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長期休みから新学期が近づくと、以下のようなご相談が多くなります。
- 「朝から晩まで子どもがゲームをするので困っています」
- 「22時までに寝ると約束したのに、全然守られません」
- 「宿題をやっている素振りがないのですが、親がガミガミ言うと良くないですよね?」
「問題所有の原則」に則ると、ゲームのやりすぎも就寝時間も全て子どもの問題なので、親が口出しせずに子ども自身に考え行動させるのが理想ではあります。敢えて言わずに「夜更かしすると、朝起きるのが辛くなるのは自分だ」と子ども自身に気付かせるのです。
しかし、自制心や計画性が未熟な子どもにとって特に長期休み明けは昼夜逆転したりゲーム依存になりがちなので、親の介入は多少は仕方ないとも思っています。ただし親が介入しすぎると、子どもの自立が阻まれたり、親子関係に亀裂が入ることもあるため、バランスが難しいのです。
そこで、親の介入を最低限にしつつ、お子さん自身の自立心や自制心を育てるのにおすすめの方法が「家族会議」の実施です。
今回は家族会議について、実施するメリットややり方、ポイントなどをご紹介していきます。新年の目標や新学期からの登校目標を決めるなど新学期のスタートにご活用ください。
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家族会議とは
家族会議とは、名前の通り「家族で話し合って、意見や希望を共有すること」です。
家族旅行先を決めるような楽しい家族会議もありますし、進路などの重要なことを話し合う家族会議もありますね。
- 進路や引越しなどの重要なことを相談する
- 家族旅行先や日程などのスケジュールを相談する
- 家族の「やめてほしいこと」を共有する
- 各自が今月頑張りたいことを発表する
- 家事の仕方の認識すり合わせ
- 家庭内ルールを決める など
特にエンカレッジでは、家庭教育という観点で「家庭内ルールを決める」ために家族会議をクライアントさんにして頂くことも多いです。
家族会議をする際の大事なスタンス
家族みんなの認識をすり合わせしたり意見交換することで円滑な関係を築ける家族会議。
しかし、うまく家族会議を行わないと「子どもが聞く耳を持ってくれない」「家族会議で決めたことが守られない」といったことになりかねません。実は家族会議には、実施する際のポイント・注意点があるのです。
ここでは、家族会議をする際のポイントについてまとめていきますね。
その場の勢いで言わない
子どもが何時間もゲームをしているのを見て「ゲームやりすぎでしょ!これから1日1時間までね!」と突発的に言ってしまうお母さんも多いのではないでしょうか。
しかし、このような突発的に決めたルールはすぐに守られなくなることが多いです。なぜなら、急に決めたルールなので後から変更したくなりやすいからです。
例えばお母さんが家で忙しいとき、子どもがゲームで大人しくしていると助かるのでつい「今日は2時間ゲームしてもいっか…」と思ってしまう場合など、コロコロとルールが変わると子どもは「ルールは守らなくてもいいもの」と覚えてしまうのです(誤学習)。
そのため、家庭内ルールを決める際は「ちゃんと守れること」にすべきです。勢いで決めず、色々なケースを想定して最適なものにしましょう。
子どもにルールを決めさせる
子どもが納得感あるルールを作るためには、親が一方的にルールを決めるのではなく、子ども自身にルールを決めてもらうことが大切です。
いきなり「ゲームは1日1時間までね!」と頭ごなしに言われたら、やはり反発したくなりますよね。しかし、子どもに決めさせたら「ゲームは1日10時間~!」「一生死ぬまでやる」なんて無茶苦茶なことを言ってくることも(笑)
このように収拾がつかなくなりそうなときは大人が誘導するのも大事です。まずは「みんなが納得できるように、一緒にルールを決めたいんだ」と伝えて子どもが反発しないようにした上で、親と子の折衷案を出してお互い譲歩できるラインを探っていきましょう。
無理のある厳しいルールにしない
無理のある厳しいルールは続かないのでやめましょう。
厳しいルールは子どもだけではなく親の負担やストレスにもなり、家庭内がギスギスしてしまいます。子どもが反発するきっかけになることも多いです。
ルールを厳しくすると「厳しいルールだから守れなくても仕方ないか」と親側も思ってしまい、「ルールを守らなくても怒られなかった」と子どもが誤学習することにもなりかねません。
反対に、もし厳しいルールを守り続けられたとしても、徐々に子どもにストレスが蓄積してどこかのタイミングでバーンアウトする可能性があります。中学受験するご家庭に多いですが、勉強や習い事でルールを決めて管理しすぎてバーンアウトしてしまい、その後不登校になるケースもたくさん見てきました。
ですから、安易に理想の高い厳しいルールを作るのは止めましょう。
父母が一枚岩で臨む
ルールを決めるときは、家族全員で集まったときにしましょう。
例えばお母さんと子どもだけでルール決めしてしまった場合、子どもは「お父さんはルール作りののけ者になっている(あまり重要な存在ではない)」と認識して家庭内役割のパワーバランスが崩れてしまいます。
また、ルール決めで参加していなかったお父さんがルールについて知らず、お母さんから「お父さんも何とか言ってよ」と言われてからお父さんが注意しても、「お父さんはいなかったくせに」と話を聞いてもらえなかったり、「お母さんに命令されて動いている(お母さんがえらい、お父さんの言うことは重要じゃない)」と思われ軽視されてしまいます。
