぶたれたこと)ないのに!」とアニメの有名なシーンのようにネガティブな感情がふくらみ、学校が怖いやクラブに行きたくないとなってしまうのです。

上野
上野
叱られることをポジティブに変換できないと、学校はもちろんですが、大人になって就職したときにお子さん自身が辛い思いをしてしまいます。子どもの頃から叱られてることは一概に悪いことではないこと、次に繋げることが大切だということを教えてあげることも親として必要なことなのではないでしょうか。

親が子を叱れない理由

叱らない親

近年「叱らない育児」をする親が増えていますが、実は親自身が「叱れない」タイプの方もいます。つまり叱りたいのに叱ることが出来ずに、いつの間にか「叱れない育児」になっているのです。

叱りたいのに叱れないのは、親にとってもストレスですよね。

親が子を叱れないのはなぜなのでしょうか。理由を詳しく見ていきましょう。

子どもが可愛くて仕方ない

子どもをかわいがる親

お子さんが可愛くて仕方なく、子どもが悪いことをしても「嫌われたくない」という気持ちから叱れないケースもあります。

また、軽く叱っただけで子どもに響いていないケースもありますね。

子どもに嫌われたくない気持ちが強くて叱れないのは、もしかしたら親自身に自信がなかったり、自分自身の親が厳しくて辛かった経験の影響があるのかもしれません。

この場合は、お子さんを叱る前にまずは親御さんの気持ちを整理していきましょう。

親に叱られた経験があまりない

叱られて泣く子ども

子育ては基本的に、自分の母親のよかった子育て、良くなかった子育て、父親のよかった子育て、良くなかった子育ての4つのパターンの組み合わせで形成されます。

親のよかったことを自分も同じように子どもにしようと思いますし、親の良くなかったことは自分の子どもにはしないようにしようと思って子育てをすることが多いです。また無意識的にそうなっているということも多いです。

虐待などは、自分がされてよくないと思っていても無意識にしてしまうという世代間連鎖の問題があります。それほど、両親の子育てというのが大きな影響を与えます。

そして、叱ることに関しては自分自身が叱られた経験がない方も最近多いです。

叱られた経験がない理由
  • 自分が叱られるようなことをしなかった
  • 親が褒める子育てを推奨していて叱らなかった
  • ひとり親家庭で父親と接する機会がなかった
  • 文化の違いがあった(帰国子女) など

上記のような理由で「叱り方がわからない」ということをクライアントさん(特にお父さん)から聞くことが増えてきました。経験がないから叱れないではもったいないので、叱り方を学ぶということをしていきましょう。

上野
上野
子育てが「子どもは勝手に育つ」という時代から「親が家庭教育を学ぶ」時代になってきています。経験だけの子育てではなく子どもにソーシャルスキルを身につけさせられる子育てに親もアップデートしていきましょう

子どもに負い目を感じている

子どもを叱れない親

近年多いのが、親が子どもに負い目を感じているため叱ることができないというものです。

例えば共働きで時間のない親が「毎日遊んであげられなくてごめんね」「生活が苦しくて旅行に連れて行ってあげられなくてごめんね」といった負い目を子どもに感じてしまい、ついつい子どもに甘くなってしまうのです。

しかも最近は、ネットで検索すると「不登校は親が悪い」とか「不登校は愛着障害」と出てくることも多くその影響もあると思います。

不登校は親が悪いわけではありません。不登校は悪循環になりやすいというシステムの問題です。悪循環になってしまって親の影響を受ける場合もありますが、それは親が悪いわけではありません。そちらに関しては家族療法の考え方を理解していただくとよくわかると思いますので、私の書籍や、メルマガ登録のプレゼントの『家庭環境改善マニュアル』を参考にしてください。

 

 

また愛着障害も違います。一生懸命に子どものために頑張っている親が愛着障害のわけがありません。こちらはblogの記事を参考にしてください。

しかし、不登校の状況になると誰でも何かしらの負い目を感じることはあると思いますし、それは仕方ないと思います。ですが、決して親が悪いということではないですし、愛着障害でもありませんから、そこは気持ちを切りかえて負い目があるから叱れないではなく、別の問題として考えていきましょう。

そして、このようなケースは子どもを叱れないだけでなく、家庭内で子ども上位になることがあり、子ども上位は不登校に繋がりやすいため注意が必要です。

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叱らないことが正しいと信じ切っている

叱らない子育てをしている親

叱らない子育てが正しいと信じ切っている場合も、叱ることはできませんよね。「叱らなくても子育てはできる」と言う教育専門家もいるくらいなので、信じ切ってしまう気持ちもわかりますし、それができれば素晴らしいと思います。

しかし、時々「叱らないこと」自体が目的化してしまっている親も見ます。子どもの言動がおかしいと思っていても「叱っちゃダメだ」と無理に我慢してしまうのです。これは親にとってもストレスではないでしょうか。

「叱らない」のが良いのではなく、「叱らなくてもいいくらい、子どもが自立し最低限のマナーやルールも守れる」のが良いのですよね。ただただ叱らないことが目的化していないか振り返るのも大切です。

叱り方のポイント

子どもを叱る親

子どもを叱る際は、「母性」「父性」の違いを意識し、役割分担することが有効です。母性も父性も背景に子どもを思う気持ちや愛があることは変わりないですが、実際に行うことが違います。

母性/父性 それぞれの叱り方
  • 母性…優しく叱る、その都度叱る
  • 父性…厳しく叱る、ここぞと言うときにがっつり叱る

母性/父性それぞれの叱り方のポイントを以下でまとめていきますね。

上野
上野
ここで言う「父性」「母性」とはあくまで役割のことなので、ご家庭によってはお父さんが母性を担ったりしてもOKです。

【父性の叱り方ポイント①】明らかにダメなことを叱る

不登校の子ども

父親の立場で叱るときは、細かい内容ではなく「やってはいけないと明らかにわかること」「本人も納得するようなこと」で叱るのがポイントです。

嘘をつく、相手を傷つける、お金や物を盗む、物に当たる・破壊するようなことは「明らかにダメなこと」と言えるためしっかり叱りましょう。言い訳されたとしても分かりやすく端的に理由を伝え毅然とした態度で話すのが良いです。

【父性の叱り方ポイント②】細かいことを言わない

不登校の子ども

スマホ・ゲームの見過ぎ、洗濯ものやプリントを直前に出す、部屋の片づけをしない…など、日々の生活で子どもを叱りたいシーンはたくさんあるかと思います。

しかしお父さんが細かい内容で叱りすぎると、注意されすぎてまるで細かいお母さんが2人いるような状態になってしまいます。これでは言われている本人も常に細かく言われている状態になりストレスがたまり、反発心を持ったり、混乱したりして叱る内容を受け入れなくなっていきます。

細かいしつけは母性が担当し、父性はいざと言うときに本気で叱るのが子どもに伝わりやすいです。

上野
上野
一度、しっかりと父性が機能するようになると、子どもも「お父さんが怒る」ラインがわかってきて、叱らなくても子どもが勝手に止めるので楽です。「叱れるけど叱らない」それが理想です。うちも最近はほとんど叱る必要がなくなりましたから。

この間、妻が「パパ優しいからママの方が怖いんじゃない?」と子どもたちに聞いたら、子どもたちは「パパの方が怖い」と言ったそうです。理想的だとニヤリとしてしまいました(笑)

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【母性の叱り方ポイント①】その都度叱る

母性で叱る母親

母性の叱り方は、こまめにその都度叱るのが良いです。

食事のマナーや部屋の片づけなどの躾だけではなく、最近はスマホの見過ぎなどの悪い習慣を止めさせることも重要ですよね。このような日々の細々とした躾・習慣などは、毎日根気強く言い続けないと子どもはなかなか身に着きません。

しかし、細々としたことを毎回本気で怒っていたら、家庭内の雰囲気も悪くなってしまいますし、叱る方もエネルギーを消費してしまいますよね。そのため、細々としたことは淡々とその都度注意するのが良いのです。

【母性の叱り方ポイント②】フォローする

叱られた子ども

叱られた後のお子さんの様子はしっかり見ていてあげるのもポイントです。と言うのも、叱られた後のフォローによって効果が段違いに変わるからです。

例えば、ごみの分別をせずに捨てたことを叱ったとして、その次にきちんと分別して捨てられていたら褒めてあげましょう。そうすることで「良い行いは見てもらえている」と次も行うモチベーションになり、いつの間にか当たり前化します。

「叱る子育ては不登校を防ぐ!家庭教育ですべき叱り方を解説」まとめ

家庭教育をする親子

子育てにおいて、叱ることは非常に重要です。

先日、講談社の『現代ビジネス』で掲載された『イチローも警鐘を鳴らした…「大人に叱ってもらえない」Z世代が直面する「やさしさという残酷」』という記事が記事がX(旧Twitter)上で話題になっていました。要約すると以下のような内容です。

  • 今の時代は指導する側が厳しくできなくなって、高校生たちは自分で自分に厳しくしてうまくならなきゃいけない。これは酷なこと
  • 昔は監督・コーチが厳しいため全然できない生徒もあるところまでは上手くなれた。しかし今は叱ってもらえないから上手くなれない
  • 厳しさに耐えられない人は、学校・部活・会社でも表面的には「優しく」扱われ快適に過ごせるが、実はタフな人に経験値や成長度で大きな差をつけられている
  • 周囲は表面的には優しくても内心は腫れ物扱いのため、あっさり切り捨てられることもある点で残酷

要は「叱られるのは大事」という内容ですが、核家族化が進んだ現代日本では、叱り方を知らないまま大人になり、親になった方も多いのではないでしょうか。もし今あなたがお子さんを叱れないなら、それは力不足なのではなく、単に叱り方を知らないだけかもしれません。

エンカレッジでも、親御さんへの叱り方のレクチャーにはかなり力を入れています。お子さんをうまく叱れるようになると、むしろ尊敬されて信頼度も増し、不登校などの家庭内トラブルを減らすことにも繋がるからです。

まさに、叱り方を学ぶことは家庭教育を学ぶことなのです。

もし今の叱り方で良いのかご不安な方は、無料オリエンテーション等も活用して育児の方針を検討するところから始めるのはいかがでしょうか。

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監修者:上野 剛
キャリア15年で1000人以上の子どもたちを復学に導いた復学支援専門家。 復学率は現在もなお100%。 心理師として唯一の国家資格である公認心理師で、出版した著書はいずれも初版完売。 現在、エンカレッジの他にも家庭教育推進協会の代表理事と教育支援センターのコーディネーターも兼任。