そのため、お父さんとお母さんでしっかり情報共有や認識合わせをしたうえで、全員が揃った場でルール決めを行いましょう。
家族会議のやり方
ここまでは家族会議のポイントについてお伝えしましたが、では実際にどのような流れで家族会議をしていくのかも気になりますよね。
家族会議のやり方として、一番基本の型をご紹介します。
【STEP1】父母で打ち合わせ
家族会議の本番でお父さんとお母さんで意見衝突してしまうと、話し合いが紛糾して子どももどうしていいか混乱します。
そのため、あらかじめ父母で意見を共有しておきましょう。以下のようなことを予めすり合わせすると良いですね。
- 今回の家族会議ではどのようなことを話すか(議題・テーマの共有)
- 議題に対し、どのような落としどころが良いと思っているか(ゴールの共有)
- 想定できる子どもの意見・反発に対する対応策
- 子どもに譲歩できるラインはどこまでか
【STEP2】雰囲気作り
家族会議をする際は、まずは「家族でしっかり話し合いをする」と言う雰囲気作りをしましょう。
全員がしっかりテーブルにつき、きちんと座ります。テレビをつけながら、スマホをいじりながらはNGです。親の真剣さを感じてもらいましょう。
いつもと違う空気を作るのが大事なので、「これから家族会議を始めます」のような宣言をすることも有効です。
【STEP3】議題・テーマを発表
家族全員がしっかり聞く姿勢が出来たら家族会議を始めます。
お父さんかお母さんのどちらかが「今回のテーマは〇〇です」と言って司会進行するとより会議らしくなり、いつもより畏まった雰囲気で子どもも聞く姿勢が出来ます。
【STEP4】話し合った内容はメモ
話し合った内容はノートにメモしておきましょう。
または紙に書いて壁に貼っても良いですね。「家族会議 議事録」でネット検索すると企業サイトから無料の議事録フォーマットがダウンロード出来るので、印刷して書き込んだものを壁に貼る方法もあります。
大事なのは「決めたことを忘れない」「みんなが確認できるようにしておく」ことですので、メモ方法・忘れ防止法はご家庭にあったやり方をしてみてください。
【STEP5】振り返り
決めたルールが守れているかを振り返ることも大事です。振り返りすることで、ルールは決めっぱなしではないことが子どもに伝わり、ルールに対する親の真剣度が伝わります。
例えば「ゲームは1日2時間」というルールが継続して守れている場合は「守れているね!」「この調子!」と認めてあげましょう。
一方で守れていない場合は「なんで守れなかったんだろう?」と今後の改善策を考えたり、ルール事態に無理がなかったかの振り返りをするようにしましょう。
家族会議についてクライアントさんから頂いた質問
エンカレッジでは家族療法をするために、クライアントさんに家族会議を行ってもらうことも多いのですが、その際に色々とご質問を頂きます。
ここではよくあるご質問についての回答をまとめますね。
「誓約書を書くのはどうですか?」
クライアントさんから以前、「誓約書を書くのはどうか」という質問を頂いたことがあります。確かに誓約書を書くと、家庭内ルールがなあなあになるのを防ぐことは出来るでしょう。
しかし、家族という枠組みは《信頼できる絆》が大切です。そのため信頼関係を重視するなら契約書という形式は少し壁を感じますね。
もちろん、信じて裏切られたり、ルールを破られることもあるでしょう。しかし、疑うより、信じて騙される方が良いです。それができるのが家族ですから。
かなり前ですが、俳優の高畑裕太さんが事件を起こした時に、母の淳子さんが「どんなことがあっても私はあなたのお母さんだから」と泣きながらテレビで言っていました。
もちろん良くないことですし、許されることではありませんが、家族や母親の存在の大きさを強く感じ、印象に残っています。
家庭内で誓約書を書くのはあくまでも最終手段で、まずは信頼関係を重視するのを忘れないでほしいと思います。
「ペナルティーはあった方がいいですか?」
出来ればペナルティはない方が理想ですが、実際のところペナルティがないとルールを守れないことも多いのであってもいいです。
ルールを細分化して厳しいペナルティーをつけたり、誓約書を書いたりするのがダメとは言いませんが、家族の信頼関係がベースにあることを忘れないでほしいのです。
ペナルティーの内容や発動の仕方は個々のご家庭によって微妙に変えるべきなので、もしご不安であれば一度ご相談頂ければと思います。
「家族会議のやり方とポイント!家庭内ルールを正しく運用するために」まとめ
今回は家族会議についてお話しさせて頂きました。
家族療法の考え方では、不登校は子どもだけの問題ではなく、家庭内の何らかのボタンの掛け違いが不登校という形で表出していると考えます。不登校の根本解決のためには、家庭内環境を改善することが重要なのです。
その家庭内環境を整える際に有効なのが家族会議です。中途半端にするとうまく行きませんが、ポイントを押さえて家族会議することで家族がお互いの気持ちを理解し合ったり、ルールが出来て円滑な関係が築けます。
もし家庭内で困りごとがあった際は、家族会議をうまく活用しましょう。
私が代表理事を務める家庭教育推進協会で以前「今日から実践できるルールの決め方(スマホ・生活習慣編)」というセミナーを実施しましたが、このセミナーでも家庭内ルール決めのポイントをご紹介していますので、ご興味ある方はアーカイブは有料ですがご覧ください。
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